「lilly」さんのページ

10点の基準
「漫画というメディアを超え魂を揺るがし、人生に影響する作品」
と言ってしまえば確実に大げさなんですけど、
女性漫画として久々に楽しませてもらったので10点で。

遊知やよみ作品はCookie連載物しか知らなかったのですが、
文庫本のページを開いて
「初期だなあ」と変な実感。
1巻あたりだとやはり絵柄が大きく違いますね。


老舗和菓子屋あたりには縁はないのですが、
京都でご高齢者と接する日々を過ごしているもので、
そういう意味では
「京ことばの使い方が絶妙」だと思いましたね。
方言を全面的に取り入れると、妙な違和感が出てくるのはしょうがないとある程度割り切っているのですが、
この作品は特に違和感なく読めました。
若い人がここまでの言葉を話すのかと問われればわかりませんが。


老舗和菓子屋の娘三人(雛、あられ、ハナ)が主役で、
語り部は三女のハナ。
三人ともそれぞれに個性を持っていて、
それぞれの葛藤と恋愛模様が印象的でしたね。

雛の場合、
彼女の性格と、「のれんを守る」ことを意識する背景柄や相手(桧山)の婚前の女性関係(市雀)のしがらみなど、
現代物と言うよりは時代物を読んでいるような感覚でした。
彼女と桧山の結婚の話がたぶん一番ドキドキした。

対してあられの場合、
相手が信頼されている相手(健司)なので、雛よりライトに楽しめました。
あられと健司の会話はもう夫婦漫才みたいな感じですしね(^_^)
比較的のほほんとしているので、
朝帰りしてしまう場面がスパイスになっているのがよかった。

ハナの場合、
中学生から高校生に年齢が変わる頃で、
相手である庵も転校を境に「少年」から「青年」へと変わり、
他の姉二人とはまた違う、
彼女の場合はそのまま「少女漫画の恋愛模様」を楽しませてもらいました。

ハナの相手候補として、庵と壬生が出てくるんですけど、
個人的には壬生のほうが好きなんだけどなあ……(笑)
健気なのが泣かせます(^_^;)
6年後の大人になってからも報われない壬生君(^_^;)
頑張って壬生君!と思わず言ってしまいそうになる(笑)



雛とあられは特に子ども時代の境遇に苦しめられ、そこから解決策を見つけ出すのですが、
最終話である6年後、
自分の子どもに同じように接してしまうあたり、考えさせられるけども、たぶん、そういう人っていてもおかしくないのだろうなと。
自分だったらどうなんだろうな、と考えてしまいました。
締め方としては好きです。


多分読む年代でまた感想が変わってくる作品なのかもしれません。

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[投稿:2011-12-26 00:28:31] [修正:2011-12-26 00:28:31]