「アメ」さんのページ

総レビュー数: 22レビュー(全て表示) 最終投稿: 2013年02月05日

[ネタバレあり]

 主人公の正義感の強さに辟易させられる。大学病院のこれでもかという悪役ぶりもやり過ぎに見える。主人公(=作者)だけが正しい勧善懲悪の世界観には、共感できない。

 それでも、この作品が世の中に与えたインパクトは評価するべきだと思う。封建的な大学病院の体質や薬剤認可における国の腰の重さなど、この漫画を通して知り、考えた人はきっと多いと思う。
 医師や病院への不信が募り、インフォームド・コンセントやセカンドオピニオンといった考えが社会に浸透していった背景の一部に、この作品もあるのではないか。ドラマ化もされたし。

 個人的には、ガン編が一番泣けた。死ぬ母親は、自分が死ぬことよりも残される家族のことを考えるのか、と思うと涙が止まらなかった。精神科医療編は、もっと統合失調症をリアルに描いて欲しかった。でも、二番目に好きだった。

 基本的には嫌いな作品の部類に入ると思う。それでもしっかり読んでいるし、色々話したくなってしまうのも、作品の魅力なのだろうか。

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[投稿:2013-02-08 22:15:26] [修正:2013-02-08 22:15:26] [このレビューのURL]

6点 凍牌

[ネタバレあり]

 最初は良かった。闘牌もそれなりにリアルで、何より「氷のK」と呼ばれる主人公のクールさと相手を追いつめた時のゆがんだ笑顔が魅力的だった。
 また、簡単に人が殺され、ヒロインかと思われた女の子がアイスピックで悲惨な目に遭うような「痛さ」も魅力の一つだった。

 だが、途中からは闘牌がどんどん荒唐無稽になっていき、ヤクザの仕事にしては有り得ないようなスケールの話になっていく。痛さも、飽きられないためかどんどんエスカレートしていき、少し食傷する。
 前半7点、後半5点。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-08 22:04:48] [修正:2013-02-08 22:04:48] [このレビューのURL]

 主人公の女の子の顔が何ともリアル。美人でもなく不細工でもなく、本当にいそうな女の子。それをうまく表現していると思う。

 その女の子に引きずられて、おかしな肉体関係を続ける同級生もいい。嫉妬した野球部員の男を、丁寧かつ挑発的なセリフで愚弄するくだりは、あの年代のドロドロした部分をうまく表現していると思う。

 この作者はこういうのが本当にうまいと思う。

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[投稿:2013-02-08 21:57:28] [修正:2013-02-08 21:57:28] [このレビューのURL]

6点 COPPELION

 個人的には面白くて楽しめる。

最大のネックは、東日本大震災以後、我々が原発や放射能について、ある程度の知識を身に着けてしまったことか。被害の悲惨さを見聞きしているなか、バトルばかり続くこの漫画に、違和感を抱いてしまう可能性はあると思う。

リアリティーという面で、コミカル過ぎる各国首脳の描かれ方、天才科学者というだけで何でも作れてしまうような安易さも、難点と言える。科学的なつっこみも、入れようとすればいくらでも入れられると思う。

 ただ、廃虚としての東京に制服姿の女子高生を据えた、という設定自体は秀逸だと思う。基本的には倒した敵が味方になっていくようなバトル漫画で、放射能、原発という言葉から連想される社会的・政治的問題はあまり前面に出てこない。それぞれの少女の魅力を楽しむ気で読めば、楽しく読める作品だと思う。

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[投稿:2013-02-06 21:09:47] [修正:2013-02-06 21:09:47] [このレビューのURL]

6点 惡の華

 ヒロインの仲村さんのSっぷりが、とても小気味よい作品。言葉遣い、表情、態度などがとにかく魅力的。

 反面、それに引きずられる主人公の春日は、ややステレオタイプで魅力が薄い。「中学生の自分」「ボードレールを読む自分」「世間から理解されない自分」「世の中は生きづらいと感じる自分」といういわゆる中二病設定は、もはや形式化していて逆にあざとさを感じさせてしまうのではないか。

 さえないはずの主人公が、簡単にクラスのヒロイン(仲村さんではない)に好意を持たれる点もリアリティーに欠け、もてない男のルサンチマンが裏返った選民意識という「若さゆえの恥ずかしさ、ほろ苦さ」みたいなものがうまく伝わってこない気がする。

 ただ、仲村さんの造形はやはり秀逸で、その魅力だけでも読み続けたい気になる。

 空疎になる気がするので、今後は変に文学的にならないことを期待したい。

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[投稿:2013-02-06 20:28:23] [修正:2013-02-06 20:28:23] [このレビューのURL]

6点 DRAGON JAM

部活やプロなどの競技バスケットボールでなく、ストリートバスケをテーマにした作品。
主人公の龍也は、母子家庭で貧しい家庭事情から高校に行かず、友人のタイゾーとアコとつるんでストリートの賭けバスケで小銭を稼いでいる。ある日、ストリートボーラーのTJと出会ったことで、ストリートバスケの本当の面白さに気付いていく。
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ストリートバスケの特徴であるトリッキーなドリブル、フェイク、パスなどがよく描けている。ドリブル中にボールを地面に置く、服の中にボールを隠してしまう、複雑なボールハンドリングでパス方向を分からなくするなど、細かいテクニックが随所に登場する。
 複雑な動きも多いが、何が起こっているか分からないということもなく、こうした技が好きな人はのめり込める内容だと思う。
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 主人公はストリートで上を目指そうとするが、バスケ名門高校の部員との絡みもあり、競技バスケとストリートバスケの対比もなされている。今後、その辺にもさらに踏み込んでいくと、日本におけるバスケ環境を描いた作品として意義も出てくるのでは。

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[投稿:2013-02-05 20:19:29] [修正:2013-02-05 20:19:29] [このレビューのURL]

 ゾンビものとしても、最近っぽい鬱系漫画としても、冒険活劇としても中途半端な印象。

 ゾンビものとしては、ゾンビの怖さが足りず、追いつめられるパニック感が薄い。鬱系漫画としては、あんまり鬱じゃない。冒険活劇(作者はそんな気で描いていないかもしれないが)としては、爽快感が薄い。

 リアルに描かれた背景、半ゾンビ化した少女の見るシュールな風景、草食系男子が戦っていく構図など、今っぽい要素が盛りだくさんだが、なぜか全て作為的に見えてしまう。主人公や少女がいまいちリアルに感じられないからではないか。

もう少し内面に踏み込んで人間性を際立たせて欲しい。ただ逃げながらゾンビを倒していくというストーリーに鬱っぽい要素を足しただけでは、物語をドライブしていく力に欠けるように思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-06 21:05:57] [修正:2013-02-06 21:05:57] [このレビューのURL]

 全国民は小学校入学時、ある液体を注射される。液体には、0.1%の確率で時限的に効果を発揮する微少カプセルが入っており、「当たった人」は18?24歳までの間に突然死する。

 国民に死の恐怖を植え付け、生命の大切さを知らしめることで日々の生産性を向上させ、国家繁栄につなげる狙い。該当者には死亡24時間前にその事実が知らされ、それを伝える文書が「イキガミ」、主人公はその配達人だ。

 イキガミという設定自体がまず秀逸で、その点だけでも高く評価できると思う。

 死を目前にした人間ドラマが展開され、命とは何か、制度とはどうあるべきか、などを描くことにある程度成功している。

 ただ、残念なことに、途中からは、イキガミをもらった人間が残りの時間をどう過ごすか、といったバリエーションを見せられる展開が続くことになり、マンネリ化してしまった。

 主人公がイキガミ制度自体に疑問を感じたり、反体制派にはスパイが目を光らせていたりといった要素もあるので、その辺をさらにふくらませて、行き過ぎた管理社会によるディストピア像を詳しく構築できれば、重厚な作品になっていたのではないか。

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[投稿:2013-02-06 20:18:43] [修正:2013-02-06 20:18:43] [このレビューのURL]

 頭が金魚鉢の男に噛まれて血を吸われると、人間が金魚になってしまう。救う手だては、傷口からその人の血の中に入り、金魚の形をした「金魚毒」を退治すること。その「血潜り」ができる女の子はなぜかスクール水着でドジっ娘で、という設定。

 キャラクターは萌え風味の絵柄だが、背景や金魚鉢男はホラーチックなタッチで、味わい深い世界を描き出している。人間がどんどん金魚にされているという世界観も異様で面白い。

 ただ、作品の雰囲気はほのぼの日常漫画系。血潜りが下手な女の子と、それを助ける男の子が、金魚毒退治を続けていくというプロットが繰り返される。ホラー路線にもシュール路線にも舵が切りきれていないとも言え、その点に物足りなさが残る。

 ホラー要素、シュール要素のどこかで、無意識に突き刺さってく
るようなモチーフやアイデアが出てくれば、ほのぼの漫画から一歩抜け出せると思うのだが。

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[投稿:2013-02-06 20:08:31] [修正:2013-02-06 20:08:31] [このレビューのURL]

5点 羊の木

 法務省のモデル事業として、刑務所を出所した元受刑者たちの受け入れを始めた自治体が舞台。国から補助を受ける代わり、11人の出所者を受け入れる。事実を知るのは市長を含め3人だけで、彼らが秘密を守ることに心を砕き、出所者同士の接触に戦々恐々とする中で物語は進む。

 出所者たちは、寡黙で礼儀正しいが顔色を変えずに鶏の首を絞める男や、粗暴でまさに殺人犯といった男、無口で不気味な女など多様で、描き方・絡み方次第で面白くなっていきそうな気配がある。

 ただ、今のところそれぞれの犯罪歴やキャラクターが生かし切れていない印象で、話が展開していかずもどかしい。

 出所者を社会で受け入れる、といった社会問題的側面から期待して読むと肩すかしを食うし、おどろおどろしい犯罪病理的側面、パニックもの的側面から見ると物足りなさが残る。

現状ではややもったいない感じだが、今後読み続けたい作品ではある。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-02-06 20:04:39] [修正:2013-02-06 20:04:39] [このレビューのURL]

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