夕凪の街 桜の国のレビュー
5点 とんすけさん
難しい。桜の花びらで埋め尽くされたような美しい池にこの点数を放り込むのは実は気がひける。
でも自分の中にある、ある抵抗感がどうしてもいい点数を与えてくれない。
まず、絵。コミックとは絵とストーリーで両輪だが、今の時代にこの絵は辛かった。ストーリーとのマッチングを考えれば問題ないのだが。あと、桜の国、で、ふらり買い物にでた父親がそのまま長距離バスでヒロシマにでて泊まるといういきさつについて家族が大騒ぎにもならない非常識さが日常漫画としては大きな穴に見える。
なにより、「死んでしまえと誰かに思われた傷」がどうしても納得いかず誰もそれに目を向けようとせず語らないヒロシマの人の悲劇。それはわかる。自分たちがもってしまった差別感へのくやしさもわかる、つもりだ。でも、当時、意地悪く言わせて貰えば、日本もアメリカも戦争に参加している国々は皆、どこかの国の顔も知らない誰かに対し間接的に「死んでしまえ」という姿勢でいたはずなのだ。それを、「信じられない事、向けいれられない事」として描くという姿勢に、ある種の抵抗を感じずにはいられなかった。自分の国の兵隊を、勝ってきてくれと旗を振った時点でみなが間接的に加害者であった、それがすべての国にとっての戦争であったと思うから。
ナイスレビュー: 4 票
[投稿:2006-10-15 19:10:19] [修正:2006-10-15 19:10:19] [このレビューのURL]
9点 ヨノナカさん
この作品は原爆をモチーフにした話。
なんだけどもこの作品が名作なのは別にそういうのではなくて。
じゃあ何か、っていわれると難しい。どこが面白いのか自分でもわからない。ただ、この作品は凄い。それだけはわかる。言いようが無い素晴らしさがこの作品の中には間違いなく、ある。
マンガのレビューを書いてるとまるで自分が神様みたいに偉くなった気がしてくる。
あーこの作品はわかった。
あーこの作品はこういうこと言いたいのね。
なんて段々と傲慢になってくる。
もしかしたらあなたもそんな気になっている時があるのかもしれない。いや、あると思う。
だけど、そんなときにこういう作品に出会うとホントにマンガの神様に感謝したくなる。この世にマンガがあることが本当に素晴らしいことなんだと感じる。
絵にも描けない美しさ。
百聞は一見にしかず。
なんて言葉があるけれども、この作品はそういう作品だと思ってほしい。
だいたい、どんな作品だってそれの全てを言葉で伝えることなんて出来ないと思う。出来ていると感じているのは書き手(レビューする人)の思い上がりだろう。
もしこの作品を読んで、その後で私のつまんないレビューを見て、作品を評価するということがとても失礼で無知なことだと感じてくれたら私はちょっと浮かばれると思う。
というわけで私の下らないお願いというか自己満足の文章はこの辺にして、私はこれからこの作品を読むよう皆さんにお願いします。はっきりいってレビューなんてもんじゃありません。無様なお願いですけれども、騙された!と思って読んでみてください。マジで。お願いします。
では、いきます・・・
・・・
文章ではうまく言えない書けない、でも!でも読んでほしい!!
絶対に読んでほしい!!
読めばわかる!だまされたと思って読んでほしい!!
これ読まないでこの21世紀何を読むっていうんだ!!
戦争だから!?原爆だから!?いいや違う!!!
これは人間の話だ!人間達の話だ!!
これほど静かで強くていとおしい話が今まであったか!!?
それが今まさに私たちの周りにあることを誰か説いてくれたことがあったか!!?今!今この時代だからこそ読んでほしい!!
日本人として!人間として!!きっと!きっと琴線に触れるはずだ!!読むんだ!!読むんだ!!その頬に風を感じるはずだ!!
桜の国の、夕凪の街の、あたたかい風がきっとあなたは感じるはずだ!!!
(注:BGM,サンボマスター「美しき人間の日々」)
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2006-09-18 23:02:16] [修正:2006-09-18 23:02:16] [このレビューのURL]
8点 ごまあぶらさん
読み返してみて評価が変わりました。
これは胸に来る漫画です。
痛みの意味が違います。
一般人の一般的な痛みです。
それはもしかしたら自分だったかもしれません。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2005-05-01 02:29:48] [修正:2005-05-01 02:29:48] [このレビューのURL]