ぼくらののレビュー
6点 shunさん
私の漫画の評価基準だと高評価にはできない。
ロボットの造形はオリジナリティあふれているが、
特異なだけで、私には魅力的には映らなかった。
動きの表現が乏しく、何をしているのか漫画では全くわからない。
攻撃手段の説得力が全くなく、すべての機構がご都合主義のように感じた。
キャラクターの描写にかなり癖があり、みな生気が感じられない。
体型がヤセ型のキャラクターが多く、キャラの書き分けや性格付けがイマイチで、
キャラが立っていない。はっきり言うと、キャラクターデザイン・服飾がダサい。
太っているキャラも、栄養失調のように見える。
家族構成やキャラクターの置かれる環境をベースとして、物語は進行していくが、
それぞれのストーリーは、人によっては感じる所があるかも知れないという内容。
個人的には、単なるショートストーリー集にすぎず、もっと全員のストーリーが絡むような、
壮大な仕掛けを期待していただけに、フィクションでありながら中途半端なように感じた。
伏線や種明かしのタイミングなど、よく練られているところは散見されるが、
それが物語を盛り上げることにあまり貢献していない。
翻弄される子どもたちのリアクションがとても薄く、心に響かない。
なにより作者の表情乏しい表現力で、全体のメッセージの強さが半減してしまっている。
コエムシなどは、もっと業深い存在にすべきだと思うし、
死にゆく子どもたちの絶望感や虚無感がもっと欲しかったと考えるのは、物語の抑揚を欲しがり過ぎだろうか。
世界観も止まった世界のような印象で、漫画的表現を嫌ったのか、すべてが薄く冷たい。
違う演出家の手で料理されればと思える内容なので、今後アニメを見る価値はありそうだと感じた。
思春期に読むと、もっと心に響いたかもしれない。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2014-09-21 14:14:50] [修正:2014-09-21 14:14:50] [このレビューのURL]
8点 booさん
人によって相当評価の分かれる漫画だろうと思う。セカイ系な作品なんだけれども、そこから一歩抜け出したものを感じる。
あの短い話数の中であれだけ子ども達の心理を表現できているのは見事だと思う。どの話も質が高いけど特にはダイチ編とマキ編が好きだった。マキ編のラストには鳥肌が立った。
どの話もラストがしっかりしていてよい。キリエ編のラストは秀逸だった。一つ難を言うならば、カコ以降死を簡単に許容してしまう子どもが多いこと。それぞれに理由はあるんだけど。あと、中一にしてはキリエやモジが大人びていすぎる所にも違和感は感じる。
なるたる同様ラストでこの作品の評価は決まると言えるだろう。鬼頭先生だからないとは思うけれど、頼むからゲームオチとかはやめて欲しい。個人的に幾分かなるたるよりはマイルドになったと思うのでなるたるが嫌いだった人も読んで欲しい。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2007-05-27 19:44:40] [修正:2011-10-27 18:02:38] [このレビューのURL]
8点 落とし穴さん
非常に重たい話ですが、ただただ安易に『死』を扱っている訳ではなくしっかりとした『生』に関するメッセージを込めた読みごたえのある漫画だと思います。
一人一人に順番に焦点を当てていく話の進め方なので途中だれるかな、とも思いましたが上手く謎が散りばめられていて、伏線も上手く張ってあるのでとても楽しめたし、繰り返し楽しめました。
この作品でこの作者の他の漫画も読んでみようかなと思いましたが、『なるたる』のレビューを読んでると結構びびったのでやめときます。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-10-15 03:18:44] [修正:2011-10-15 03:18:44] [このレビューのURL]
10点 長男さん
毎回一人一人に焦点を当てるので、思ったより読みやすかった。
ストーリーの先が読めなくもないんだけど、それでも面白く感じてしまう。
まあこの作者の少年少女趣味はどうかと思いますが。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-08-27 02:55:45] [修正:2011-09-04 03:20:47] [このレビューのURL]
8点 ぽこらてさん
エヴァに似ている、というような前評判を耳にして読んでみましたが、正直そこまで似ているというほどでは無いですね。
少年少女がロボットに乗って敵と戦う、という部分についてはエヴァと同じですが、こちらは「生と死」をテーマに据えているので、作品の雰囲気はエヴァとは全然違います(あちらは青春群像劇と言われているのかな?)。
「死」をテーマにしているので、暗い雰囲気だったり、残酷な描写があったりすることもありますが、目をそらさずに読んで欲しいと思う。
『「死」が「生」に価値を与える。』
これは個人的な哲学ですが、「ぼくらの」でもそういったメッセージがあった気がします。
中学生の頃といえば、誰もが「死」について考え始める時期であり、だけど、生きている事をリアルに実感できない年頃でしょう。
そうした同じ年頃の少年少女が死のロボット(ロボットを操縦すると必ずパイロットが死ぬ)を通して取る選択、そこになんとなくですが、生のリアルさみたいなものを感じました。
とくに最終巻は読んでいて鳥肌が立った。
生きているのが当たり前の現在の日本では感じることの無い現実。
ぼくらは、他の生命を殺して生きているんだ、という現実。
それを少しだけですが、体感できた気がする。
話が少しズレますが、自分は今まで自殺について割りと肯定的な意見を持っていました。
その人が苦悩しながら出した決断な訳だから、第三者が無責任に口を出すべきじゃないと思ったからです。
だけど、「ぼくらの」を読んでその考えに自信が無くなってきました。
他の生命を殺して、今自分達が生きているのなら、生きている事は権利ではなくて義務なのかもしれません。
難しい問題なので、「ぼくらの」で書かれていることについては当然賛否両論あるのかも知れませんが、自分は非常に惹きつけられました。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-03-14 19:22:44] [修正:2011-03-14 19:22:44] [このレビューのURL]
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