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7.33点(レビュー数:12人)

作者山本直樹

巻数4巻 (完結)

連載誌ビッグコミックスピリッツ:1994年~ / 小学館

更新時刻 2009-11-25 06:33:22

あらすじ 家が不良に占拠され、輪姦・新興宗教・いじめと、様々な困難が怒涛の如く押し寄せた一家。それでも決して屈せずに奮闘した父を描き、「家族とは何か」と言う重い問いを今一度投げかける。(wikipedia)

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ありがとうのレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全12 件

7点 白い犬さん

[ネタバレあり]

単身赴任からお父さんが帰ってきたら家は不良のアジトになっていて
母はアル中長女は薬漬けで性的玩具と化し次女は自慰行為を不良に
写真にとられて、としょっぱなから救いがない。
で、お父さんが命を張って我が家の平和を取り戻す・・・という
お安い話にならないのが山本直樹。
一応不良は追い出したもののお父さんががんばって家族を再生しようと
すればするほど家族の絆というものが幻想であることがわかってきてしまうという、深いよ山本さん。
連載当時作家の柳美里が絶賛していたのが印象に残っている。
彼女も家族の絆に振り回された生き方をしていたからであろう。
家族の再生をあきらめてそれぞれ家族が好きなことやってときどき集合して旅行いったりしたりしはじめたときにお父さんは死ぬ。
最期の言葉は「ありがとう」。このためのタイトル。
山本直樹に完敗。

ナイスレビュー: 7

[投稿:2006-05-01 02:17:36] [修正:2006-05-01 02:17:36] [このレビューのURL]

7点 ジブリ好き!さん

序盤から最後まで衝撃的な作品でした。
ムチャクチャな展開ばかりですが、冒頭の家庭に関する引用とラストの父の最期が繋がっていると感じ、作品を通して伝えたいことが少しは理解できた気がします。
ただ、お父さんの「ありがとう」の言葉の想いは、まだ子供側である自分には100%の理解はできていません。
そのため、思春期まっさかりで反抗的な貴子にひどく共感できました。
自分も父親や家族に対する苛立ちや距離感を感じているから、言いたいこと言ってくれてたと思います。大学生にもなってそんな風に感じてしまっているのは長すぎる思春期で問題あるかもしれませんが、家族への嫌悪感は誰でも一度は感じるものではないでしょうか。
この漫画のような単身赴任で距離が開き、無責任で空回りした父親ってほど過度なシチュエーションではなくとも、親や家族に対して綺麗な想いだけで過ごしてきた人は少ないと思います。

同時に、家族の絆を取り戻そうと頑張っていながらも空回りな結果となってしまうお父さんもまた印象的でした。
解散、という結論は非常に効果的でナイスアイデアだと思います。
独り暮らしして初めて親のありがたみが分かる、なんて言われるけど、大学に入って1年独り暮らしして、また家族で暮らしてみてじゃあ以前より感謝の思いが強まったかと言われれば、何とも言えません。
でも「オヤジは相変わらずうるさかったが、そのうるささも気にならないほどだった」というのは凄いわかる。それがオヤジの変化なのか自分の変化なのかはわからないけど、たぶんそれは「家族」に対する理解が深まったということなのだろうな、と思います。

不良が出てくる序盤は読んでて非常に心苦しいけど、後半のエセ宗教やいじめは落ち着いて読めました。
記号的なキャラが多く、家族以外のキャラは役割付けられているのですが、カクマだけは結構掘り下げて描かれているのが嫌でした。
最初の展開(強姦、暴力、崩壊した家族、犬殺し)は本当に強烈で容赦がないけれど、エロ描写に関しては18禁の同人やアダルト漫画の追随を許さない過激さや情熱がこもっていて、芸術とまで評されるのもなんだかわかる気がします。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-11-07 15:47:25] [修正:2010-11-07 15:47:25] [このレビューのURL]

7点 いーいす。さん

 私も白い犬さんのレビューに興味を持ち読んでみました。

 主人公(お父さん)の立場にたって読んで、極めて悲惨な体験をさせてもらいました。漫画文化の重要な一面だと思います。あと思ったのは最後まで読んで良かったということです。

 私はこの漫画には年齢制限が必要だと思います。たとえ性交場面に厳重なモザイクを施したとしても年齢制限をすべきだと思います。


   正直言って読んでて辛かったんです。

 心にだってきっと育つのに必要な順番があります。絶望とか孤独とか理不尽とか憎悪とか破滅とかそういったものを知り学ぶ前に、必ず知って味わって体感しておかなければならない事がある筈です。
 個人差も大きいでしょうし一概に早い遅いで片付けるのも難しい事ではありますが、いちおう最低限の年齢制限を示しておくのが社会の良心であると思います。


 なぜか最後まで貞操は守り続けた妻、身を持ち崩しもせずにありえない頼もしさで立ち直りつつある長女、父に対する心は真っ黒でありながらも逃げずに正面から相手をしてた次女。
 一家の破滅に際し肉体的にも精神的にも真っ向から立ち向かい戦い続け、ついには終わりまでをも自分の思いどうりにさせてくれた家族に対し、父は臨終の際に枕元で「ありがとう」とつぶやいて息を引き取る。

 それらのことで一体なにがどうであれ、自分の中において感謝をもって完結させることが出来た者こそがそのことの勝者だと思います。 「ありがとう」 がいいたいことの一つにそんなことがあるような気がします。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-01 16:29:34] [修正:2009-12-08 17:12:53] [このレビューのURL]

9点 佐々木裕健さん

露骨な性描写が気持ち悪い。(無ければよい、と言うのではなく、描き方が生理的に合わなかった。あんなにモロでなくても、表現はできるだろうに。作者の趣味だから仕方は無いけど。)

それさえなければ本当に非の打ち所の無い作品である。

登場人物全てが理性的なところ、狂っているところをもっており、しかもその「狂っているところ」こそが、単なる個性を越えて、今の日本社会の「豊かなんだけどどこか壊れている」といった感じを上手に反映させている。

この作品全体からは、どこにでもいる「善人」に対する強烈な怒りを感じる。もちろんこの場合の「善人」は、

表面は問題の無いように取り繕い、肝心の臭いものにはふたをし、他人に対しても自分自身に対しても嘘をつきながらだましだまし生きていて、しかもそのことさえも認めようとしない「善人」である。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-12 15:49:17] [修正:2007-06-12 15:49:17] [このレビューのURL]

7点 森エンテスさん

東京都が制定した条例に照らし合わせたら100%NGな作品です。
エロいしグロい部分もあります。

ただ、この作品をしっかりと読んで、その上で「青少年を守るためには発禁」という判断をするのであれば、マンガというメディアはあまりにも偏見があると言わざるを得ません。

序盤の酷すぎる展開があり、最後に綺麗な形で終わる・・・。
素晴らしい作品であるのは間違いないです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-03-30 00:06:28] [修正:2011-03-30 00:06:28] [このレビューのURL]

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