「friendstudio」さんのページ

映画の方からこの漫画を知りました。いきなり関係ありませんが僕は映画が大好きで(笑)、「この卓出した映像センスは原作からも来てるのかな?」と楽しみにしてました。いやー!これは原作の力だ!「ずば抜けてんだよ、センスがっ・・・ハンパじゃねえっ!」
とにかく、凄すぎる絵。いまだかつてこんなに絵がうまい人は見たことが無いです(上手(じょうず)にあらず)。トーンをほとんど使わずペン1本で描かれた、陰影のハッキリとした独特の絵柄。パワフルな「空気の動き」までも見えます。さらにはタダモノではない、\"映像的\"を飛び越えたアングル、コマ割り、切り取り方・・・。漫画を読んでいるというよりは「映像体験」させられているような錯覚にさえ陥ります。特に漫画史上における金字塔の対決ではないかと思われる「星野VS風間」戦は最も気合の入った作画になっており、紙の中に飲み込まれそうなほどの圧倒的な迫力!もちろん作画だけではなく、挫折と栄光と苦悩を鮮やかに書き上げたストーリーに、磨き上げられたキャラ造形、随所に挟み込まれているユーモア・・・いずれもかなり高レベルでまとまっています。
ストーリーについて、もう少し。才能はあるのにやる気が無い月本が最初のメーン主人公ですが、彼が目覚めていくうちに、次第に主人公は星野にスライドしていきます。この二人のシーンごとの心情変化が非常に巧みに書かれており、展開も「ムダ」なシーンやわき道にそれるようなコトもほとんどなく、相当計画された上でのシナリオなのだなと思えました。また、二人だけではなく魅力的なサブキャラクターたち――挫折を乗り越えて\"役目\"を見つけるチャイナ、「飛べない鳥も居る」と苦渋の末に卓球を諦めるアクマ、最強ゆえの苦しみの果てに、最後に星野によって解き放たれるドラゴン(風間)・・・、さらにはコーチ陣の「バタフライ・ジョー」と「オババ」も加わって複雑に絡み合い(いや、ある意味単純?)、ふたりの主人公を盛り上げます。特に僕は佐久間(アクマ)にどーしても感情移入してしまって・・・ゲホゲホ。兎に角もこれらキャラクターたちの性格付けがいずれも強烈で、それらから放たれる痛快なセリフもこの作品の魅力です。セリフは最初から最後まで見事でした。日常生活で使ってしまいそうです(笑)
とはいえ単純には「スポ根」モノであり、シナリオも、陳腐と言われてしまえばそこまでという面はあります(笑)。しかしそれでも、「やっぱり、いい」と思える、これらのキャラクタ、シナリオ、そして\"映像\"。チャンスがあればぜひ手に取っていただきたい漫画です。この独特の絵柄、良い意味でも悪い意味でも、途中から慣れます(笑)

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[投稿:2006-11-19 21:04:28] [修正:2006-11-19 21:04:28]