藤田和日郎短編集 夜の歌のレビュー
7点 橙木犀さん
収録されている作品の趣向それぞれに特徴があるので、読んでいて全く飽きません。得られるものも、スカッとした爽快感か、ジーンと胸に広がる感慨か。
はたまた違うものが見えてくるのか。
私の場合、何度も読み返すうちに、5作品全てが1つのテーマで貫かれているように思えてきました。
憎しみと哀しみの糸で操られる美しき姫君と本気で戦おうとしない忍びが織り成す活劇「からくりの君」。
手に入れたいものを手に入れるために強さを求めながらも、握られたままの拳で何も掴めない自分に苦悩する武術家が、新たな道を見出す物語「掌の歌」。
夜に潜む己の内にある恐怖と向かい合おうとする少女。
そして、自分の中にある心の闇から目を背け、迷い続ける探偵。
そんな二人が桜舞い散る夜に出会い、自分にとっての夜の闇と対決する怪奇ロマン「夜に散歩しないかね」。
上記の3作品も、残りの2作品も「自分と向かい合う」ことがテーマのように感じます。
自分から踏み出すきっかけも、巻き込まれた中で与えられるきっかけも、がむしゃらにやり抜ければ、最後はどっちでもいいんじゃないかな。
読んでいて、そう思えました。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2007-07-13 11:11:39] [修正:2007-07-13 11:11:39] [このレビューのURL]
6点 fasterさん
「からくりの君」や「夜に散歩しないかね」など、レベルの高い短編も載っていて楽しめる。
が、個人的には「メリーゴーランドへ!」などは何が良いのかよくわからなかった。
藤田和日郎の原点を知るのにはいい短編集だと思う。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2009-09-13 22:32:14] [修正:2013-07-24 23:14:41] [このレビューのURL]
6点 s-fateさん
どんな文豪でも全集を読めばハズレと思える作品は必ずあるので、こういった短編集には過度の期待はしませんが、コレを読むと藤田さんの作品は昔も今も根っこは変わってないなぁと思います。拳法へのこだわり、怪異への傾倒、そしてからくり。後の藤田さんの作品に絡んでくるものばかりです。で、意外と根っこの中心的なものがメーリーゴーランドの話に出ているような気がします。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-09-26 03:15:14] [修正:2010-09-26 03:17:45] [このレビューのURL]
5点 ITSUKIさん
作者の短編集でも初期の作品を集めたものです。
それ故に、作画面はかなり未熟な所が見られ、正直かなり古臭い。
しかし、「からくりサーカス」の原型となった「からくりの君」などはファンなら一読の価値ありと思います。
まぁ、長編で人気を博している藤田和日郎ですが、実は短編もうまいんだよって事を知っていただけたら幸いです。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2009-12-19 18:12:27] [修正:2009-12-19 18:12:28] [このレビューのURL]
6点 まれらさん
バラエティに富んだ作品群だが、どの作品もいい素材の味をうまく引き出している。特に巻頭作「からくりの君」は好きな話で、よくこんな短い中でここまでファンタジックな世界が構成できるものだと思った。
あえて苦言を言えば、全体を通じてどことなく消化不良気味で読後感にすっきりしない部分が残る感じがするところか。キャラクターの肉付けがしっかりして来て、さあこれからという辺りでページが尽きてしまう。どの作品も続きが読みたくなる出来ということでもあるのだが。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2008-03-26 21:51:48] [修正:2008-03-26 21:51:48] [このレビューのURL]
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