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7.25点(レビュー数:8人)

作者原秀則

巻数19巻 (完結)

連載誌ビッグコミックスピリッツ:1991年~ / 小学館

更新時刻 2009-11-25 06:37:15

あらすじ 創部3年目にしてベスト8入りを果たした朝霧高野球部。しかし、のびのびと野球を楽しんでいるこのチームには、甲子園に行くための決定的な「何か」が足りなかった。ある日、そんな野球部の前に謎の新監督が現われる。

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やったろうじゃん!!のレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全8 件

[ネタバレあり]

どのスポーツ漫画にもいえるが、一つのスポーツでも楽しみ方は様々あり、
それに応じて、題材を扱う漫画はいろいろな切り口からその魅力を引き出していく。
野球漫画はその性質上、特に最近の傾向として、戦略性や心理戦などの「静」の魅力に
ウェイトをおいたものが多く、逆に気合、熱闘、説明不要な迫力プレイなどの「動」の部分で
魅せる作品は少なくなってきたように思う。

「やったろうじゃん!」でも序盤は喜多条監督を主人公に据えて、選手の育成を中心に
ストーリーを進めていたがが、どうもパッとせず非常に地味な印象だった。
しかし新入生江崎が入部してから、方向性を変え、江崎のピッチング能力を伸ばす=江崎のピッチング
の凄さがクローズアップされるようになり、一球一球に力の入る、どの野球漫画よりも熱気のこもった
描写が描かれるようになった。
基本的に朝霧と対決する周辺が陰気というかドロドロとした高校球児達ばかり(笑)で、
朴訥な江崎がそれらをねじ伏せるように投げる対比が素晴らしい。朝霧VS成京戦でこの作品の
最高潮に達しており「あと一球!」コールが連呼されるシーンは漫画に引き込まれる圧巻の迫力。

が、
ここを過ぎた後の展開は正直評価が難しい。
この後江崎は苦難の道を進むことになり、むしろ野球外のドラマに主眼がおかれるが、
これがなんとなく重苦しく閉塞感があり前半のピークと比べてちょっと…といった感じ
そして終盤の「アレ」
確かに並々ならない江崎の完全復活→物語のシメを描ききってしまうために「アレ」は
理由付けにちょうど良い題材かもしれない。
けど必要不可欠なものでも無い。だからこそなんとか回避できなかったものかなあ…と思ってしまう。
読了後は感動もしたが少々の後味の悪さも残った。結局監督は空気になっちゃったし

野球のシンプルな面白さと青春群像劇としてどっぷりと漬かりたい場合にお勧めかな
ただし終盤は確実に欝入りますので(まあラストは救われるか?)それでもよいという人に

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-09-27 01:38:22] [修正:2008-09-27 01:38:22] [このレビューのURL]

8点 てっちさん

[ネタバレあり]

巨人の星系でも水島系でもキャプテン系でもない、
「普通の高校生と監督」の甲子園を描いた野球漫画。
マンガの影響から「野球は、努力好きで真面目で才能ある選ばれた奴がやるべきだよな」と思いこんでた私には新鮮でした。
やったろうじゃんの「監督が選手と考えながら野球していく」路線が『大きく振りかぶって』『ラストイニング』につながっていく(と勝手に思っている)。

朝霧高校に喜多条監督が赴任し、反発を受けながらも野球部を一つにまとめていく序盤。練習・日常生活・心情まで、普通(天才でも不良でもない)の高校野球部員の生活を描いているので、チームが一つになっていく過程は感情移入して一気に読める。

その後、滝山高に勝つためには、甲子園で勝つためには、努力と運が必要だということを思い知らされます。剛速球投手・江崎がチームに加わり、高めあいながら快進撃を続けたのも運なら、その江崎がチームのために限界を超えて故障するのも運。これが中盤。

全てのドラマが終わり、重厚な江崎のドラマに突入する終盤。
楽しい時も苦しい時も悲しい時も野球をやってきた江崎は、最愛の女性がレイプされた怒りすら、野球で表現することを求められます。自分の才能すら呪いたくなりながらも、才能がある故に投げ続けなくてはいけない、それもまた甲子園の真実でしょう。

甲子園を夢見る普通の高校生・加納の話から、高校野球に翻弄されなお高校野球に戻ってきた喜多条監督、江崎という天才の話まで…要は「野球が好きな男」のお話ですね。

滝川高ぐらいまではもう面白くて面白くて、甲子園でも江崎が覚醒していく姿と選手が考えながら野球するのが面白くて、確実に10点満点でしたねぇ。
ただその後があまりに暗くて…。『部屋においでよ』や『青空』でも描かれている、あの息苦しくなる暗さです(笑)
ってことでマイナス2点。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-07-18 00:58:33] [修正:2007-07-18 00:58:33] [このレビューのURL]

7点 朔太さん

19巻を揃えて2日で一気読みしました。
深読みする場面はありませんので、ガンガン読めてしまいます。

高校野球漫画の王道は、地方予選すら勝ちぬけそうに
ない弱体野球部がライバル達との切磋琢磨により、
どんどん成長していき、ついには甲子園に出場する
という成功物語です。
そのセオリー通り、本作品も何を考えているのか
分からない監督を迎えて、どんどん成長していきます。
その過程は14巻までドカベンストーリーそのものです。
エースの入れ替わりが一つの人間ドラマになっています。

納得できないのは喜多条監督の不可解な指導ぷりであり、
いつまでたっても説明はありません。
それは最後まで変わりません。
ただの奇をてらった展開としか思えません。
才能豊かな選手しか起用しないと明言しながら、
言動が一致しません。

15巻からは新たな主人公である江崎の物語が始まります。
話の展開は予定調和的なご都合主義のお話が続きますが、
ドラマチックではあります。
高校野球漫画らしくない後半の展開ではあります。
が、様々なテイストが混じりあいながら、
結局のところ人間賛歌になっているところが、
本来の原秀則らしさといえば言えそうです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-10-12 15:13:20] [修正:2019-10-12 15:13:20] [このレビューのURL]

8点 森エンテスさん

読んでいてテンション上がる野球漫画の名作。
高校野球を題材したマンガの中でも相当面白い部類の作品だと思います。

この作者特有の100%爽やか/熱血にならずに暗く救えない部分があるので、その点が気にならない人であれば、気に入っていたでけると思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-10-27 22:48:03] [修正:2010-10-27 22:48:03] [このレビューのURL]

5点 あらいやすさん

野球をテーマにした人間関係マンガ

高校野球をテーマにしているが基本野球は舞台として利用されているだけで、野球に関する技術的な話はほとんど出てこず、ライバル校の選手たちも第二の主人公というよりは引き立て役といった描かれ方で、ほぼ主人公の所属する高校内での人間ドラマに終始している。江崎が天才だった、で終了。

主人公と言うべきキャラが喜多条・加納・江崎のどのキャラになるのかよく分からないが、扱いからするとやはり江崎になるのだろうか・・・?

この三人の人間的成長がメインテーマになるのだと思うが、相変わらず男キャラはあまり喋らない腹秀則節なので(女性キャラと脇役男性キャラはよく喋る)、自分の感想としては最後まで喜多条も江崎も何を考えているのかよく分からないというのが正直な感想。明確に誰が主人公なのか定まっていないのでちょっと感情移入しづらくなるしね。

残酷な展開を見せ場にする描き方(原さんはこれが多い気がする)はあまり好きではないが、物語の展開はやはりベテランらしく上手くそしてあざとい。

でも悲しい結末が多い原漫画の中ではハッピーエンド?のこの漫画のラストは結構好き。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-10-27 15:52:37] [修正:2010-10-27 15:52:37] [このレビューのURL]

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