「punpee」さんのページ

総レビュー数: 104レビュー(全て表示) 最終投稿: 2016年02月06日

[ネタバレあり]

夫婦(途中から家族)生活を綴ったエッセイ作品という形を取りながら、
独特且つ偏った視点で各業界にメスを入れる、作者のチラシ裏主張も半分の割合で込められている、一風変わった作品。

若手芸人や2世タレントに対する恨みつらみ、
若者の性や同世代の才能に対する激しいコンプレックス、
漫画業界の裏話や、自身の将来に対する不安を鬱々と綴る等、、、

これらの後ろ向きなテーマと、「ほのぼの妻可愛い?」テーマの共存。
「こっちは好きだけどこっちはちょっと…」と、完全に読み手を分けてしまってる感は否めませんが、私はいいバランスで読んでいます。

中には、
野球中継において、「こんなにカメラや映像機器が最先端になっているのに、何で未だにストライクかボールかの判断が審判のさじ加減なの?」とか、
格闘技中継において、「目尻のカットや金的で試合中断すると冷めるから、こういう器具を作ってほしい」とか、
2ちゃんねるのまとめサイトを読んでる様な持論も展開されます。

「歯磨き粉のベストな捻出方法」や、「袋スナックはこう開けれる様にしてほしい」といった、クソどうでもいい持論も、楽しく読ませてもらっています。笑


深く考えずほのぼの漫画を読みたいという方には、持論パートのアクが強く感じると思います。
なので基本的には、ひねくれてて、ネガティヴな思考共感者の方にお薦めする漫画です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-07-31 20:13:05] [修正:2017-07-31 20:13:05] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

山田芳裕先生の作品の中では、一番好きです。
他に例が無い10種競技を題材にしており、エンタメ性が高く、いい意味でぶっ飛んでいます。
ラストは何故か一夫多妻制の部族の族長になってる辺りも、この作家らしいぶっ飛び具合です。笑

序盤は「よく知らんけど10種競技ってすげーなぁ」から始まり、
中盤から本作者の真骨頂であるテンション・表現力・演出力が発揮されてきます。

主人公の強さは、おそらくかなりご都合主義です。
中盤、確かにトレーニング編はあったけど、ここまでの強さの根拠には乏しい気がします。
(多分、福満しげゆきが認めないパターン。笑)

勢いや凄みで解決させる展開はジョジョを彷彿させますが、
冒頭で言った様に、エンターテイメントとしての面白さは見事。

主人公を本物の馬鹿に設定する辺り、本作者らしいです。

生命を削りながら限界を超えて戦うハングリーなアスリート、
ワンショットワンキルの生き様を貫く孤高の野生アスリート、
勝利の為に喜怒哀楽全てをコントロールして勝ち続ける完璧絶対王者、

それらアスリートの偉大な哲学を崩したのが、
主人公のブレブレな本能と煩悩という点に、ある種の真理を感じました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-07-31 20:08:00] [修正:2017-07-31 20:08:25] [このレビューのURL]

好きな作家さんの一人であり、毎回テーマに対する真面目で丁寧な姿勢が伺えるだけに、
前作「からん」に続き、2連続打ち切りが非常に残念。

個人的にボクシングが好きなのですが、地味でも技術的・科学的に真面目にボクシングを描いた作品は、本作品と新井英樹の「SUGAR」シリーズくらいじゃないでしょうか。

少なからず一定の評価を受けている作家だとは思えますが、
本作は少し構成が悪かった様に思えます。

心理描写を描くのが秀逸なだけあり、
ジムメイトのキャラクターの過去を掘り下げる場面は読み応えが十分あるのですが、
少し気を抜くと「あれ?これ、何漫画?」と思うくらい、脱線を感じる事もありました。

最終回も、無理矢理綺麗に畳める気はサラサラ無く、中途半端上等という潔さでしたね。

知識の幅が広く、表現力や文章力に、心理描写に長けており、良い作家だと思いますが、
この作家に少しでも気になられた方は、「からん」から読まれる事をお薦めします。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-07-31 20:00:54] [修正:2017-07-31 20:00:54] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

個人的に生き生きしている頃の荒木先生の作品です。

ただ、作者自身も語っている様に、基本的にはアイデアは長編(連載)用に取っておくので、
そこから外れたしょぼいアイデアを、持ち前の勢いと演出力で膨らませた様な短編ばかりです。笑

それだけのネタでそこそこの読み応えにしてしまう辺りは流石です。
何て事ないテーマを色んな角度から膨らましながら一つのネタにしてしまう、ガキ使フリートークの松本人志の様な感動はあります。

褒めてるのか褒めてないのか分からないレビューになりましたが、
「岸辺露伴は動かない」は傑作だと思っています。
ジョジョ4部でたかがジャンケン描写を異様に盛り上げた様に、ポップコーン食べにここまで緊迫感を持たせるのか。。。と、当時の衝撃が忘れられません。


装丁も凝っていて素敵です。
カラーページも再現してますし、良い買い物でした。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2017-07-31 19:58:17] [修正:2017-07-31 19:58:17] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

かなりネタバレ含んでるので、まだ読まれてない方はスルーして下さい。

うしおととら以外の藤田和日郎作品は、絶妙に肌に合わないと思っていた時、スピリッツで出会った作品です。
当時、スピリッツスレでも異様に評価が高かったのを覚えてます。

見るだけで生物全てを殺せるフクロウと、それを殺すCIAとかアメリカ国務省とか漁師親娘の話。

物語の構成、演出が抜群に上手くて、やっぱりこの作者凄いなと思わされました。
他の方が仰るように、短編で生きる作者なのかもしれない。。。


フクロウがまったく悪くないんですよね。

自分が見ても死なない置物のフクロウを愛し、子供を欲し、脅威の人間の兵器に立ち向かう最後のシーンは痺れました。

「彼は羽を一打ちして飛び上がったんじゃ
何が来ても、もうこのフクロウは渡さん
そうでなくとも、今日はこの大切なフクロウを奪われて彼は頭にきていたんじゃろうな
どんな敵が来ても、負けん気持ちが彼にはあったしな
ひとにらみ、
この世のひとにらみでどんな生き物も死んでゆくんじゃ
彼は思ったのさ
そうじゃ
どんな時も
最後に月の光の中を飛んでいるのは、
この自分なのだと」

個人的に臭いセリフの多い作者ですが、タイトルもなかなか格好良いです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-02-27 17:53:07] [修正:2017-02-27 17:53:07] [このレビューのURL]

まぁそこそこ評価されてる作品だから読んでおこうかといった軽い気持ちで入ったつもりが、
終盤は完全に惹き込まれてしまいました。


主人公が監督で、采配をメインに扱う点で、テーマだけ聞くとGIANT KILLINGと似ていますが、
GIANT KILLING程の演出力やエンターテイメント性はありません。
良作なのは間違いないのに、いまいち広く知られていないのはそういった理由もあると思います。

大一番の試合は流石にドラマティックですが、基本的には絵もキャラもストーリーも地味っちゃ地味です。
しかしブレはまったく無く、読み進めていく中で、どんどんキャラが成長し、深みが出て来て、ストーリーも膨らんでいく、尻上がりな作品だと感じました。


44巻という長丁場ではありますが、個人的に本当に魅入られたのはラスト10巻くらいです。
面白く感じ、好きになってきた所なので、もっと読み続けたいという私の想いとは裏腹に、何の蛇足も無く、爽やかに終わらせてくれた作品です。

残念だという余韻を残しながらも、やけに爽やかな、SLAM DUNKが終了した時の寂しい感覚を味わいました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-02-27 17:44:24] [修正:2017-02-27 17:44:24] [このレビューのURL]

7点 ヴィリ

面白いです。
1冊できっちり濃厚なドラマが完成しています。
「またバレエかよ!」なんて思ってしまってすいませんでした。。。

読み手を裏切る展開の連続で、
後半はサスペンス路線になりながらも、救いのある読後感に仕上がっています。

絵柄もストーリーも一見地味でも、読者を引き込む構成力・心理描写は流石。
また、バレエばかりの人生で、プレッシャーと闘いながら不器用に生きてきた玲奈の最後の回想の演出も巧み。

この作者はどの作品でも本当に丁寧で、真摯にものづくりに臨んでいる姿勢を感じ取るので、敬意を表します。
どの作品も、安定して面白いので安心して見れますね。

1冊で終わる作品の中では個人的トップ10に入る良作です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-02-27 17:38:52] [修正:2017-02-27 17:38:52] [このレビューのURL]

7点 BUTTER!!!

爽やかだけど、きっちりドロドロした心理描写もあり、
何よりダンスというテーマを扱うにあたって、キャラクターの自己顕示欲というテーマに触れてくれたのが個人的には嬉しいです。笑

部員たちの最初のぎこちない、気を遣ったりしてた距離感が、
過ごした日々の時間や喧嘩を経た上で、最終巻では生き生きと距離が縮まっていた成長描写は流石です。

頑張る事、一所懸命やる事の素晴らしさを再確認させてくれる良作です。
タイトル「BUTTER」の由来も最後の最後で明かされるのですが、その流れにもセンスを感じます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-02-27 17:38:02] [修正:2017-02-27 17:38:02] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

TWIMやRIN、キーチ等、あれだけクセのある作品を量産してきた作者の「初期衝動」が溢れた一作。

先に述べた作品群よりもクセは成熟されておらず、読みやすいです。
前半は社会人漫画です。
泥臭い営業マンが必死で奮闘し、これでもかと苦労と根性を積み上げても負ける見積もり合わせや、ラッキーパンチが決まって取れた大きな受注や、心動くものがあります。

後半はバッタリと仕事描写が無くなり、腕力で負けたラガーマンにリベンジするという展開。
個人的には前半の営業マン漫画をずっとやってくれていた方が好きだったのですが。笑

若いころに読んだ時はヒロインの靖子に何の魅力も感じなかったのですが、大人になって読むと、いい女だったんだなぁとしみじみ思います。笑

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-12-05 21:13:07] [修正:2016-12-05 21:13:07] [このレビューのURL]

よく分からない面白さがある、沖縄海洋SF作品。

めちゃくちゃ高度そうな知識や理論が出てくるが、どこまでハッタリなのかギャグなのか、、、
それでも登場人物はいたって真面目なので、なんとなくワクワクさせられます。

作者曰く、
「キャラやシチュエーションで遊びながら、予測のつかないスピーディな展開をドッキングし、藤子F不二雄と大友克洋を合わせた様な漫画」

そう語る様に、初期衝動を感じさせつつも、セリフやキャラクター、展開や演出等、確かな漫画的技術も裏付けされている不思議な魅力を持つ作品です。

改めて他の方のレビューを読ませて頂いていると、
確かに、うん、
導入部の1巻は、名作に出会えたワクワク感に満たされましたね。

しかしラストの怒涛のカオス展開からも、完璧な作品とは決して思わないのですが、
確実に言えるのは、この作品はこの作者でしか描けない様なオリジナリティ、エネルギーに満ちているという事。
アフタヌーン好きなら通っておくべき良作です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-12-05 21:08:55] [修正:2016-12-05 21:08:55] [このレビューのURL]

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