あらすじ
「人の命は平等に価値がない」
そう断言し、圧倒的な力を持つモン。
そしてモンに魅かれ力を望むトシの2人は特に意味もなく爆弾テロを起こし、一般市民を虐殺していく。
あまりにも生々しい虐殺シーンは被害者の「痛み」がそのまま伝わってくる。
やがてトシは警察に捕らえられる。
その後モンは完全武装し警察署を襲撃。
2人は人質を取ったものの警察署の周りは完全に包囲されている。
その状況で要求を聞かれたトシは3つの要求をする
1 人の命の重さと値段の国家の公式見解
2 人を殺してはいけない理由
3 世に棲む生けとし生けるものすべてが、自由に平和に、平等に、美しく、明るく、楽しく暮らせる幸福と善意と優しさと愛に満ちた世界
ザ・ワールド・イズ・マインのレビュー
8点 電光石火さん
休みの日、半日かけて読破しました。
最終巻だけは少し評価できないけれど、それ以外はパーフェクト。
漫画のところどころにあるメッセージにチープさを感じないし、真剣に考えさせられるような内容。
トシの母のエピソードで一気に引き込まれた。後半のトシの父の演説も良かった。
全てのメッセージにわざとらしさがない。ただ語るだけなら誰でもできるけれど、作者は漫画の中でメッセージに込められたものを再現した上で語っているからだと思う。
残酷描写があるが、いろいろな漫画を読んでいると特に気にならない。他にもただ残酷なだけの漫画はいくらでもある。大量殺人というテーマを描くには必要不可欠でもある。現実にそういう残酷な殺され方をしている人もいるだろうし、この漫画は一つの大きな架空の事件の、ドキュメントとして見てほしい。
犯人・警察・加害者の親、色んな視点から描いている点からしてもドキュメントと言えると思う。
ただし最初に言った最終巻を除けば。
それまでの流れと最終巻あたりの物語が違いすぎる。視点が個人個人からバードビューのように変わった。
おそらく読者としてはトシ・モンが出てくるところを見るのが一番楽しい。だからトシがつかまってモンが行方不明になったあたりで、物語は収束に向かうべきだったように思う。
そのあとの世界情勢だとかそのあたりは申し訳ないが少し流し読みしてしまった。あとヒグマドンという設定はこの物語に必須だったのだろうか?
さまざま思うことはあるけれど、全体を通して素晴らしい作品であることは間違いない。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2008-04-20 22:02:04] [修正:2008-04-20 22:02:04] [このレビューのURL]
5点 団背広さん
この漫画、どうやら絶版化してるらしく探すのに苦労した。
こういう本を探すときには古本屋が役に立つね。
読んでいてずっと既視感を感じていたのだが、一体それが何の既視感なのかわからなかった。が、後半に出てきたあるキャラクターの名前を見てああ、と気づいた。
この漫画は伊丹十三の映画にそっくりなのだ。
個性の強い脇役を山ほど出して、それぞれに個々のエピソードを与えてしっかりそれを描く。これは映画の「たんぽぽ」とかと同じ手だ。あれも本筋と関係のない脇役の話が面白く、しつこいくらいに多いそれが独自の世界を形作っていた。この漫画も同じ、脇役たちの話が主役を差し置いてまで大きく描かれる。
いや、驚いた。まさか漫画で邦画の感覚を思い出すことになろうとは。この点は完全にこの作者独自のものだろう、評価できる。
しかし、まぁ…はっきり言いまして、俺はこの作者とは肌が合わんな。
抽象的なんだよ、全体的に。言葉と理屈をあまり信用していない俺のような人間にとっては、この手の芸術感覚とでも言いますか、抽象性ははっきり言って気に入らん。こんなところまで邦画的なのには参る。
それに、方言がキツすぎて意味のわからんセリフが多いのがなんとも…
いくらか説明も入るけど、正直言って全然足りない。もう少し方言を砕くか、いっそ標準語でやってほしかったな…
日本語の漫画だっていうのにいちいち解読の手間がいるのはちょっとつらいよ。
あとは主人公たちに感情移入できないとか、やたら多いテロップがウザいとか、変な露悪性が鼻につくとか色々言いたいことはあるのだが、結局趣味が合わない、肌が合わないってことなんだろうな。
10年か20年過ぎてからまた読めば、印象が変わってくるのかもしれないが…とりあえず今の俺には合わないようだ。
なんか「たんぽぽ」見てたらいきなり「エヴァ」になって、最後は「2001年宇宙の旅」で終わったような、そんな印象。
パクリって言いたいわけじゃないけど、まぁ俺にはそう見えた。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2005-06-06 01:52:21] [修正:2005-06-06 01:52:21] [このレビューのURL]
8点 デビルチョコさん
面白いか、つまらないかと問われると、
「。。。つまらなくはない」と答える。
ストーリーが好きか、嫌いかと問われると、
「。。。嫌いじゃない」と答える。
読んで良かったか、読まなくてもよかったかと問われると、
「読んで良かった」と即答する。
ストーリー構成がよく練られていた。
事件に関わった被害者や加害者の家族の描写は作品として重みがあった。
何度も読み返したいとは思わないが、
数年後にまた読んでみたいとは思った。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2015-04-03 16:28:39] [修正:2015-04-03 20:30:35] [このレビューのURL]
0点 童貞小僧さん
これ本当にしょーもない。
この作者の考えるカリスマ性ってのが薄っぺらい
まともな道徳を持っている人は不愉快な気分にしかなりません
ストーリーも面白くありません
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2014-01-03 22:46:14] [修正:2014-02-12 02:59:22] [このレビューのURL]
9点 拙僧若輩にてさん
「感情移入できるか」「洗練されて良くできたストーリーか」ということを基準にすれば「優」でもなく「良」でもなく「可」ですらないかもしれない。
「ガツンとくるか」「考えさせられるものがあるか」ということを基準にすれば間違いなく「抜群」
鬼才、新井英樹の持つ力のベクトルが「人気」だとか「儲け」だとか普通ならば気になる所に寄り道することなく、ただ「伝える」という一点に集中した、そんな作品。
面白いかどうかは保障し兼ねるも、読めば既存の価値観をぶち壊してくれることは間違い無い。
メッセージを伝える下地に、目も当てられない程の大量殺人を選んだのには脱帽だった。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-06-21 14:17:40] [修正:2011-06-21 14:46:32] [このレビューのURL]
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