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8.59点(レビュー数:216人)

作者三浦建太郎

巻数40巻 (未完終了)

連載誌ヤングアニマル:1989年~ / 白泉社

更新時刻 2012-10-21 09:38:28

あらすじ 身の丈を超える長大な剣を自在に操り、「使徒」と呼ばれる人間ならざる者を屠る「黒い剣士」ガッツを主人公とする大河ファンタジー。ガッツはある宿命に憑りつかれて、狂戦士のごとく剣をふるい、闇にうごめく化物どもと死闘を繰り広げる。その目的は、無為に殺された仲間たちの復讐と、大切なものを護るということ。二つの重荷を背負い、五人の守護天使ゴッドハンドを探し出すガッツは、その下に従う人外の存在、使徒との闘いの中で、運命に翻弄されつつも必死にあがく。

備考 途中から月1連載となった。

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ベルセルクのレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全216 件

10点 電光石火さん

[ネタバレあり]

 早く続きが読みたい本ナンバー1。
作者の漫画に賭ける姿勢はすさまじい。


 やはり物語に引き込まれたのは「あのシーン」。一人一人のキャラクターに深い魅力があるにも関わらず、無残にも殺す。しかし、だからこそ衝撃は凄まじいものがあった。

 「見ないで」という台詞を見たとき、少し呆然としてしまうほどのショックに襲われました。凄まじい漫画。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2008-04-12 22:29:00] [修正:2008-04-15 19:46:07] [このレビューのURL]

10点 polojoさん

[ネタバレあり]

2013年現在、人気、実力ともに最高峰の漫画の一つではないでしょうか。おそらく数十年後も多くの人々に読まれる漫画であると思います。

この漫画は「復讐劇」と「ファンタジー」と「中世ロマン」を見事に融合させています。ガッツは復讐をモチベーションとして、強大な相手と親友を殺す旅にでます。その復讐心がガッツ生まれるエピソードも途中にありますが、読者も充分すぎるぐらいにここで物語を読み進めていくモチベーションとガッツへの共感を手に入れることかと思います。

(もちろん、それまでの話も十二分に面白いです)

絵のタッチは動静で、非常にメリハリがあり、豪快さと綿密さを兼ね備えた見事なものです。ときにポップな絵などを入れて、読者を緊張しっぱなしにはさせません(ギャグがつまらないのは置いておきましょう)。背景にも、丁寧にペンを入れて細部にまで作者の熱意が込められています。

さらにすごいのは、この作者はものすごい研究熱心だそうで、衣服を描く際には服飾の図鑑を参考にしながら描き(なので、ベルセルクに描かれている衣服は全て作成可能だそうです)、主人公・ガッツの筋骨隆々として肉体にリアリティを出すために、人体の図鑑を参考にするだけでなく、自分自身を鍛え上げたという話さえあります。

戦いも面白く、たとえば敵を倒すときにも、ガッツが無双するだけでなく、脇キャラにも見せ場をつくり、軍隊的なストラテジーを駆使して相手の軍団を倒すこともあります。もちろん魔法もあり、ファンタジー感満点です。

ただマイナスポイントというか懸念なんですが、このベルセルクは連載が開始して20年以上たつのですが、終わる気配が『ワンピース』以上にありません。もともと掲載誌が隔週なうえに、作者がかなり休載していますので、単行本も年1ペースです。作者自身も「死ぬまでに頭の中のストーリーすべてを描き切れるか不安だ」と言っているそうです。

漫画としてのクオリティは、日本最高レベルだと思いますので、是非とも読んでいただきたいですね。非常におすすめです。








ナイスレビュー: 2

[投稿:2013-05-13 23:31:19] [修正:2013-05-13 23:31:19] [このレビューのURL]

6点 bkさん

絵の上手さは圧巻。とてもインパクトがあるし、「こりゃすごい」と思わせるものがある。

話の内容も面白い。

ただ、連載・休載期間が長いと、なーんとなく今後の展開が読めてしまう。
むろん、作中で伏線や、今後がわかるような描写がそれとなく入っているからなのだが、
一つ一つの大きな流れがゆっくりゆっくり進んで行く感じなので
毎週読んでいて「おお、今度はこういう展開とは!これは予想外!」という驚きの楽しさがあまり無い。
むしろ「やっと終わったか」という感想の方が大きい。
これではいくら絵や話が良くても、「面白い」という感想が薄れてしまう。
それが残念である。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-07-10 20:14:21] [修正:2009-07-10 20:14:21] [このレビューのURL]

9点 森エンテスさん

作者の逝去という形で不本意にも未完となった作品です。
この名作の物語の続きを読めないと知った時、涙が出ました。

それは作者の「死」が悲しいではなく、ここまで読者を驚かせ続けた作者が物語を収束させるという話をしていた矢先でもあり、きっと凄い衝撃的な物語と絵柄で読者を第2の蝕SHOCKを与えることを楽しみにしていたではないかと勝手に思い、それが出来なかった無念さを感じたのだと思います。

作者の死によって物語が未完になるのは非常に辛い。
しかし、最新巻までの物語でも何度でも読み返して感動できる。

ただ感謝するのみです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2022-02-07 23:13:13] [修正:2022-02-07 23:26:42] [このレビューのURL]

10点 nur_wer_die_sehnsuchtさん

[ネタバレあり]

『ベルセルク』はもの凄いよなぁ。あれは間違いなく大傑作であり、壮大な物語として後世に伝えられて行くよ。

マンガがなぜ文学のように芸術足り得ないのかと言えば、もちろん隠すこと、即ち比喩というものがないためなんだな。まあ、それをやっちゃうと誰もついてこないからなんだよ。芸術っていうものは悲しみを醸しだす、誘引するものだからなんだよ。エンターテインメントは面白おかしくなければいけないんだから、漫画は芸術には出来ないの。
だから漫画の様式、構造というものは、すべて芸術から離れるようになってるんだよ。テーマもコマ割りも絵の要素もすべて、楽しませるために極められてきたんだから。
だが、『ベルセルク』はそこから一歩抜け出している。

まず、あの世界観が素晴らしいわけだけど、それは現代と中世の融合なんだよ。横軸にはな。さらに縦軸としての霊性の話でもあるわけ。
最初に読んだ時には、よくある化け物退治のパターンなのかとも思った。 しかし、その裏側に秘めていたものが現れてから圧倒的な深さを持つ作品になったなぁ。あれを読めば分かるけど、作者は最初はただの化け物退治の物語を描こうとしていたんだよ。単なる復讐物であり、その相手が超常的な化け物であるだけ。そのパターンは実は日常なんだよ。劇画でしゃぶり尽くされているものなわけ。
まあ、中世世界が好きな作家のようだよな。科学などという人間を腐らせてしまう力ではなく、人間自身の力で生きていた時代だ。その大好きな中世と現代というものを融合させたんだな。

ガッツは中世の人間の象徴なんだよ。ただ運命を受け入れて真面目に生きる人間なわけ。
一方のグリフィスというのは実は現代人なんだよ。中世にあんな奴は絶対にいない。運命を受け入れずに自称「夢」という妄想に向かおうとする奴はいないわけ。それをやるのは現代人だけなのな。だから「渇望の王」なんだよ。
しかし作者はここに恐ろしい思想を挿入した。それはキリスト教の異端である、グノーシス主義というものなんだよ。

グノーシス主義というのは、要はこの世界が実は悪魔に支配されている、という主張なんだよな。まあ、あれは宗教と言うよりも多分に実存的な哲学なんだけどな。
だから5人の超常的な悪魔の王(ゴッドハンド)がいて、その眷属(使徒)がいる、という構造になっている。そして眷属たちは、己の欲するままに振舞うことを許されている。
この思想に則って、現代人の欲望を正当化するということを重ね合わせたんだよ。
それがグリフィスの求めていた「自分の国を持つ」という夢だったんだな。あれはもう現代人の有名人になりたいとか、大金持ちになりたい、という妄想と全く同じなわけ。
ただグリフィスはそれを実現できそうな人間として構築されている。それは現代でも通用する、努力を重ねることなんだよ。しかも多大な努力をこなしていく人物に設定された。

一方でガッツには夢が無いよな。全く無い。ただ剣を振る以外の何も無い。しかし、グリフィスはそういうガッツに惹かれて行く。それは何なのか、という問題だ。
それはガッツが真の人生というものを歩んでいる、ということなんだよ。どこに出しても恥ずかしくない、運命というものを受け入れ、それと戦っている人間の美しい姿なんだよな。
グリフィスは違うわけ。ワガママなんだよ。だから他人を巻き込み、その屍を踏み越えてまで進もうとするわけ。

そしてあの「蝕」が訪れる。あれが何なのかと言えば、巨大な運命というものなんだな。誰もが死に滅び行くしかない運命。そういう死人しかいなくなる場所でないと現代人のワガママというのは実現しないということなんだよ。ワガママは必ず潰えて終わる。しかし、終わらないワガママがあるとすれば、それはこの世ではないんだよな。

ここに、この作品の醍醐味である多元宇宙論があるんだよ。あの幽世という存在がそれだ。
あれは私がよく言う「エネルギー」という思想なんだよ。
実はこの世界というのは影なんだ。エネルギーの影。エネルギーが流れて、かくあるべく出来上がって回転しているだけ。それもまたグノーシス主義の思想なんだよ。まあ、相対性理論の世界とも言えるしな。
そのエネルギーの世界、つまり本質の世界に通暁する者たちを描こうとする点に、この『ベルセルク』の最も崇高な魅力がある。
断罪の塔篇を経て、物語は大きく転回するな。この世が今までの世界ではなくなってしまう。あれはエネルギーの幽世が物質世界に融合しつつある新たな多元宇宙を示している。
クシャーンというのは中世世界だ。その王が滅び、中世と現代が融合し、さらにエネルギーがそのまま物質と等価交換する多元宇宙の世界に移行した。

『ベルセルク』の作品世界では、この世を覆っている物質的な秩序が綻んでいる。それは「黄金時代篇」の中で傭兵軍団であるという現実の物質世界の秩序に従いながらも、ゾッドのような化物が顕れることで分かるわけだ。
そしてついに物質世界は崩壊する。
その崩壊は「幽世」との融合によって為されるわけ。つまり、多元宇宙として干渉を認識しなかった「幽世」が認識されるようになった、ということなんだよ。この世の物質の秩序を構成していたエネルギーの世界が見えるようになった、ということ。

まあ、その導入にあたって、私はどうしてこんなにも見事に描写出来るのかという驚きを持っているんだよ。
あれは神智学やユダヤ教の奥義であるカッバーラの映像化だからな。新たに仲間となった魔法使いシールケの精神世界の描写なんて、知る者には本当に驚くべきものがあるんだよなぁ。
「物質がどうして斯くあるのか」という事が、あの作者には分かっているとしか思えないんだよ。タダ者じゃないんだよなぁ。
相当魔術に関して研究したんだろう。オカルトに陥らずにな。

で、私個人はあの「黄金時代」よりも後半の世界が崩壊してからの方が好きなんだけどな。ファンタジーというよりも、歴史的な象徴として読んでいるから。
あれはもうキリスト教社会と、それ以外の世界が融合した、ということを比喩的に表現しているんだな。現代社会はキリスト教的なもの、欧米的なものにあまりにも多く覆われているから分からなくなっているんだよ。

例えば、魔女シールケが最初の仕事を引き受けた村で、その村の教会が建っていた土地は元々水の精霊を祭っていた場所だと教える。
キリスト教というのは、そうやって元々の宗教を潰し、引き受けながら大きくなっていったんだ。プロテスタントが大きな力を持つ以前は、キリスト教もその多くが聖母マリア信仰だったんだよ。キリストそのものではなかったわけ。
その聖母信仰は、元々北欧にあった大地母神信仰とまた結び付いていた。
そういうことが、『ベルセルク』のあちこちに散見される。
あの使徒の怪物デザインの多くはベーコンのものだしな。どうしてベーコンをモティーフにしたのかも分かるとまた面白いんだよな。

まあ、ここからどういう展開をして行くのか、もう私もわからんよ(笑)。作者も実は大いに悩んでいるのではないかな(笑)?
なんせあまりにも壮大すぎるからなぁ。生きてる間に描き切れれば大したものだと思うよ。
ベルセルクは漫画界における『死霊』だからな。未完で終わって何の不思議もない。
「物語」として進行しつつ、読者を惹きつけていくのは大変な労力なんだよな。まあ、こういう作品を描ければ、漫画家になった甲斐もある、というものだろうな。


追記
少しだけ、一応書いておくか。
フランシス・ベーコンという男は、キュビズムに刺激されて人間存在の本質というものを模索した画家なんだよ。
あの顔シリーズが有名だよな。あれを見れば分かるけど、人間というものを探るために破壊と変形を試みた、ということだ。
どこまで変えて人間であるのか。そこに何事か見出そうとした、ということだよな。その発想はキュビズムから得ている。
他にもいろんな動物を合体させて人体を作ってみたり、と様々な模索をしているよ。
でも彼は前半の制作を全部捨てているんだ。ここが重要だな。そして10年後にまた活動を再開したわけだけど、その時に最初に書いたのがキリストの磔刑なんだよ。
ベーコンの研究をしたい方は、この点を重要視するといいと思うぞ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-08-09 10:23:16] [修正:2019-04-06 19:57:28] [このレビューのURL]

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