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7.62点(レビュー数:8人)

作者曽田正人

巻数9巻 (完結)

連載誌ビッグコミックスピリッツ:2007年~ / 小学館

更新時刻 2009-11-25 06:42:31

あらすじ アメリカを後にした宮本すばるは、芸術監督のミハイロフに引き抜かれ、ベルリン・ワルデハイム・バレエ団に所属していた。バレエ団の日本ツアーが決まり、母国のバレエファンからは凱旋を待望されていたすばるだったが、肺炎によりキャンセル。にも関わらず、プロサッカーリーグの練習に乱入するなど、とんでもない無理をしていて…

備考 『昴』の新章ではあるがタイトルを変更しての再開(隔週連載)。

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MOON 昴 ソリチュード スタンディングのレビュー

点数別:
6件~ 8件を表示/全8 件

10点 左手さん

 「天才の苦悩と成長(前作の昴以上に)」

 前作の昴もレビューしました。さらなる主人公の宮本すばるの成長ストーリーが展開されていて、前作では独りよがりな孤高の天才が周囲の人を引っ張り成長する物語でしたが、今回では少し異なり、それまで引っ張ることしかなかった周りの人、特にパートナーと共にぶつかり合いながらさらなる高みへ向かう成長物語となり、天才が独りでなくなり、また、同等のライバルの出現など、この作者は天才すばるをどこまでもっていくつもりなのか、まさに天才を描く天才、曽田正人のやることには畏怖します。

 絵の描き方についてなのですが、思ったよりもバレエのコマが少ないと思いました。
 これは私自身が思っただけですが、例えば普通のスポーツ漫画ではメインのそのスポーツをより長くかくことが多々ありますが、この昴・MOONでは思ったよりも少ないコマでバレエシーンが描かれており、作者自身がバレエの芸術的な感じやバレエの刹那な時間がより際立つ勢いのあるタッチで描かれていて、読んでいてもその短さを感じさせない、むしろ読者自身がその間のコマや時間を補完して読んでいるような気がします。

 他の漫画に比べ、ハチミツとクローバーの羽海野チカやNANAの矢沢あいのような少女漫画のようなラフな線で常に躍動感のある絵になっていてバレエシーンでもすんなりと読め、読んでいる勢いをそのままに保ってくれている。それもまたこの漫画を褒めちぎってしまうところです。

 これは私事なのですが、すばるの炎のような激しい生き方にボレロの観客の一言「こんなテンションで生きてえな」に共感せずにいられないッッッ!!!!!ので超オススメです。

 (投稿現在、昴全11巻、MOON6巻まで所持)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-12 23:57:00] [修正:2011-05-12 23:58:41] [このレビューのURL]

8点 とろっちさん

「天才を描く」曽田正人の作品の中でも、すばるはまた毛色が違う感じ。
この作品は正に、圧倒的なすばるの才能だけで成立しているように思えます。

そもそもすばるというキャラは主人公向きではないんですよね。
人物的にはあまり魅力的とは言い難いです。
だからこそ、踊っているときのすばるの狂気を孕んだ魅力、それが見事なまでに際立ちます。
そしてその天賦の才能を余すところなく描写している作者の卓越した表現力。
絵が上手いとは素直に言い難いですが、これだけの凄みを見せ付けられると、ラフ画のように飛び交う
線の一本一本にも技巧に勝る何か強い力が込められていると思わざるを得ません。

ただ、前作「昴」と今作「MOON」とでは全く違った印象の作品になっているように感じました。

前作でのすばるは、何と言うか、非常に「危うい」存在。
読んでいて、ナイフで鉛筆を極限まで削るような感覚。
削るほどにどんどん尖っていきます。 折れやすさと引き換えに。
いつかどこかで折れそうな研ぎ澄まされた危うさを内に秘め、だからこそすばるはあんなにも輝きます。

対して今作でのすばるは、天才としてのエキセントリックさを前面に押し出してはいますが、
根底にあるのは、すばる自身の「力強さ」。
自分を強く持ち、どこまでも自己を強く表現していて、それが輝きにつながっています。

すばるが自分で語っていたように、「バレエに対する畏れを失ったこと」が印象の差異の一因に
なっているのかもしれません。
前作でのすばるは、孤高。 高みを目指そうとすればするほど孤独になっていく宿命。
今作でのすばるにそれが感じられないのは、ニコというパートナーを手に入れたからか。
それだけではないような気がするんだけどなあ。
願わくば、前作「昴」と今作「MOON」との間の時間も読んでみたいところではあります。
まさかアレックスとのロマンスだけでそれほど変わってしまったわけでもあるまいに。


考えてみると、わざわざタイトルを変更したことにも大きな意味が込められているのでしょう。
他の星よりも一際明るく輝く「昴」から、さらにもっと明るく、もっと妖しく、もっと美しく輝く「月」へ。
複数の星が寄り添うようにして輝く「昴」から、夜空に圧倒的に君臨する「月」へ。
それでも人々を明るく照らす「太陽」にはなり得ないところがすばるらしいのかもしれないですが。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-02-10 00:48:37] [修正:2011-02-10 00:51:08] [このレビューのURL]

8点 フクポルさん

<所持歴:全巻。収集中>

相変わらず、唯我独尊ぶりを発揮している主人公。
1巻の時点ではまだその部分が大半で、有無を言わさず惹きつけるという魅力は少なめ。
まだ1巻なので仕方ないけど、その分続きが楽しみ。

**追記(3巻発売時点)**
2巻、3巻と進むにつれ、昴の魅力が発揮されてきた。
読んでて鳥肌の立つ、数少ない作品。
7点→8点に変更。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-03-07 14:28:38] [修正:2010-02-07 21:23:29] [このレビューのURL]


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