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7.5点(レビュー数:61人)

作者山口貴由

原作南條範夫

巻数15巻 (完結)

連載誌チャンピオンRED:2003年~ / 秋田書店

更新時刻 2011-01-12 13:15:57

あらすじ 江戸時代初頭、天下の法に反して駿河城内で挙行された真剣御前試合で対峙したのは、幾多の因果の果てに対峙する片腕の若武者と盲目の天才剣士、この二人の対決を描いた話。

備考 小説「駿河城御前試合」を漫画化した物。

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シグルイのレビュー

点数別:
36件~ 40件を表示/全61 件

10点 景清さん

「残酷無惨時代劇」と自ら称するだけあり、比類のない残虐描写で魅せる時代劇漫画である。まるで豆腐や野菜でも切るかのように目が、鼻が、耳が、四肢がちぎれ飛び、血しぶきは言うに及ばず腸管や汚物までもがぶちまけられるその画の迫力は読者を選ぶ。

しかし、この漫画が真に”残酷”である理由は、何も上述のような分かりやすい残酷描写の為だけではない。登場人物達がみな哀切なる情念に突き動かされるように封建制度下の武家社会という無明の長夜をさまよい、しかし等しく思い遂げられる事なく「死」という運命に狂気に身をやつしながらなだれ込んでいく様が、何よりも残酷なのだ。

この漫画の主なキャラクター達はみなどこか常軌を逸した狂気を抱えているが、彼ら彼女らの抱く思いそのものは比較的現代人にも理解しやすいものばかりである。立身出世をしたい。愛する人と沿い遂げたい。主に忠義を尽くしたい。自分の後継者を育てたい。侍として、強くなりたい…。この異様な物語は、そんな普遍的な思いによって紡がれているのだ。
しかし、彼らがそんな願いを叶えるために、情念に身をやつし、自らを鍛え上げれば上げるほど、人間として大切な何かを欠損していく。岩本虎眼を筆頭に、本作で活躍する剣士の多くはみな心か体かのどちらか(もしくは両方)を欠損して人ではない何かに成り果てる。そうまでして得た強さでさえも、一太刀のもとに斬り伏せられれば後には醜い肉塊が残るのみ。思いは遂げられず、死に行くのみ。

これを残酷と言わずして何を残酷と言おう。この漫画が恐ろしい激情をはらみつつも、全体的に洗練されて静謐な印象すら受けるのは、どんな剣豪も死ねばただの肉塊という冷徹な事実を提示し、仏教的な無常感に貫かれているからでもあろう。まるで西洋の解剖図譜のような写実的な残虐描写、過激な作画と相反するような淡々と冷徹なナレーションの挿入も、そんな無常感の醸成を助けている。作画と言葉がタッグを組んで、物語のテーマを見事に浮かび上がらせているのだ。本作がただの残虐描写のみを売りとした怪作に陥ることなく奥行きのある作品となっているのはそのためである。
また、その極端で過激な描写(主に顔)から、本作は一種のギャグ漫画としても楽しめるのも懐が広くてよい。まさに笑いと狂気は紙一重の好例である。

武士という階級が社会から消滅した後も、我々日本人は時代に応じて様々な形で武士道を解釈し続けてきた。ある時は時代錯誤で野蛮な因習として、またある時は世界に誇るべき美しい伝統として。
だが、本作に接し、そこで描かれる苛烈で異形で、しかしどこか美しい武士道の世界に触れたとき、そんな後世の解釈はどれも現代人の価値観に基づく都合の良い解釈に過ぎないのではという気すらしてきた。「シグルイ」の侍達は、みな我々とは近いようでどこか違う無明の世界に生きている。だが、それは確かに我々のご先祖が歩んできた世界でもあったのだ。
そう思わせてくれただけでも、この作品は俄然10点である。ぬふぅ。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2009-12-16 00:28:30] [修正:2009-12-16 01:47:31] [このレビューのURL]

8点 s-fateさん

原作も読みましたが、同じ名前の登場人物はいる。エログロなところも似ている。でも、なんでこうなるの?ってくらい話が変わっている。たしか編集者がたまたま資料として持ち込んだ原作を山口さんがやたら気に入って是非これを描きたい!と言い出して漫画化されたものだけあって、筆が乗っている感が伝わってくる良作です。
ただし、万人に勧められるかと言えば、そこは山口さんの作品ですので、読み手を選びます。表紙見て受け付けないようでしたら、やめておいた方が良いです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-12-13 02:05:18] [修正:2009-12-13 02:05:18] [このレビューのURL]

7点 二軍Tシャツさん

なんていうか・・・個人的には7点と高評価なんですが、この作品を世間一般の人全員に無理矢理でも読ませた結果で考えた時の点数は、きっと4点5点になるんだろうと思います。
理由は一つ、「大好きな人と大嫌いな人がそれぞれ高評価、低評価するから。」
これから読む人に知っていただきたいのは、「グロが苦手な人は、はなからこの作品にあまり手を出さない、この作品を読んだ人がレビューをしてる。」ということです。
何も知らずに、ただ「高評価だから面白いに違いない」と考えている未読の方がおられるなら、気をつけた方がいい作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-12-04 15:58:46] [修正:2009-12-04 15:58:46] [このレビューのURL]

10点 二階堂 心さん

ぬるい漫画に飽きた人、読んでください
グロ耐性いるのかな?
自分は一回もグロいと思わなかったんだけど・・・

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-30 15:03:04] [修正:2009-11-30 15:03:04] [このレビューのURL]

8点 オカシューさん

「覚悟のススメ」は好きだったのですが、その後の作品はそれほど楽しめずこの人の漫画は読まなくなっていました。

ここのレビューで高評価の為、1冊買って読んだ所チョ〜ウケル!(ちがうか・・・)
どうやら私にとって「大当たり」だったようです。

「覚悟のススメ」での長所が多く受け継がれており、コメディ的部分は取り除かれたもののその分読み応えのあるバイオレンスアクションとして完成された気がします。

特に時代劇としての負の部分の描写がお見事。
身内など自分の大切な人間以外への扱いの凄さ。まるでゴミ扱いです。
現代と異なる価値観は人の醜さを浮き出させるのにとても効果的です。

また対決シーンもとても良く、時代劇の原作を原作以上に良くしたと思える点では「バカボンド」に匹敵するのではないでしょうか。

これは続きが楽しみだぁ〜!!

所持巻数 6巻

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-08-18 22:00:22] [修正:2009-08-18 22:00:22] [このレビューのURL]

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