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8.02点(レビュー数:83人)

作者井上雄彦

巻数15巻 (連載中)

連載誌週刊ヤングジャンプ:1999年~ / 集英社

更新時刻 2011-01-18 06:05:07

あらすじ バスケをやめてから何をやっても上手くいかなくなった男、野宮朋美が古ぼけた体育館で車イスの男、戸川清春と出会ったことから物語は始まる。彼らが直面する現実(リアル)とは…?

備考 5年の休載期間を経て連載が再開された。

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リアルのレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全83 件

 第1巻読んだ時、高校のバスケ部の空気感や高橋の人のランク付けとかすごいリアルだと思った。人生の生きづらさがビシバシ伝わってくる。第2巻以降も、自分ではどうしようもできない家庭環境や難病にかかったりと、読んでるこちら側が鬱積する。でも読む手が止まらない。
 なぜなら、作者の構成力、言葉の選び方、メリハリの利いた画のセンスがずば抜けているからだ。読んでいれば必ず琴線に触れる言葉とめぐり合える。そしてなにか動き出さなきゃいけない、このままじゃダメだと思わせる。それは厳しいことかもしれないが、この世界のリアルだ。

 5巻以降は、なかなか前向きにならない高橋のせいで失速するが、作者も語っているとおり、「はい、車椅子になりました。はい、車椅子バスケはじめましょう、という展開にはしたくなかった」と語っていたので、それもそうだなと思いつつ、最後まで付き合おうと思う。

ナイスレビュー: 7

[投稿:2010-01-05 16:39:36] [修正:2010-01-05 16:39:36] [このレビューのURL]

9点 団背広さん

井上雄彦はいい奴だ。スラムダンクで売れた名前を、車椅子バスケの知名度向上のために使うなんて…
大抵この手の障害者を扱った作品は説教っぽくなったり、変に感動ドラマっぽくなったりして一般層からは干されるのがオチなのだが、この作品はそうなるのを上手く避け、普通に読めるヒューマンドラマとして描いている。
笑いもある。感動もある。スポーツの興奮もある。魅力的なキャラクターも多い。
俺は障害者を扱った作品でここまでレベルの高いものを初めて見た。流石だ。

俺は障害者について描かれたものにはあまり客観的になれないので、極個人的な視点から9点をつけさせていただく。
それにしても、井上雄彦はいい奴だな。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2005-05-13 20:26:42] [修正:2005-05-13 20:26:42] [このレビューのURL]

4点 サアベドラさん

 現在の漫画界をひっぱる作家の一人、井上雄彦の青年向けバスケ漫画です。
 本作は非常に現実的で重いテーマを扱っており、得意のキレのあるドラマチックな物語展開でそれを読ませるものになっています。単純に漫画としては読んでいて面白いです。しかし、私にはどうも乗り切れませんでした。どうもテーマとストーリーがちぐはぐになっているな、という印象を受けたからです。

 一般読者にとっては、半身不随も車椅子バスケも暴力沙汰の高校中退も身近な話題ではありません。作中にもあるとおり、普通の人は「新聞の社会欄で目にするような」非日常的な問題です。本作ではそれを読者に突きつけて「これがリアルなんだぞ」と読ませるつくりになっています。普段はあまり知る機会のない、厳しい現実(リアル)の問題にショックを受け、目を向けてほしい、という作者の意図が伺えます。このこと自体には私も非常に共感できますし、実際本作で車椅子バスケというものを初めてまともに知りました。

 が、どうもしっくりこなかったのは物語の展開、すなわちテーマの見せ方です。本作は群像劇という体裁をとっており、3人の主人公が直面する厳しい現実(リアル)が交互に鮮やかに描かれます。で、それを得意のリアリティのある画力で魅せつけ、読者を畳みかけていくという、まるで紙の上で映画をやっているような、スピード感のある手法が本作ではとられています。井上氏はこのようなドラマチックな物語の持っていき方が非常に得意な作家で、それが縦横無尽に発揮されているスラムダンクやバガボンドはそれによって漫画史に名が残るヒット作になっているわけです。おそらく。

 ですが、そのようなドラマチックな展開は実は本作では裏目に出ているのではないかと思います。たしかにエンターテインメントとしては、このような緩急のある物語は読んでいて楽しい。その意味で、本作は非常にウェルメイドな、作りこまれた作品です。でも、現実を抉り出して読者に提示する、ある種のドキュメンタリーであることを目指している(と思われる)本作をこの手法で描くのは、なにか違和感を感じます。
 どんなに半身不随や高校中退という現実的でシリアスなテーマを扱っていても、このような映画のようなごてごてしたシナリオで語られては、結局は「リアルな物語」どまりになってしまっているように見えます。最低でも著者は前述のような啓蒙的意図を持ってこの作品を書いているはずです。ですが、本作はそれよりもまずエンターテインメントの側面に重点を置いた作品に仕上がっています。
 でもそれって、現実社会で本当に半身不随に苦しんでおられる方々に対して、何か失礼な気がしませんか?

 要するに、井上氏はこのような現実的な題材でさえもドラマチックな手法でしか書けないようなのです。そしてドラマチックに提示されたものはすでに「リアル」ではなくなる、というジレンマにも気づいていないのではないか、と思います。意図的にやっているとしたら、もってのほかです。

 よくできた物語としては8点。でも、作者の意図する「リアル」とはちょっと違うんじゃないか、ということで大幅に減点して4点としておきます。

ナイスレビュー: 4

[投稿:2009-05-05 15:22:35] [修正:2009-05-05 15:22:35] [このレビューのURL]

9点 鋼鉄くらげさん

非常に評価の難しい作品です。

何故なら、エンターテイメントとしての「面白い」という言葉の概念では、この作品の評価としては不適当なものだと思うからです。

この作品は、いわば三人の若者達のドキュメンタリー作品で、現実に苦悩し、葛藤する若者達の等身大の姿を、ありのままに描き出し、大衆社会へ提示することで、あなたはどう感じるか?を問うているものなのではないかと、私は思っています。

おそらくそこに答は無く、どう感じるかはその人次第。それ故に「娯楽」としての「面白さ」を物差しとしてこの作品を評価する事は、少しズレがあるのではないかと感じます。

もう一つ、この作品の正当な評価を難しくしているのが、この作品が「井上雄彦先生の作品だから」です。

有名作家が描いた作品という一般的事実が、また一段とこの作品に対する客観的な評価を難しくしています。

しかし、そうは言っても当の井上先生はこの上ない画力、構成力を持つ作家であり、「魅せる漫画」を描く作家の一人だと私は思っています。

圧倒的な画力と、キャラクター達の持つ魅力、そして読者一人ひとりを作品の世界観へと引き込ませる力、しかし一方で今後一つの作品として完成度の高いまとまりを持った作品となるかどうかは、まだ未知数である。という、以上の理由から、9点という評価を付けました。

<2011年1月 追記>

10巻まで行っても(10年経っても)未だに一念発起してやる気を見せようとしない高橋に対しては正直8巻辺りからイライラしていたんですが、しかしよくよく考えれば、それこそがごく普通の人間としての「リアルな姿」なのではないかと、そんな事を最近になって考え始めました。

普通の物語ならば、絶望の淵から再起して、社会復帰を目指そうとする高橋の挑戦物語が始まりそうなものなのですが、彼はいつまで経っても再起の一歩を踏み出せず、自分に言い訳をしたり、逃げる場所を探していたりしています。しかし、その高橋の姿こそが本来の人間が持つ姿であり、絶望の淵に堕ちた人間心理そのものではないかと私は考えました。

物語たりえない人間らしすぎる行動。それは、物語を構成する上では非常に大きな欠陥とも言える要素かもしれませんが、「リアル」を写実する上では実に重要な要素です。その意味で高橋は非常に魅力的な行動を取ってくれるキャラクターであり、この物語の中で誰よりも「リアル」の世界を生きているように思えます。高橋が今後どうなるのか。その行く末がとても興味深いです。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-11-13 20:21:16] [修正:2011-01-23 23:59:24] [このレビューのURL]

9点 フクポルさん

<所持歴:全巻。収集中>

好きな作家が出来ると、その人の作品ってどうしてもフィルターかけて見てしまうんですよ。
自分の中でも、確実に「井上雄彦フィルター」ってのは存在します。
が、そうなるとどうしても作品のみの客観的な評価ってし難くなります。

で、この作品もフィルター通せば当たり前の様に10点な訳です。
頑張ってフィルター外してみると・・・それでも9点は堅いです。

車イスバスケというものの存在を知り、興味を抱かせて貰ったのも事実ですし、
ご都合主義でないリアル(現実)、それに直面した三者三様の葛藤など、
それらを表現出来る作者の技量の高さも間違いなく本物。


これでまた「井上雄彦フィルター」が強固なものになってしまいました。


ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-03-21 05:54:46] [修正:2010-02-07 21:52:54] [このレビューのURL]

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