僕といっしょのレビュー
8点 朔太さん
家出をして東京に出てくる兄弟が、最初に出会う人物がイトキン。
上野動物園への案内をしてもらうが、これが有料。漢字も読めない上、
腕っ節もからっきしで、姿も異様。良い部分を見つけるのが困難な人物で、
第1話に登場する脇役か、と思っていたら、なんと最終話まで付いてくる
準主役ではないか。
すぐ夫という主人公のネーミングからいい加減で、これも徹底した駄目男である。
通常では、とてもこの二人を中心に物語は構成できそうにないが、ところどころで
オンナにもてたり、周囲の信頼を得たりして駄目人間でも生きる意味を与える。
しかし、結局はギャグマンガの宿命であるが、それが伏線として更なる笑える逆境となって落ちる。
日本一億総中流時代だった20年前の世代やそこに育てられた子供には笑えても、
戦中戦後世代あるいは今後の就職難民世代は笑えるのだろうか。
いつまでも、すぐ夫やイトキンは架空の人物として笑いたい。
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[投稿:2011-01-08 17:38:38] [修正:2011-01-08 17:38:38] [このレビューのURL]
8点 スケフサさん
稲中の次の作品で周りの反応がイマイチのようだったが、読むとおもしろかった。稲中が売れすぎたんだろう。個人的には稲中より好き。
ギャグに少しストーリーを入れたって感じだが、ストーリーは悲しいのだがそこにギャグを入れてあまり悲しくさせない所が作者の腕でもあると思う。
悲しさが少しあると逆に笑えたりしません?自分は笑えたりするからおもしろかった。
最終回では少し感動も出来たし良かった。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-10-27 19:31:24] [修正:2010-10-27 19:31:24] [このレビューのURL]
8点 dollboxさん
古谷実が稲中卓球部を経て発表した作品は、笑いの裏にも陰がある、先の見えない閉鎖的な青春ものだった。
この作品以降の古谷実の作風は「ヒミズ」や「わにとかげきす」といった、日常に密接する隠れた闇を描いたダークなものに傾倒してゆく。
そういった意味でこの作品は古谷実が単なる「下ネタギャグ作家」という肩書きでは括れなくなった重要な作品と言ってもいいでしょう。
僕はこの作品が古谷実の最高傑作だと思っている。
それはこの作品が彼の著作の中でもっともギャグとシリアスのバランスがとれたものであるためだ。
この作品のメインキャラである少年たちは、はっきり言って堕ちている。明日の朝には鬱になってもおかしくない状況ですらある。
なのにこの作品は、笑える。
彼らが苦悩し、失敗する姿は明らかに「稲中」の延長にあるギャグ漫画的なものなのである。
悲しみと可笑しさが同居する笑い。それはただ楽しいだけのそれとは一線を画すのである。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2006-11-11 23:57:39] [修正:2006-11-11 23:57:39] [このレビューのURL]
8点 真樹さん
登場キャラのダメ人間度は「稲中」以上。しかし、ネタに笑いながらも
次第に鬱な気分にさせてくれる不思議な作品。
後の作者のシリアス路線を暗示するかの様な、さりげに深い内容です。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2005-05-01 05:24:48] [修正:2005-05-01 05:24:48] [このレビューのURL]