「拙僧若輩にて」さんのページ

総レビュー数: 20レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年06月09日

8点 ONE PIECE

 所々(主にキャラクターの部分)に不具合が見られ、十点をつけられるほどの完成度では無いということを踏まえた上で……

 これほど点数をつけるのが難しい漫画は他に無いかと思う。

 まず第一に、この漫画の知名度があまりにも高すぎるという点。
 これだけ売れていて、読んだことも無いのにキャラの名前を知っているような漫画になると、どうしても「一体どんなもんやろ」と構えながら読み始めてしまい、意地悪感情(アンチ感情とも言う)が前に出て粗を探す読み方になりがちになる。
 そうなると、完成度においては今一つなこの作品の悪いところばかりが目に付いてしまい、素直に味わうことが出来なくなる。
 上記の理由により「売れている作品」は「非の打ち所の無い作品」であることが求められがちになり、決して「完璧さ」だけが売れる理由では無いというごく当たり前のことを私達に忘れさせる要因になっている。

 そして第二に、ジャンプの黄金期をよく知る世代が今、二十代後半から四十くらいの年齢であるという点。
 ワンピースとよく比較されるドラゴンボールをジャンプで読んだ世代ならば、その多くがドラゴンボールの方が面白かったと言うだろう。私もその一人である。
 しかし、ドラゴンボールを読んだ私は当時小学生で、当然ながら子供の感性をしていた。そして、今ワンピースを読んでいる私は大人で、当然ながら大人の感性をしている。
 少年誌が、子供の時代に読んだ方が面白いのは当たり前の話(読んで字の如く少年向けに作られているから)だから、私がドラゴンボールの方が好きなのは言わば仕方の無いことと言える。
 だからこそ、気をつけなければならないのは、私と同じような世代の人がこの作品に評価をつける時には、同じように大ヒットしていたからといっても決してドラゴンボールは比較の対象にしてはならないということ。ここを踏まえずに評価をすると総じてワンピースの評価が下がる要因になる。
 両者を比較して良いのは最近までドラゴンボールを読んだことが無かった大人であるか、今まさに現役で子供の人に限る。

 以上二つが、なかなか点数がつけにくい理由である。
 ここから先は極力間主観的な私的見解を含めて。

 まず短所
 
 1.結構な比重を占めるギャグが軒並み寒い。
 普通に笑えたのはそげキングがゾロに刀にされるところだけだった。
 
 2.見せ場に「ドン!!」が多すぎる。正直他に無いんかと思った。
 
 3.絵が雑然とし過ぎてかなり読み辛い。
 少し気を抜いてページをめくると何が起きていたのか分からなくなる時が多々ある。
 
 4.キャラ、設定が所々破綻している。
 (1)動じない性格でクールさが売りのゾロが、いつの間にか要介護状態になっている。目の前の階段が分からないのはあまりにもひどい。らしさを出したかったのだろうが、ただ格好悪いだけだった。
 (2)でんでん虫を奪われたことに気付かないクロコダイル。サンジの声で分からないのはまだ許せる。だが、喋り方で気付け。お前は普段から部下にあんな喋り方を許しているのか? ストーリーに絡む所にああいう矛盾点を残すと話が白けてしまう。
 (3)そげキングの正体に気付かないルフィ。ネタでやっている分にはベタながらもまだ許せた。タチが悪いのはノリでそのまま続け、話のかなり重要なところまで食い込んで行ってしまったこと。繰り返しになるがストーリーに絡む所で矛盾があると話が白けるからやめて欲しかった。ここで読むのをやめた人もかなりいるのではなかろうかと思う。
 ゴーイングメリー号を感動的にファイガする方法は、何もそげキングを出さずともあっただろうに、なぜこの展開を選んだのか理解に苦しんだ。

 次に長所

 1.破綻している所を除けば、キャラの心情がしっかりしている。
 村を人質に取られ現実と良心の間で葛藤を見せるナミ、土下座をしながらレストランを去るサンジ、ミホークに負けた直後のゾロ。場面場面でのキャラの心情が真っ直ぐ入ってきた。ドクターの最後のセリフ「良い人生だった」は本当にそうだったんだろうなと素直に思えた。
 
 2.要所要所をきちんと締めるルフィの主人公力。
 基本おかしげな主人公だが、要所要所はきちんと締めている。チョッパー編で攻撃された海賊旗を支えながら「ほら折れねえ」は痺れる啖呵の切り方だった。

 3.ここ一番での演出力。
 伏線がこの作者の最大のウリであろうが、中でも一編まるごと使う大伏線には他の作者の追随を許さぬ力がある。
 雪に咲いた桜や、流されたメリー号が姿を現すシーンなど、ここ一番、今がその時という所の盛り上げ方をこの作者はよく知っていると思う。
 その中でも圧巻だったのがアラバスタの最後のシーン。
 仲間を識別するための包帯が、実は包帯を取ってペケを見せるというのが正解でしたという伏線に見せかけて、最後の最後、国を出る時のシーンに使うとは恐れいった。
 振り向かず、無言で、ただ腕を突き上げただけで、どんな言葉よりも「仲間」への想いが伝わってくる、鳥肌の立つワンシーンだった。
 この演出力こそがワンピースが売れている理由、つまりワンピースの最大の魅力なのだと思う。

 そして、グレーなところ

 1.覇気の後付けについて。
 覇気という言葉を使ってから物語が大きく変わったのは確かだが、覇気の設定が後付けかというとそうでもない。結構早い段階からシャンクス達が名前を出さずに覇気らしき物を使っていたことを考えると、極力後付け設定に思われぬよう気を使った作者の努力が垣間見えるので、後付けと批判するのはいかがなものかと。

 最後に

 点数をつけるのが難しいので、このサイトの平均が6点半ばであることを基準にし、最初に述べた理由で下がっている分を考慮して7点とした。

 そして、もう一つ考慮したことがある、それは作者の意欲である。
 
 この作者は億単位で単行本が売れて、もう描かなくても一生困らない立場にある。それでも質を落とさずに続けているのは作者の熱意であると思いたい。
 多少のマンネリはあるかもしれないがそれでも、フリーザを軽く切り倒したトランクス、ラオウを倒した後のケンシロウのような異質感は無い。
 六十巻を超える長さで、且つ、ストーリー物でこれだけの質ならばむしろ上出来であると言える。
 人気のせいでやめられずに描いている作者の作品ではなく、六十巻を越えた今となってもまだ読者を楽しませようという気概を感じさせる作品であり作者であることを私は素直に褒め称えたい。

 以上により、最終的に私はワンピースを8点とした。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2011-06-14 17:20:52] [修正:2011-06-14 17:20:52] [このレビューのURL]

 神マンガ、その一言に尽きる。

 内容、構成、表現力、どれをとっても申し分無く、子供から大人まで幅広く楽しませ、40の父親が小学生の息子と本気で語り合うことができる、稀有な作品であると言える。

 それが可能なのはやはり、作品全体がしっかりとした理論、設定に支えられているからだろう。

 大人になるとどうしても目ざとくなりがちで、作品に無理や矛盾があると白けてしまいがちになるが、この作品にはそういった粗がほとんど無く大人でも安心して読むことができる。

 新技一つから勝利に到るロジックまで丁寧に作り込まれ、読者に決して「それは無いわ」と思わせない、その綿密さこそがこの作品の傑作たる所以であると言える。

 また、キルアと父の約束や、勝てぬと悟りながらも会長という立場にいる責任ゆえに王に挑んだネテロなど、少年が大人の男になるために必要な「男の生き様的要素」を所々に含み、少年漫画の鑑であると私は思う。

 重度の肝硬変で先の長くない私の恩師に「せめてHUNTER×HUNTERが終わるまでは生きていたい」と言わしめた傑作。

 一人の人間に生きる目標を与えた、まさに神マンガである。

 冨樫先生には、命を削りながら待っている人がいることを知って頂き、どうか最後までやり遂げる勇気を持って頂きたいと、私は切に申し上げたい。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2011-06-09 17:37:26] [修正:2011-06-09 17:37:26] [このレビューのURL]

 時を経て今なお読まれている不朽の名作。

 フリーザを倒した後からはパワーインフレになってしまいダレてしまったことは否めないが、そこに到るまではゴクウの言うようにワクワクしっぱなしで手垢が付くくらい読み返した記憶がある。

 小学生の頃、早く続きが読みたくて日曜日にジャンプを売っていた駄菓子屋まで、自転車で二時間かけて買いに行っていたのも良き思い出と言える。

 家に誰もいない時にかめはめ波の練習をした。この漫画のファンなら誰しもそんな記憶があるのではないだろうか?
 才能の無い私は一万回やって一度しか出なかったが……

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-06-09 09:30:02] [修正:2011-06-09 12:09:31] [このレビューのURL]

今の時代じゃとてもアニメ化出来ない、それくらい強烈。

ゆとりの子が読んだらおしっこ漏らしちゃうんじゃないかな。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-04-15 21:18:49] [修正:2012-04-15 21:18:49] [このレビューのURL]

 小説を読んで、アニメを見て、その上で漫画を読んでも面白いと感じたのだからかなりのもの。

「封絶」「炎髪灼眼」「零時迷子」など一つ一つ非常に語感の良い名前を付けるそのネーミングセンスは抜群で、中二病患者のバイブルと言っても過言では無く、これだけでも読む価値は十分にある。
 赤松先生には是非この作品を読んで技の名前のセンスを磨いて頂きたい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-06-21 16:54:56] [修正:2011-06-22 06:10:00] [このレビューのURL]

 言わずと知れたギャグ漫画の頂点。

 連載終了後、十五年が経とうとしている今なおこの作品を越えるギャグ漫画は出ていないという、圧倒的な力を持った作品。
 
 私はこの作者については、新井英樹しかり、天才とXXXの紙一重の所に心を置く人間が突出した作品を生み出すことの典型であると捉えている。
 
 ヒメアノールなど後の作品を読めば、この作者がいかに常軌を逸した所で人間の深層を見ているかが分かり、また同時に、そんな人物だからこそ他人には決して真似できない笑いが生まれているということが分かる。
 
 思うに、人間の表現力というものはその人間の持つ感性に裏打ちされているが、この作者の感性の輪は私のような凡人のそれよりも一回りも二回りも大きく、それ故にどのように面白かったか説明はし辛いがただひたすら笑えるというギャグが多く見られる。
(この点においては松本人志に共通するものがある)

 1,2巻はバレーボーイズとあまり変わらない、ただ下品なだけで笑えない内容でありこそすれ、喉もと過ぎればなんとやらで、そこを堪えれば至上の笑いが私達を待ち受けている。
 1巻だけ読んで敬遠されている方がおられるならば是非もう一度読み直してみて頂きたい。
 
 ここからは個人的な感想で。
 
 この作品には悶絶するような笑いが多々ありましたが、その中でもイガグリ田中の「送れぇーーーーッ!!」は私にとってギャグ漫画史上屈指の名言であると思っています。これが私の「マイ稲中」です。
 あなたの「マイ稲中」はどの笑いだったでしょうか?
 浣腸ワールドカップ? 死ね死ね団? 竹田の「おっぱい」? 海での合宿? それとも……

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-06-17 05:09:53] [修正:2011-06-17 08:37:16] [このレビューのURL]

 もし「この漫画がイタい!」大賞があれば、私は迷わずこの漫画を推す。

 ネタばれになる恐れがあるので内容には触れないが、とりあえず登場人物全員が痛い。

 妹のいない私はそれなりにこの漫画の毒を楽しめたが、実際に妹のいる親友が私の家でこの漫画を読んだ後、一週間家に帰れなくなったところを見ると、妹のいる人には相当な劇物と言えるかもしれない。

 嗜好が萌えに偏り過ぎている人には良い処方箋になること請け合いだが、そうでない人には猛毒になりかねない、インシュリンのような作品。

 

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-06-09 10:22:39] [修正:2011-06-09 12:08:01] [このレビューのURL]

自分の好きな彼、または彼女が自分のことを好きだと話している声が延々と薄壁の向こうから聞こえてきたらどうしますか?
きっと甘酸っぱいですね。

ツンすらもデレ、教官の立場になったら毎日が大変でしょうね?。
そんな感じの漫画です、面白いですよ。

注)糖分多目ですので、血糖値の高い人はお控えください。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-14 18:59:00] [修正:2013-05-14 18:59:00] [このレビューのURL]

10巻くらいまでは普通に楽しみましょう。

それ以降は人気に引っ張られてとりあえず描かなければならない畑健二郎の苦労に共感しましょう。

ネタが尽きようが、休みが無かろうが、つい最近長休に入るまで描き続けた点は大いに評価。

内容がついてこないのは仕方ない、だって新人だもの。

瞬発力が無いのは短編集を見れば一目瞭然ですので…

個人的にはいつ終わっても良い、そんな作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-04-15 21:05:30] [修正:2012-04-15 21:05:30] [このレビューのURL]

何べん読み返したか覚えていない。私が漫画オタになった原因です。

序盤はいずみちゃんの愛らしさにほこほこ、

中盤はいずみちゃんの過去にズキズキ、

終盤はいずみちゃんの強引さにハラハラ、

いずみちゃんと雷ちゃんの初×××のところは三十回以上見直しました。

夜が明けたいずみちゃんのハニカミ顔が最高です。

これ読んだ当時が高1でしたのであしからず……

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-04-15 20:47:09] [修正:2012-04-15 20:47:09] [このレビューのURL]

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