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6.57点(レビュー数:38人)

作者ヤマザキマリ

巻数6巻 (完結)

連載誌コミックビーム:2008年~ / エンターブレイン

更新時刻 2012-07-26 21:17:44

あらすじ 古代ローマの設計技師(風呂限定)ルシウス。仕事熱心な彼は浴場のアイディアについて悩みまくり、そのあげく現代日本の銭湯にワープ!?彼は日本と古代ローマ(風呂限定)を往来できる体質になってしまったのだ!!好漢ルシウスの時空を越えた大冒険(風呂限定)が始まった!!

備考 2012年にフジテレビ系「ノイタミナ」枠にてテレビアニメが放送され、同年、阿部寛・上戸彩主演での映画が公開された。

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テルマエ・ロマエのレビュー

点数別:
26件~ 30件を表示/全38 件

7点 とろっちさん

確か松本人志だったと思いますが、
「『和』と『洋』とでは総合的にどっちの方が上とかはないが、少なくともトイレについてだけ考えれば
明らかに『洋』の方が優れている」と言っているのを聞いて、妙に納得したことがあります。
この観点で言うと、少なくとも風呂についてだけ考えれば、明らかに『和』の方が優れているでしょう。
そんな作品。

作者はポルトガル在住とのことですが、ポルトガルに住んでいても、
いやポルトガルに住んでいるからこそ入りたくなる日本の風呂。
日本人にとっての郷愁。世界に誇れる日本の風呂。

ただ、他の方のレビューにもあるように、日本の文化のみを褒め称えるのではなく、
ローマ文化にも尊敬の念を忘れていないのがこの作品の良いところ。
読んでいても誰も嫌な気分になることなく、好感が持てます。

まず着眼点がすごい。そしてその発想を昇華させ、ここまでの完成度に仕上げる構成力。
真面目な人が真面目にくだらないことをする作風だけに、その面白さも際立ちます。
元は一発ネタだったのかもしれませんが、どこまで引っ張るのか。上手くまとめれば名作かも。
読むと風呂に入りたくなる漫画。こんな作品、貴重です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-26 20:07:51] [修正:2010-05-26 23:54:39] [このレビューのURL]

5点 fasterさん

最初は面白かったのだが、続けすぎたなと感じた。

1,2巻で終わらせていれば良作だったと思うが、さすがにここまで同じことを繰り返してしまうとつまらない。
序盤の斬新さもなくなっていき、非常に残念。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-13 21:57:24] [修正:2013-07-25 00:05:16] [このレビューのURL]

9点 健太(99)さん

相当面白い。ものすごく簡単にまとめると、各種料理漫画とへうげものをたして風呂をテーマにして描いた漫画。料理漫画は料理を褒め、へうげものは作った人間を褒める事をメインにしていて。テルマエ・ロマエはローマ人が日本の風呂について両方褒める。

まぁそれだけならどんな漫画家というだけなので面白さについて言えば、1話目2話目ですでにやられた。両方ローマに帰ったとき、日本で見た牛乳瓶と日本ザルというあっちの世界のものがあった。またあっちの世界では食で感動させられている。感動を伝える上でシンプルで確実な方法でそれでいて反応のさせ方は幅広い。でもちゃんと食べ物や平たい顔の人やサル以上に風呂についても感動させとる。

これがもし2回だけの短編でも相当面白いと思うけど。3話でそれをスパッと切り捨てる。3話目はローマに何もついて来ないし、ビールやヒメダケ煮も新しい食べ物や飲み物だという認識は無いし、描き方も違う。

でも最初の余韻として食べ物に対する感動を感じてしまう。

またローマ人が日本のものに驚嘆するとき、最初に平たい顔族といわれたことも助けて罪のない優越感を演出していて、テーマの新しさ云々抜きにしても漫画としてすごい良く出来ていると思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-07 00:11:14] [修正:2010-05-07 00:11:14] [このレビューのURL]

8点 景清さん

2010年9月26日 得点修正(6→8) 加筆あり

14歳の時にヨーロッパを一人旅したのをきっかけにイタリアへ美術留学、そのままイタリア人男性と結婚する傍らエッセー漫画などで活躍する女流作家…。

 本作「テルマエ・ロマエ」が漫画ファンの間で話題になった時に上記のような作者ヤマザキマリの略歴を知り、

「うわっ如何にも寒い一行コピーでおなじみのA〇RAあたりで特集されそうな人生だなぁ。」(←偏見)

 と思ったりもしたが、そんな作家が選んだテーマが「風呂」だという点に興味を抱いて単行本を買ってみたところ、「その手があったか、ヘウレーカ!」と浴槽から飛び出して全裸のまま走り回りたくなる着眼点の素晴らしさにまずやられた。
 日本人の風呂好きは世界的にも有名だが、作者が長年過ごし旦那の故郷でもあるイタリアにかつて栄えたローマ帝国も、また風呂をこよなく愛した文明だった。こうして「風呂」をキーワードに日本(故郷)とヨーロッパ(今の棲家)が結ばれたのだ。
 郷土愛は理屈や理論ではなく、感覚的・感情的な部分によってはぐくまれる部分が多いと言われるけど、長年ヨーロッパで過ごした作者がはぐくんだ故郷への思いが、風呂への偏愛という形で爆発しまくっているのが読んでいてほほえましいし、同じく風呂を愛する一日本人として「その通りだッ」と大いに納得もできる。全身で味わう風呂という奴は、場合によっては言葉や食べ物以上に皮膚感覚的に訴えてくるパワーがあり、作者は風呂限定で古代ローマと現代日本を自在に行き来するローマ人ルシウスを通して、なかなか湯船につかる事も叶わない地球の反対側にいる自身の思いを叶えているようにも見える。実際第1話でルシウスが初タイムトリップを遂げた先が、スターウォーズのポスターなどから判断して70年代末~80年代初頭の、作者が渡欧する直前の銭湯だったあたりからもそれがうかがえる。そして風呂にすっかりのぼせあがった作中描かれる「平たい顔族」のジジババ達のあの表情!作者は本気だ。

 また、この漫画で良いと思った部分は、単なる「日本の風呂万歳」的なノスタルジーのみに終わる事無く、ローマ文明の偉大さをも描けている点にある。主人公のルシウスは真面目が服を着て歩いているような堅物なローマの風呂設計士で、毎回はるか未来の日本の風呂にタイムスリップして大いにカルチャーショックを受ける一方で、その風呂技術の一端をどうにかローマに持ち帰ろうとし、そして完全移植とはいかないまでもフルーツ牛乳や露天風呂、シャンプーハットなどをローマの技術で再現してみせる。
 「ローマ文明はギリシア文明と比べて創造性で劣っていた」と言われるが、作中ルシウスが述べている通り他民族の文明を柔軟に吸収、模倣発展させる事で世界規模の文明を築き上げてきた。(似たような事を言われた民族もいましたね)
 ルシウスはそんなローマ市民としての大いなる誇りと自負心を胸に秘め、「平たい顔族」の仕掛ける様々な風呂に裸一貫で立ち向かうのだ。その姿は神々しくさえあり、ローマの精神の最良の部分を体現しているようでさえある。そして…、やはりどこかオカシイ。一種のカルチャーギャップをネタにしたギャグ漫画としても良くできているのだ。特に彼が
「何をするかーっ」
 と叫ぶシーンでは毎回笑いそうになってしまう。本人が真面目な分、余計に。

 日本とイタリアを「風呂」というキーワードで結びつけた本作の着眼点のよさは上に書いてきたようにただの思いつき以上の奥行きがあり、各方面で話題になったのもうなずける。ある意味「ローマ人の物語」で知られる塩野七生に近い快挙かも知れないが、まだそこまで持ち上げるのは早計かも知れない。もともと本作は同人誌用に軽い気持ちで描いた物が連載の流れに乗ってしまったのだという。初期設定がなまじいいだけに毎回面白いが、このまま今後も新鮮な驚きを与え続けられるかどうか、作者の真の実力が試される。


 単行本でしか読んでないため、現在ビーム本誌ではどのような風呂が登場しているかは知らないが、2巻以降に登場する風呂を勝手に予想してみよう。



1.ジャグジー
「この泡を発生させるのに何人の奴隷を使っているのだ?」

2.真冬の露天風呂
「馬鹿な。あえて雪が降る中に屋外で入浴など…」

3.塩サウナ
「何をするかーっ!」

4.ゆず湯
「むぅ、柑橘類をこのように使うとは。食っては吐いて吐いては食うばかりの貴族たちにも見せてやりたい。」

5.ひのき風呂
「総木材製の浴槽だと?まさか平たい顔族とは、絹の道の遥か東方の彼方にあるという、木造文明の帝国だったというのか?」

6.温泉卓球
「この球の材質と製法が分からん。」

7.スーパー銭湯
「夢を見た。後の世の皇帝陛下がこれとよく似た施設をお造りになる予知夢を。」

8.ローマ風呂
「細部に誤りがあるが、われらローマの威光は平たい顔族たちにも及んでいたと見える。初めて奴らに優越感を感じた。」

 2巻も楽しみにしてます、ハイ。



 以下加筆(2010/09/26)



 そんなわけで先日発売した2巻を読んでみたのだが、やはり上記のレビューは早計であった。期待外れ?マンネリ?一発屋?違う。最初のころのような新鮮な驚きこそ無いにせよ、漫画としての面白さはますます増し、作者の実力の確かさを思い知らされた。
 ギャグ演出力は格段の進歩を遂げており、「いい年した大人が全裸であれこれ頭をひねる」という本作特有のシチュエーションの馬鹿馬鹿しさ・大げささを更に増幅させている。絵もこなれてきており、女性キャラなども普通にかわいく見えるようになってきた。
 上で色々あげてみた勝手な予想は結局2巻においては一つも当たらず、定型的な展開にも関わらず予想のはるか斜め上を行く日本とローマの風呂シンクロの数々に圧倒される結果となった。風呂、恐るべし。

 3巻も楽しみにしてます、ハイ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-05 21:59:31] [修正:2010-09-26 01:34:10] [このレビューのURL]

7点 もずく酢さん

日本=風呂。ローマ=風呂。よって日本=ローマ!!!!
お風呂で読みたい漫画です。こうも日本人の風呂好き心をくすぐるマンガはないでしょう。初めは何故風呂? と思うのですが、読んでいるとこちらまで風呂に入りたくなります。主人公が物語の中で、次第に上気してくるのさえ風呂の持つ保温効果に思える程です。
当たり前ですが、日本の風呂はかなりの最新鋭。どの世界からしても風呂にかける情熱は強いでしょう。それが古代ローマ人とリンクするとは…着眼点の良さに感動できる作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-04-30 14:26:21] [修正:2010-04-30 14:26:21] [このレビューのURL]

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