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7点(レビュー数:7人)

作者押見修造

巻数9巻 (完結)

連載誌漫画アクション:2012年~ / 双葉社

更新時刻 2013-02-06 22:19:13

あらすじ 友達が一人もいない大学生の≪ぼく≫の唯一の楽しみは、コンビニで見かけた名も知らぬ女子高生を定期的に尾行すること。いつものようにその娘を尾行していたら突然記憶が飛び、≪ぼく≫はその娘のベッドで寝ていて、≪ぼく≫はその娘になっていた。その娘は≪麻理≫という名だった――。

備考 当初は月1連載だったが、途中から毎号連載となった。

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ぼくは麻理のなかのレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全7 件

3点 朔太さん

1巻を読んだ時点で、いわゆる移り替わりの物語か
と思いましたが、まもなくその点は否定されます。
ネタバレにならないように表現しますと、
多人格形成にまつわる「ぼく」の真実を探す旅になります。

デリケートな精神の葛藤が根底にある問題ですね。
麻里、ぼくともに、さらには柿口依にしても、
コンプレックスの塊というか、薄っぺらな人間関係では
救えないほど弱りはてた人種ですから、
容易に問題は解決しません。
神経質な人間が集まって、抱き合って、ぼくはどこに
行ったんでしょう、というようなファンタジーには、
正直に言えば付き合いきれないです。
私は、登場人物の中で共感できる者は一人も現れませんでした。
こんな人種も世の中にはいるんだなあ、程度の感想です。

繊細さを表現するための演出だとは思うのですが、
コマワリが大きく、無駄に無言、風景描写が多く、
心情が理解しにくいシーンが多発します。
したがって、9巻をあっと言う間の数時間で読み切る
ことができます。コスパの悪い作品でした。

押見修造さんの作品は、いくつか読みました。
繊細な人間心理を表現するのが上手な作家さんと評判です。
ここでのレビュー評価も高いですね。
しかし、私との相性は悪そうです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-11-13 08:37:03] [修正:2021-11-13 08:37:03] [このレビューのURL]

5点 yumenneさん

[ネタバレあり]

僕は元から麻里でした、というオチが自分には納得いかないものだった。流れ的にも、なんだか今までの描写の意義が失われるように感じたし、こういう似非科学、エセ心理学的解決が一番嫌いだ。特にTSもの好きとしては、その前提を崩されると何か色々と壊れてしまう。最序盤にはいくらトンデモ設定をぶち込んでも構わないけれど最後にこれをぶっこまれるとなあという感じ。

それまでの展開にもこれまでのTSモノに比べ目新しい面白さは感じなかったし。
ただ、あとがきの女の子のうなじがいいよねみたいな話しが結構面白かった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-05-13 19:31:42] [修正:2018-05-13 19:31:42] [このレビューのURL]

10点 deeさん

この人が描く漫画は人は選ぶけどどうしてこんなに刺さるんだろう。
とにもかもくもドロドロとした心情がとても上手い漫画で面白いです。
麻理の行動に辻褄が合わないところがあったけど、それは麻理の中にもほんの少しだけ小森がいたのかなーとかファンタジーな考察で補完しました

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-02-06 17:41:38] [修正:2017-02-06 17:46:43] [このレビューのURL]

10点 sinanaiさん

超名作。
この作者が描く漫画のテーマは一貫としてカラッポの自分が自分と周りの世界に向き合って成長して行くタイプの作品が多い(惡の華など)
その中でも特にこの作品はそれが顕著に表れつつ、序盤から中盤にかけてサスペンス・ミステリーものとしての楽しみ方も出来る傑作として仕上がっている。

何かと自分に不満があり、憧れた人の様に振舞うカラッポな人、コミュ障で気持ちをぶつけられる人がいても自分の気持ちを伝える術をもたない人、またはそもそもそういう人がいない人にはこの作品がとてつもなく響いてくるかもしれない




ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-01-29 23:49:36] [修正:2017-01-29 23:49:36] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

写真を撮られるのを嫌う人がいる。
私もどちらかと言うとその部類の人間で、
写真を撮られるのは構わないが、
自分が写ってる写真を見たくはない
写真には、鏡に映っている自分とはまた違う、
「他人から見た自分」が嘘偽りなく写っていて
自分の中の理想と、他人から見た現実の差を突きつけてくる。


「ぼくは麻理のなか」は、自堕落な引きこもりで
コンビニに現れる美人女子高生“麻理”をストーキングするのが趣味という
どうしようもないぐらいキモい大学生の男、小森功が
ある日突然ストーキングしてたはずの“麻理”になってしまう物語であるが
よくある「男女入れ替わり」の類ではない。

麻理の身体に小森が入るが、小森の身体には今まで通りの“小森”がおり
あたかも小森が分裂したような状態で、肝心の麻理の人格が消えてしまう。
しかも、小森の身体にいる“小森”は麻理のことを覚えていない。
果たして本物の麻理はどこへ行ったのか、というのがストーリーの本筋である。

その中で、麻理に入った小森は、自堕落な生活をしているかつての“小森”と向き合うことになる。
小森は麻理の目を通して、自分の本当の身体とそこに宿るキモい自分を直視する。


どれだけ自堕落な生活を送っていても、自分がダメだと自覚していても
それを変えようとするには大きな勇気が必要である。
自分を客観視する。言葉にすれば簡単だが、それに耐えうる心を養うのは並大抵ではない。
どんな人であれ、多少は身に覚えがあることだろうと思う。

小森功はどうしようもなく、どうしようもなくキモい男である。
しかし、そのキモさには現代のコミュ障と呼ばれる人たちの特性があるように思う。
話をろくに聞かず、勝手に自己完結して相手の気持ちを考えず突っ走り
それを否定されると、自分の存在すべてが否定されたと被害者意識に取り込まれる。
そうして自分のことばかり考えるせいで、ブクブクと自己ばかりが肥大していく。

これは、そのようなキモい自分を直視せざるを得なくなった主人公が
必死にもがいて変わろうとするストーリーである。
見た目は美少女でも、中身はこれ以上無くキモい男である。
そのキモい男がいかにして前に進むのか

「ぼくは…、ぼくを見る!」
このセリフに至るまでの七転八倒と、そこからの成長を是非とも読んでもらいたい。
文句無しの名作である。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2016-02-13 01:15:45] [修正:2016-02-13 01:17:02] [このレビューのURL]

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