「tamajiro」さんのページ

原作者曰くアクションもSFも伝奇もラブコメもある作品。その一つ一つの完成度には差があったようにも思いますが、見所は随所にある作品でしたので僕は終始次巻を楽しみにしながら読むことができました。
軸としてはSFだと思っていますが、「解釈一つでどうとでもなる」という城平先生のコメントはこの作品にも当てはまるのかな、と。

アクションはイマイチだったかな・・作画はうまいのですが、カッコよくない。例えばワンピースでは一つのバトルでも躍動感のある、読み手が「おお!」ってなるカットがいくつか入ると思うのですが、それがないんですよね。
少年誌のバトル漫画育ちの方にはおそらくウケが悪いかなと思います。

ただ、この世界の設定や心理描写、伝奇やシェイクスピア作品の引用、ラブコメはなかなかハマっていたと思います。

2・3巻の心理戦は前半の一つの見せ場だったと思います。あれに関して不自然だなんだという意見もよく聞きますが、あれを「戦い」と捉えるとおかしくなるのかなと。あれは「人質の取り合い」であって「戦い」ではないんですよ。真広が決定権を持った中でどちらにジョーカーが行くのかと、そういう場面なんですよね。命乞いなんですよ。つまり。

途中でちょくちょくハムレットを引用してくるところも良かったです。僕もハムレットは好きで、中学生の頃からちょくちょく読んでいますが、なんだか嬉しくなっちゃいます。
それに釣られるように文学作品にありがちなわざとらしい言葉使いになるのも好きでした。

この二点からやっぱり教養があるな、と。頭がいい人が書いてるんだろうな、っていう作品は個人的には好きなんですよね。

この作品は強烈なキャラクターばかりが出るんですが、そんな中物語後半に登場した平凡な価値観をもった羽村くんという存在も大事なポイントでしたね。

しかし、この作品で一番のポイントはなんといってもメインヒロインである「愛花ちゃん」の存在だと思います。
全体的にたま〜に出てきてボソッというくらいのものなんですけど、どうにも存在感がある。得体のしれないヒロインでした。


大衆ウケする作品では実はないです。癖のある作品だと思います。ハマる人にはハマるしあの雰囲気がダメな人にはダメでしょうね。

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[投稿:2014-01-12 20:27:16] [修正:2014-01-12 20:27:16]