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6.7点(レビュー数:20人)

作者岩永亮太郎

巻数23巻 (連載中)

連載誌月刊少年マガジン:2002年~ / 講談社

更新時刻 2009-11-25 06:36:08

あらすじ 社会を覆う欺瞞のブ厚い皮を斬り裂き、腐敗したその実を暴き出す!!帝国陸軍情報部第3課 通称――Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)!!!

備考 「マガジンGREAT」(後のマガジンイーノ)で連載開始。2006年10月より「月刊少年マガジン」に移籍。単行本はKCDXから発売。

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Pumpkin Scissorsのレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全20 件

9点 パンダマンさん

 読んだ感想は面白いという以上に怖かったです。この怖さを正確に表現できるかわかりませんが、この作品が架空の世界、架空の話でありながら戦争の闇の部分を的確に捉えている作品なので長くなりますが書いてみます

 「殺人マシン」という言葉に疑問を思ったことはないでしょうか。殺人者ではなく殺人マシン。この「マシン」という部分に戦争の暗闇の一部があるとは日本人ではあまり想像できない事かもしれません。
 第一次、第二次世界大戦で戦闘の長期化が起きると、兵士は人を殺す罪悪感と命を奪われる緊張感から、精神を蝕まれ銃を持っていても発砲しなくなったそうです。その割合は7割強。これは軍隊としてはかなり深刻な状況でした。
 事態を深刻にとらえた軍上層部は、徹底的な訓練を行います。徹底的な訓練というと聞こえがいいですが、実際は心の底から殺人できるように洗脳していきます。人の形をした銃を撃つターゲットを見たことがあると思います。あれも人をみたら躊躇なく殺せるようにする方法の一つで、これは非常に効果がありました。厳しい訓練を受けたものほど、より冷酷に効率よく人を殺せるようになっていきました。訓練は大成功でした。兵士達は敵兵だけではなく民間人でも平気で殺せるようになっていました。それこそマシンのように。
 しかしここで問題が起きました。戦争が終わり帰ってきた兵士は、元の生活に戻れなくなっていました。心から人を殺す事を「訓練」されてしまった為に。
常識的な行動、すべき事はわかっているのですが戦場から心が戻れないのです。そして自分たちが知らずに人間以外のものになっていた事に、背負いきれない十字架を背負ってしまっていた事に気がつきます。多くの者が殺人者となったり、人を殺した罪悪感から自殺者が多数の出ました。これは現代の戦争を経験した多くの国で問題になっています

 この作品の主人公も普段は温厚ですが、一度戦闘になると非情な殺人マシンへとスイッチが入ります。「スイッチ」を読者にもわかりやすく表現された青く灯るランタンがとても印象的です。そして殺した後に自分の凶暴さと罪悪感で絶望します。これはとても現実的でよく描かれていると思いました。
 作中では、一見非現実的非人道的な特殊部隊が色々出てきます。しかし、戦争という空間はやってしまってはいけないというリミットが外れやすい所。想像したことをやりたい、やってしまう事が許される世界。非現実的と思われる行いが現実になる世界。その異常さがこの漫画ではエンターテイメントの範囲で表現されています。正直怖くて寒気が止まりませんでした。
現実の世界でも厳しい訓練を行い洗脳するよりも、攻殻機動隊のように脳を直接いじって一流の兵士を作る研究が行われています

 この作品は戦争が起こす狂気の世界とそれが残した爪痕を少しでも実感できるかもしれません。ただ架空の世界で書かれているからかろうじて読めますが、この漫画で表現された狂気の世界が虚構ではなく「リアル」だという事を本当に感じた時怖くなります
 この暗闇を本当に照らすことなど出来ない事かもしれない。でも、それでも考え模索するこの作品には意味があり、それだけの価値がある

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-04-10 01:13:07] [修正:2009-04-10 01:13:07] [このレビューのURL]

2点 Scroogeさん

休戦中の帝国を舞台にした軍人たちの漫画。
いかに敵を倒すかでなく、戦争で傷ついた人と社会に対して何ができるのかを模索するのがテーマ。
ぶっちゃければ答えは正解なし。
国家システムの欺瞞や有力者の都合の狭間をうまい事どうにかしつつ人々に寄り添いあがくだけ。

主人公はパンプキンシザーズ小隊の面々。庶民として、貴族として、ベテラン軍人として、
様々な立場から頑張るという話。
骨太かつオリジナリティのあるテーマでとても魅力的。
作者のどうあってもこれを描くのだという決意と情熱がすごい。

だが、この作品を特徴づけるのは漫画としての下手さ加減。
上手い部分がない。
設定、キャラクターデザイン、構図、セリフ回し、話の展開。
あらゆる部分がダサく野暮ったい。

見た目を洗練させる事をすっぱり諦めて、ただひたすらテーマを掘り下げている。
それを作者の傲慢と取るか、読者に媚びない姿勢と取るかが評価を分けるだろう。

物語の冒頭は意味不明で、他の方のレビューやアニメを見て、
いろいろと想像で補ったうえでどうにか辻褄の合う物語性を見出すことができた。
漫画を読むだけなのに手間をかけさせられたという思いで2点。

ただ、世界観にすっと入り込めた人や、
コマとコマの間を読みほどく作業が苦にならない人なら、
高評価もあるだろう。

作者の魂をノミで削り出して作品化しているような物語だが、
結局どのような結末に着地するのかが、気になるところ。





ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-06-07 02:06:07] [修正:2016-06-07 02:06:48] [このレビューのURL]

7点 カメオさん

戦災復興、黒魔術的な技術革新、超能力、騎士、バーサーカー

この漫画を形作るピースをいくつか挙げてみる。
絵柄にあまり重厚感がないこともあり、一見すると薄っぺらいファンタジーのように見えてしまう。

が、読んでみると分かる。
前述のテーマを読者に多少強引ではあるが心地よく飲み込ませる、
非常に『説得力』のある漫画であるということが。
すこしでも踏み外せば茶番になってしまうところを”間違える”ことなく、
丁寧に、丁寧に描いているからだ。

戦災復興という、根幹となっているテーマに対して全く手を抜かないことが、
この漫画をブレない強い漫画にした。

似たような表現でしつこいかもしれないが
パッと見以上に「本当に、本当に、よくやっている漫画」なのだ。


ぜひ読んでほしい唯一無二の作品の一つである。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-11-01 12:49:11] [修正:2015-11-01 12:49:11] [このレビューのURL]

7点 デビルチョコさん

凄く分かりやすい戦争を題材にした漫画。

戦争を行う国としてのメリットやデメリットを、
上手くストーリーに絡めて描いている。

戦災復興という設定も良い。
戦時中ではなく、戦後の問題や人々の葛藤の描写が丁寧。

予想以上に壮大なスケールの為、まだまだ話が続きそう。
完結したら、また最初から読んでみようと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-02-14 00:29:10] [修正:2015-03-15 11:39:37] [このレビューのURL]

9点 木路亂さん

ずっと右肩上がり!
ホント面白い!
ただ画力が…
アニメも長期作品だったら間違いなく名作になっていたでしょう

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-03-26 18:07:58] [修正:2014-03-26 18:07:58] [このレビューのURL]

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