あらすじ
古いアパートで楽しく平和な生活をおくる美大生の森田、真山、竹本が親しい助教授のいとこの娘・はぐに出会い……。
美大を舞台に少し複雑な恋模様や青春を描く物語。
備考
2000年から2001年までは「CUTiEcomic」で2001年から2005年までは「YOUNG YOU」で連載していたが、休刊に伴い「コーラス」に移籍した。
2005年4月から9月までフジテレビ系列の「ノイタミナ」枠で、2006年6月からは第2期として「ハチミツとクローバーII」が同枠でテレビアニメ化された。
又、2006年にアスミック・エース製作で実写映画化、2008年にはフジテレビ系列にてテレビドラマ化されている。
ハチミツとクローバーのレビュー
7点 小嘘騙りさん
ラスト近く、竹本が買い物をするはぐみを見ているシーンが秀逸。
青春時代を終えて旅立つ若者の、寂寞感とか清涼感とかいったものをよく表現していると思う。
大ヒットした本作だが、いろいろ特色があるマンガだ。
まず、数多くの登場人物がそれぞれのエピソードを持っていて、またそれを各登場人物の視点を上手く切り替えながらつなげている。
一つ一つのエピソードでも十分なボリュームがあって、しかもそれを積み重ねるようにつなげているので、読者はそれぞれの登場人物に感情移入しながら飽きることなく読めるようにできていると思う。
もうひとつは、とても綿密に取材をして書いているということ。
竹本の自転車旅行とか、はぐみの入院とか、細部が細かく書かれていて感心する。(トンネルの中ではトラックがすぐそばを通っていくとか、自転車をこぐと食べ物がエネルギーになることを実感するとか、書物だけでなくきっと経験者に話を聞いたりしてると思う。)
三つ目に、森田というキャラクターの存在。
この人のエピソードだけ視点が一人称でなく三人称で、話にリアリティがない。他の登場人物のエピソードがリアルに書かれているのと比べてはっきりと違いがある。
これは、この人は(作中で実際そう言われているように)王子様キャラとして用意されているからだと思う。
明るくて、お調子者で、ちょっと天然で、ありあまる才能を持っている(しかも美形)、こんな人が身近にいたら楽しいだろうし、王子様なのだから現実感はなくて当たり前なのだ。
このキャラのおかげでせっかくのリアリティが損なわれているともいえるが、反面このキャラがいなかったらどうだろうか。ただの地味な青春マンガになってしまわないだろうか。良作だけど知る人ぞ知る、みたいな。
少女マンガとしてヒットするのに、森田は不可欠な王子様キャラだったのである。
他にも、少女マンガ的な悪乗りの部分があって、苦手な人にはつらいと思うがでもしょうがない。少女マンガなんだもの。
そして一番感心するのは、こういったことはきっと全て計算づくで書かれているのだろうということ。
いい作品を書いて、きっちりヒットさせた作者の手腕に感心する。
ただ、残念なのは「才能を持つもの同士の惹かれあい」みたいなテーマはあまり消化できていないということ。
はぐみの方はそのへんが直接的に描かれていないし、森田のほうは半分冗談のようにして描かれているので(アカデミー賞?とか)、この二人に突出した美術の才能があるということがあんまりピンとこない。
次回作ではきっとその辺を掘り下げるんじゃないかな、と勝手に期待している。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2008-04-20 16:25:05] [修正:2008-04-20 16:25:05] [このレビューのURL]
9点 玄米茶さん
※完全に個人的な感想です。気にしないでください。
「三月のライオン」もそうだが、この人のマンガはド真ん中に真っ当なマンガなので、「面白かった」以外の感想がでてこない。無理に何か言おうとすると、「オレの学生時代はこんなにいいモンじゃなかった…」みたいなイジケたものになってしまう。このマンガの全編に流れる真っ当さの前には、ヒネクレたマンガオタクの屁理屈など全く無意味だ。
一コマ一コマの描写から、(これを描いてくれるなんて)いいなあ、うれしいなあ、と感じる。マンガでしか表現できないドタバタもよかった。ポエムも一生懸命読んでしまった。
ようするに、面白かった。
健全さは不健全から逆算して導き出されるものだと思う。ヒネクレたオタクが、自身のヒネクレに気づいてしまったとき、真っ当さへの憧れが生まれるのだろう。本当に、愛が溢れているマンガである。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-01-12 23:54:50] [修正:2011-01-12 23:54:50] [このレビューのURL]
9点 ぴこりんさん
片想いの色々な視点、感情描写が描かれていて
なんか無条件で、
とにかく恋をしたくなる・・・
そんな作品でした。
彼氏が欲しいとか、じゃなくて、
心から恋を始めたくなる・・・
って感じ!
こんな恋愛って、学生の頃しか出来ないような気がする。
お金は無いけど、
時間も余裕も若さも未来も可能性もあって、
全てが曖昧で確立されていないからこそ
相手のことが知りたかったり
自分のことが知りたかったり
時間を持て余すからこそ
葛藤して悩んでみたり
そんな自分に酔ってみたり
そんな若者の青クサイ感じを
作者は確信犯で描いている気がしました。
ラストは泣けました。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2008-06-04 23:23:55] [修正:2008-06-04 23:23:55] [このレビューのURL]
7点 電光石火さん
キャラは可愛いし、話としても綺麗。大学生向きですね。
リアルが充実している大学生は共感し、そうでない人はなんだか切なくなるw
ほわほわした絵柄だけど女性だけでなく男性でも楽しめる内容だし、心理描写的にも男女キャラ問わず、全員主人公と言えるほど平等に深く描かれています。
全員が片思いというシチュエーションで始まるので、誰か好きなキャラを応援しながら読むと感情移入しやすいかもしれません。
ちなみに俺は竹本くんが好きです。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2008-04-13 00:19:05] [修正:2008-04-15 19:48:11] [このレビューのURL]
9点 Aikouka3さん
全体的にふわふわした雰囲気がこの作品に良くあっていて、登場人物の細やかな心情描写により感情移入しやすかった。美大を舞台にしただけあって、登場人物の髪型とか服装がオシャレで素敵。登場人物はみな純粋でいい子なので、恋愛がどう転んでも素直に応援できた。
ポエム調の中盤になると面白さが加速し、純粋に人を思う気持ちが心に響いてきて、何度か泣いてしまった。ギャグのセンスも良くて、良いアクセントになっていた。ラストでどう転ぶか若干不安だったけど、凄く良いオチの付け方だったと思う。
若干読みにくい所もあったものの、全体として非常に良い出来だったと思う。
この作品で一人旅がしたくなった。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2014-06-16 20:21:38] [修正:2014-06-16 20:21:38] [このレビューのURL]
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