「N0B」さんのページ

完結しています。 全巻読みました。
おそらくドラゴンボールあたりの時代に築かれたジャンプの王道バトル漫画のラインを、一応なぞりつつ斜め上を超えてきた感じ。

バトル漫画って迫力だったり臨場感とか緊迫感とかバトル時のシーンだけでその他がクソみたいな感じでもそれなりに読める場合が多いが、キャラ・ストーリー・絵と、どの角度から見ても穴が無く、もちろんバトルシーンも文句なしで面白い。

設定がしっかりしていて、キャラが立っている方がバトルにしても何にしても話に奥行きというか深みが出るもので、凝った設定、凝った能力であればあるほどバトルも面白くなる。
しかしキャラごとの能力の説明やら前提条件の説明話がかったるかったり、いざバトルになった時にせっかく作ってきた設定に無理や矛盾が生じて、ウリのはずのバトルシーンがしらけたり、大事なところで主要キャラがキャラ崩壊起こしたりする漫画がけっこうあるが、この漫画は全てを「良い前フリ」にして話を自然に盛り上げてバトルにつなげる上手さと、その圧倒的な構成力はもはや匠の業と言っていいと思う。

そういう意味ではものすごく緻密に計算された作品であり、単純に力対力のバトルに飽きてる読者や、厨二すぎると引いたりする読者、王道バトル物はひと通り読んできた読者層にそれでも面白いと思わせる絶妙な空気の読み方も流石。

バトル漫画というジャンルでは、この作品が面白いかどうかとかよりも、超える漫画がこの先出てくるかどうかの方が不安になるレベル。

欲を言えばもう少し休載せずに描いて欲しかった。 
長期休載の(いや長期連載かも)影響か、急に絵や話が雑になることがありますが、相対的に考えて近いジャンルでこの漫画より面白いという作品を探すのは非常に難しいので、誤差の範囲内みたいなもんだと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-08-20 15:36:51] [修正:2012-08-20 16:03:39]