惡の華のレビュー
7点 ジブリ好き!さん
大なり小なり思春期の内に鬱屈としたものを抱える少年というのは多いと思う。自分の心の中だけに存在する、誰にも知られたくない中二病、あるいは変態性。誰に打ち明けるでもなく自分の中だけで育んでいくからこそ、その妄想は自身の精神バランスを保つ鎮静剤となりうる。
しかし主人公の隠し通さねばならないそれは、ドS女にばれてしまうのだ。
そうして主人公は仲村さんの操り人形となる。仲村さんもまた、自身の中に底なしの鬱屈さを抱えていた。一見、彼女はそれを大々的にぶちまけているように見えるが、二人だけが見ることのできる本当の心の闇━━悪の華は、大きく、気高く、成長していくのであった……
漂流ネットカフェは合わなかったけど、これは面白いです。
(追記 第2部 1点UP)
文学(?)少女との交流、そして彼女の抱えていた孤独感に共感できて、最近の展開が面白いです。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-08-24 12:34:56] [修正:2012-11-18 22:46:21] [このレビューのURL]
7点 ITSUKIさん
表紙も凄いですがクラスのマドンナ佐伯さんの体操着を盗んで帰ってしまうという導入のインパクトが非常に強かったです。
ドSヒロイン仲村さんにそれがバレても、「自分は純情で一途な恋をしていて、盗んでしまったのは事故だ」と主張を続ける主人公。
(しかもなんと主人公はそれがきっかけで佐伯さんと恋人になってしまいます)
確かに作中で表現されている限りだと主人公の言い分も最もに思えます。
しかしこの作品で仲村さんが無理難題を「契約」と称して主人公におしつけているのは、そういう表面上は最もそうに見える部分を取っ払って心の奥底で隠し持っていた本音や黒い部分をハッキリさせる為でしょう。
特に意味もわからずボードレールの「惡の華」を好んだりしている中二真っ最中な思春期男子のごちゃごちゃした感情をど直球に暴いていく様に今後も注目です。
画力も有りますし、特に仲村さんの目つきは素晴らしいです。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-06-04 18:02:31] [修正:2011-06-04 18:02:31] [このレビューのURL]
8点 yumenneさん
この漫画家はさながら昔の小説家のように、真摯に自分の内面に向き合っていてその姿勢がとても好きです。
青年漫画ではそういう人間的な内面を浮き彫りに語ろうという作品はよく見られますが、結局著者に自らに没入し人間を見つめ直すだけの気概はなく、大げさな空回りをしているような作品が多いと感じます。
この作品では、前衛的な独創的な構えを取りながらも、人間の内面に踏み込むことについてはむしろ慎重であるのがよかったと思います。
多分小説、文学が多少好きな人とかはこういうの気にいる人多いのではないでしょうか。
自分の趣味嗜好とはずれるところもあるのですが、全般的な姿勢は気に入っています。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2018-05-13 18:38:46] [修正:2018-05-13 18:38:46] [このレビューのURL]
9点 FRさん
久しぶりに全巻読み返して涙が止まりませんでした。
窮屈な家、つまらない教室、錆びついた町、ここではないどこかに行きたい。この鬱屈した感情をどうすればいいのかが分からない。周りの人は全員クソだ、でも自分はもっとクソだ…。
思春期時代、そんな暗澹とした感情で過ごしていた人もいるのではないでしょうか。
冴えない青春を送った人にはぜひ読んでもらいたい作品です。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2016-01-28 08:58:36] [修正:2016-01-28 08:58:36] [このレビューのURL]
6点 アメさん
ヒロインの仲村さんのSっぷりが、とても小気味よい作品。言葉遣い、表情、態度などがとにかく魅力的。
反面、それに引きずられる主人公の春日は、ややステレオタイプで魅力が薄い。「中学生の自分」「ボードレールを読む自分」「世間から理解されない自分」「世の中は生きづらいと感じる自分」といういわゆる中二病設定は、もはや形式化していて逆にあざとさを感じさせてしまうのではないか。
さえないはずの主人公が、簡単にクラスのヒロイン(仲村さんではない)に好意を持たれる点もリアリティーに欠け、もてない男のルサンチマンが裏返った選民意識という「若さゆえの恥ずかしさ、ほろ苦さ」みたいなものがうまく伝わってこない気がする。
ただ、仲村さんの造形はやはり秀逸で、その魅力だけでも読み続けたい気になる。
空疎になる気がするので、今後は変に文学的にならないことを期待したい。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2013-02-06 20:28:23] [修正:2013-02-06 20:28:23] [このレビューのURL]
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