「punpee」さんのページ

総レビュー数: 104レビュー(全て表示) 最終投稿: 2016年02月06日

10点 神戸在住

神戸の大学に通う女の子の、4年間の日常を切り取って綴られた作品。
とんでもなく平凡な日々の中に、本当に多くのドラマが詰まっている。

震災の様な大きなエピソードはもちろんの事、
父との外食や、弟が一人暮らしを決めた夜という、一見地味だが現実的なエピソードを、読み応えある一話にしてしまう作者の文章力と構成力には脱帽。

特に、大学4年間という時間の流れを非常に巧みに使い、キャラクターの精神的な成長の過程を丁寧に描いています。
身近な人間の死の受容、友人との距離の縮まり方等。
主人公の髪型も、ゆっくりゆっくり伸びていってますからね。笑
「ヨコハマ買い出し紀行」も同様、時間の流れって、それだけで大きなドラマの要素になるんですね。


特筆すべきは、この作者が男性だという点に驚いてしまった程、女性主人公の描写が丁寧です。
それはこの作者の後に続く作品も同様ですが、焼き鳥屋店員なら焼き鳥業界の、ボクサーならボクシングの、柔道部員なら柔道の、
それぞれのテーマに関する知識や技術等の描写、解説が非常に繊細で丁寧な事から、作者の真面目で研究熱心な姿勢が伺えます。

この作品には人種や性、障害等のあらゆる差別もテーマの一つとしてり、メインでないキャラクター達にもそれぞれの葛藤、反省、覚悟が描かれています。
これらの描写も、前述の理由から、いい加減な気持ちでテーマに組み込んでおらず、読み応えがあります。

個人的には素晴らしい良作なのですが、
地味すぎるという点と、キャラクターや世界観に慣れる前の序盤の敷居の高さから、人にお薦めしにくい作品である事も事実です。笑

ナイスレビュー: 3

[投稿:2017-02-27 17:59:13] [修正:2017-02-27 17:59:13] [このレビューのURL]

設定も緻密だし、世界観も出来上がっているし、キャラクターも魅力的。

あと個人的には、絵も台詞もコマ割りにも抜群のセンスを感じます。

作者がキャラクターに感情移入しないので、
ストーリーを動かすためには、そこそこの良キャラに対する無慈悲な展開を厭わないところも好きです。

ハンター試験の負け上がりトーナメントという逆発想のユニークさ、
旅団編の念能力の面白みや心理戦的駆け引きの応酬や、
G.I編の世界観、設定の緻密さ、
蟻編の、常に状況が変化する中でのキャラクターそれぞれの判断力や絶対王の心理的葛藤、
暗黒大陸編の序章のワクワク感、

作品の質としては最高峰にある様に思えますね。
少なくとも、他の少年漫画とは思考の深みが全然違います。

シリーズ毎のストーリーやキャラの動き方に矛盾が無いので、その場凌ぎの展開、演出は無く、一貫しています。
なので、じっくり練って作品の質を高めてくれるのであれば、連載ペースも今の感じでいいと個人的には思います。


是非、他の方の意見と合わせ、参考にして下さい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-03-05 10:56:12] [修正:2016-03-05 10:56:12] [このレビューのURL]

10点 ピンポン

画力、ストーリーのクオリティ、キャラクター、心理描写、セリフ、演出、

全てが完璧です。
一切の無駄が無く、5冊で完結する点も含め、完成度の高さが抜群です。

個人的な部分で、
色鉛筆で塗った様なカラーの美しさ、擬音のフォント、ペコの駄菓子やジュースに対するこだわり含めて最高です。

ラストの、プレッシャー、葛藤、あらゆるストレスから解放されたスマイルとドラゴンの2ショットにも救われます。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2016-02-20 22:15:49] [修正:2016-02-20 22:15:49] [このレビューのURL]