ザ・ワールド・イズ・マインのレビュー
9点 dollboxさん
見るも無惨な残虐描写の連続、社会を小馬鹿にしたような皮肉的で不道徳な言動の数々。
これらは時にニュースやドキュメンタリー以上のリアリティを放ち、鈍感になった僕のアンテナを刺激し続けるのだ。
それは人間の本質を客観的に映し出し、命の尊さを嘲笑うかのような、作中に漂う「生々しさ」が原因なのでしょう。
『命の値段いくらや!?』
トシがこの言葉を発した時から、無意識の内に僕は作中の人間の価値を勘定し続けていた。
そこから見えてきたのは尊いと感じる命と、そうでないものの存在。
それが命には平等に価値がないということなのか?
そしてそれが自分自身の想像力の限界なのか?
だけど、核兵器が世界中に放たれた瞬間こうも思った。
ああ、人間の命はなんて尊いんだろうと。
結局僕の感性なんてものはそんな曖昧でいい加減なものなのかもしれない。
作り話の中にしかリアルを感じられないなんてどうかしてる。
貧困な想像力は馬鹿の証なり。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2005-07-16 23:39:34] [修正:2005-07-16 23:39:34] [このレビューのURL]
9点 punpeeさん
最凶最悪の道徳の教科書。
これでもかというリアリティ溢れる痛みの表現に、読み手も想像力を働かさずにはいられない(はず…)。
おそらく、まともな方はこの作品に多少なりとも嫌悪感を抱くのではないでしょうか。
残酷性だけでなく、ゴチャゴチャして情報量が多く、癖がありスロースターターな作風も相まって、作品に入り込む敷居はかなり高めになっていると思います。
しかし、これは例えば「殺し屋1」の様な、娯楽暴力漫画等とは性質そのものが違います。
作者のメッセージや問題提起は、キャラクターによってきっちり代弁されています。
めちゃくちゃ当たり前の事を言いますが、読み手がまず敷居を跨げるか、
そしてこの物語やメッセージをどの様に想像、解釈出来るかで評価が分かれてくると思います。
「そんなに小難しく漫画を読みたくない」という方はスルーしていい作品です。
また、低評価を付けられている方を軽んじている訳では決してありません。
(私も、世間的に評価されている「風の谷のナウシカ」を、前述のゴチャゴチャした読みにくさという点で、思考停止してしまったクチなので。)
色々書きましたが、作品そのものの性質としては、「寄生獣」とも変わらない気もする、崇高なテーマの作品だと思っています。
そして特筆すべきは、この作者は時代の先見性に優れ、キャラクターやセリフが洗練されています。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2016-06-28 21:49:46] [修正:2016-06-28 21:49:46] [このレビューのURL]
9点 てっちさん
レビューを書いたみたら、長文になりました…。
嫌いな人、すんません…。
テーマは「想像する」でしょうか。
痛いのを想像する。辛いのを想像する。楽しいのを想像する。
相手の気持ちを想像する。
ゲーム世代は、想像力が欠如しているから、凶悪犯罪にいともたやすく手を染めると言われている。
「殺さないと自分が殺される」と強く想像できる人が殺しに手を染める。
各々の想像によっては、
生も死も紙一重だということです。
作中、たくさんの「生きている」人が突然に「死んでいく」姿が、とてもリアルな描写で登場します。
同時に、たくさんの想像できない普通の人も登場します。
トシモンが繰り広げる虐殺に、「なんだつまんねえ100人かよ」「トシモンごっこだ」などどはしゃいでいます。身内や恋人じゃないと想像もできない「死」。
まさしく、これは現実なんですが、あまりに現実すぎて目を背けてしまいます。しかし、これは私たちに対するメッセージでもあります。
『本当に想像できてる?』
「盛り上がりが足りない」「描写が甘い」「最終回前に一人は死なないと」などと、知ったふりして、漫画を読んでいた自分には、このメッセージは強烈でした。
吐き気を覚えるほどの虐殺シーンも、テレビやネットで刺激に慣れてしまって想像できない私たちに届くように描いた結果だと思います。
どんなうれしいことでも悲しいことでも「なんかドラマみたい…」で済んでしまい、国政選挙も「何してんだかわかんないから」と投票率も低下。皮膚感覚で現実が分かりづらい世の中。
リアリストって言うと悪い人みたいなイメージありますが…
現実を見つめて、未来を、この世の行く末を「想像」して、私たちの手で素晴らしい世界を造る、と強く願って行動すれば、叶わないことはないってことです。
誰に願うのか。神様?神様すら、人間の「想像力」が心に生み出したものだから。神様はただ、そこにいるだけで、願いを叶えてはくれない。結局、美しい世界を造る願いを叶えるのは、一人一人の意志のみです。
くさいけど、それが「世界は私のものだ」ってことなんでしょう。
他の人も書いてますが、9・11以前にこの漫画がこのテーマで描かれていることに改めてびっくりします。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2007-07-10 23:51:16] [修正:2007-07-11 00:26:14] [このレビューのURL]
8点 森エンテスさん
この作品が漫画で良かった。白黒で良かった。
実写で観たら、おそらくあまりの残酷描写に吐いてしまうでしょう。
この凄惨な世界に哲学をブチ込んで、手に入れた物が何だったのかはわからないが、読んでいて震えが止まらない作品なんてそうない。
こういう物語に救われる人もいると思います。
凄い作品です。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-15 21:32:02] [修正:2010-12-15 21:32:02] [このレビューのURL]
1点 bugbugさん
えらい不道徳で、意味不明な漫画。読後に嫌悪感しか残りませんでした
はっきりいって嫌いな漫画
登場人物の思考が頭悪すぎて、現実感がありません
主人公二人の思考が理解できないのは、そういうお話なので理解できますが
警察官、総理大臣、マスコミ、被害者、芸能人
すべての人間の思考回路にリアリティが感じられません
特に、政治家や新聞社や人権派と呼ばれるような人たちの書き方に、悪意がこもっていたように感じましたね
作者はなにか変な偏見を持っているのではないでしょうか
終盤にかけの展開は支離滅裂で
なんだかよく分からないから、祭り上げられている作品の典型です。それっぽい言葉を並べればいいというものじゃない
現実世界をベースに構築されたストーリーである以上
もっと緻密なストーリー構成、行動の動機付けを行わないと、物語自体が破綻しているようにしか映りません
独特のセリフ回しや演出は光るものがあったと思います
この辺がファンが多い理由かもしれません
画力は下手くそなうえに、人を選ぶ絵柄なので
かなりきついです
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2009-01-28 12:01:31] [修正:2009-06-05 06:01:50] [このレビューのURL]
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