惡の華のレビュー
7点 臼井健士さん
中学生の心の闇を暴き出すような作品。
ポードレールの「悪の華」を愛読する少年・春日。
中学のクラスメートで才色兼備の佐伯を密かに想っている読書好きの少年。
そんな佐伯の体操服を盗み出してしまう。それを問題児の女子・仲村に目撃されてから、
仲村に付きまとわれる日々を送る。仲村は春日と「契約」を結び、春日を服従させようとする。
仲村の意図が読めず、戸惑う春日・・・・。
そして、春日と付き合うことになる佐伯もまた「優等生として見られる自身」に耐えられず悲鳴を上げていた。
とにかく「見たくないものをこれでもかと見せつけるような作風」です。
作風が闇に迫るようでありながら、絵柄は非常に見やすくて綺麗というギャップが凄い。
中学生男子が持つ心の暗部が、仲村という異端(起爆剤)に触発されて爆発し暴走するという話。
それは周囲の人間をも巻き込み、坂道を転げ落ちていく。
「青春」なんて決して明るくて楽しいだけではないという話。
むしろ、こっちのほうが現実的なのかもしれないが・・・・、
印象的ではあっても「あこがれ」はしないという、そういうお話。
但し、春日が佐伯さんとセックスした際に佐伯さんが妊娠して出産していたら「佐伯さんEND」あったと思います。
再会した佐伯さんが年の離れた妹を連れていたら・・・・
戸惑う春日の前で赤ちゃんを抱き自らの乳房を赤ちゃんに吸わせ始めたら・・
春日はその子が佐伯さんの産んだ子だと気が付く。
そうなるとその子の父親は・・・・・
春日が最終的に佐伯さんの元に戻ってこなければいけない理由が出来るわけです。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2012-11-17 15:38:14] [修正:2019-12-31 15:01:14] [このレビューのURL]
8点 yumenneさん
この漫画家はさながら昔の小説家のように、真摯に自分の内面に向き合っていてその姿勢がとても好きです。
青年漫画ではそういう人間的な内面を浮き彫りに語ろうという作品はよく見られますが、結局著者に自らに没入し人間を見つめ直すだけの気概はなく、大げさな空回りをしているような作品が多いと感じます。
この作品では、前衛的な独創的な構えを取りながらも、人間の内面に踏み込むことについてはむしろ慎重であるのがよかったと思います。
多分小説、文学が多少好きな人とかはこういうの気にいる人多いのではないでしょうか。
自分の趣味嗜好とはずれるところもあるのですが、全般的な姿勢は気に入っています。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2018-05-13 18:38:46] [修正:2018-05-13 18:38:46] [このレビューのURL]
5点 gundam22vさん
思春期の悶々とした漫画も読める方なんですが、これはちょっと理解しにくかったですね。怖くて乱暴な綾波レイ似の仲村さんの存在感で途中まで読めましたが、心中未遂まで行って彼女が離脱してからは読み続けるのが厳しかったです。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2016-02-25 03:12:42] [修正:2016-02-25 03:12:42] [このレビューのURL]
9点 FRさん
久しぶりに全巻読み返して涙が止まりませんでした。
窮屈な家、つまらない教室、錆びついた町、ここではないどこかに行きたい。この鬱屈した感情をどうすればいいのかが分からない。周りの人は全員クソだ、でも自分はもっとクソだ…。
思春期時代、そんな暗澹とした感情で過ごしていた人もいるのではないでしょうか。
冴えない青春を送った人にはぜひ読んでもらいたい作品です。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2016-01-28 08:58:36] [修正:2016-01-28 08:58:36] [このレビューのURL]
9点 asd5さん
一応、青春モノではあるが、その枠にとどまらない強いオリジナリティの漫画。
とにかく、ヒロイン仲村さんの魅力がすごい。終盤、主人公春日と仲村の決着は壮絶、涙。
仲村さんが何を思いあんな(?)ことをしていたのか、改めて振り返る仕掛けもグッとくる。
青春モノの一つの進化形であり、新たな傑作。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2014-05-25 22:21:59] [修正:2014-05-25 22:23:51] [このレビューのURL]
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