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7.66点(レビュー数:39人)

作者西原理恵子

巻数3巻 (完結)

連載誌ビッグコミックスピリッツ:1996年~ / 小学館

更新時刻 2012-07-13 12:39:27

あらすじ 「ぼくのすんでいるところは 山と海しかないしずかな町で―はしに行くとどんどん貧乏になる。そのいちばんはしっこが ぼくの家だ―」。
腹違いの兄、一太。突然現れた、美しくてやさしい年の離れた姉、神子(かのこ)。そして「ぼく」、二太。
クスリを売る。体を売る。金を貸す。とりたてる。この町の多くの大人たちは、そんなふうにして生きている。
神子ねえちゃんは言う。「泣いたらハラがふくれるかあ。泣いてるヒマがあったら、笑ええ!!」。ヤク中の父を亡くしたばかりの少女は、うまく泣くことさえできずに、不思議そうにこう言う。「息するたびにな、ノドの奥に小石みたいのがたまるんよ。食い物の味わからへん」。むき出しの現実を見ながら、幼い心にいくつもの決意を刻んで「ぼく」は成長していく。

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ぼくんちのレビュー

点数別:
26件~ 30件を表示/全39 件

10点 白い犬さん

[ネタバレあり]

日本は比較的格差の少ない国とはいわれてるけれどれっきとした格差は存在するわけで、「ぼくんち」に出てくる世界はその最下層にいる人物たちだろう。その町で盗んだり盗まれたりだましたりだまされたりぼこぼこにしたりぼこぼこにされたり体売ったりシャブ打ったり…そんな底辺でも、底辺だからこそ見つけられる愛があるのだ。
私も愛なんて使い方によっては陳腐でうそ臭い言葉はできる限り使いたくないが「ぼくんち」に根底にあるものは間違いなく愛なのだ。
それとこの漫画は西原理恵子が意識しているかどうかわからないがフェミニズム的な見方からすると相当核心をつく言葉があったりする。妊娠したこういちくんのお姉ちゃんにこういちくんのママが「生んでも生まなくてもママはどっちでも味方。」とか猫のように子供を生んで捨てまくるばあさんが「世界中の女が子供を産めるけど世界中の女が母親ができるかというとそうでもない」とか、町で一番のワルなのにこういちくんがシャブ用注射器を女と子供に売らない理由を「子供はいいとして女にはなぜ?」と一太がたずねると「女はやらせてくれるし僕らを生んでくれるから」という一見馬鹿っぽいがものすごい含蓄ある言葉が出てきたりする。一話2ページなのにそれをテーマに30ページは描けそうな内容が詰まっている。そして私はラブコメに出てくるやたら理想化された天使のような女が大嫌いなのだが「ぼくんち」の一太二太のお姉ちゃん、かのこは菩薩のような女だなあ、とあれほど嫌悪していた女の神格化なのにあっさり受け入れられた。
とにかく、この漫画を一言でまとめるとゴミ溜めのような町でゴミのような生活をしている人々の日常の話を笑いながら泣きながら愛をみつけることができる、そんな漫画です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-02-12 19:21:30] [修正:2007-01-11 22:59:44] [このレビューのURL]

10点 クラムボンさん

やたら評判がいいから読んでみた。
1話がたった2ページの漫画。
文句なしに10点。ただのボキャブラリー漫画ではない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-01-10 00:42:17] [修正:2007-01-10 00:42:17] [このレビューのURL]

10点 Aさん

内容は言わずもがな、とにかく絵がいいです。
作品のでっかい優しさを表現するのに、これ以上の絵は考えられない。
これをシリアスに描いてたら3点ぐらいですよ、ほんとに。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-12-23 03:11:43] [修正:2006-12-23 03:11:43] [このレビューのURL]

10点 すあまさん

なんやらここのサイトの上位にランキングされとる未読の漫画が

あるのう、と思い興味本位で買ってみました。表紙の絵をみたと

き、内容重視派のオレでも、うーん、ギリギリアリかな?とやや

心配になった。これで糞だったら金返せよなーとブツクサいいな

がら読み始めること約一時間半。

そこにはやさしさと心にしみる言葉に満ち溢れていた。貧しくて

最低な世界でも明るく精一杯生きる姿がそこにあり、不覚にも初

めて漫画で泣いてしまった。日をおいて読んでみてもまた号泣。

絵がちょっとなー、とか言ってた自分を抹殺してしまいたい。こ

こにでてくる言葉はこの先生きていく中できっと大きな位置を占

めると思う。一度手にとって見てはどうでしょうか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-12-20 17:43:55] [修正:2006-12-20 17:43:55] [このレビューのURL]

10点 赤い車の男さん

僕が初めてこの作品を読んだのは、たしか高校一年生の頃だったと思う。
その時ははっきり言ってこのマンガのなにがいいのかさっぱりで、すぐに当時好きだったマンガ(派手なだけで今読むと・・・な)に手を伸ばしていた。

当時の僕は今よりもっとマンガに対して視野が狭かったんですね。絵が良ければ名作みたいな考え方でしたから。
セリフを噛み締めて読むなんてしたことすらありませんので、『ぼくんち』を理解するなんて到底無理な話です。
ほんわかした絵柄と雰囲気だけでダメだと決め付け、肝心の内容はほったらかしでした。

それからしばらく経ち、いろいろな良いマンガに触れ視野もそこそこ広がった高校三年の卒業シーズン。
三年という月日の中で僕なりにいろいろなことがありました。
女の子におもいっきりフラれたり、尊敬できる友人ができたり、身の丈に合わない難しいことを考えてみたりもしました。
そんな中、卒業アルバムの寄せ書きで見つけたある言葉に僕はとても感動した。
それを書いた友人によるとそれはなんとあの『ぼくんち』のセリフなんだとか!

「へー、こんな良いセリフがあったのか。どれ、もう一回読んでみるか。」
そのセリフがどのシーンのセリフかを聞き忘れたため、最初から最後まで、全セリフをじっくり舐めるように読んでいった僕は
気付けばジャバジャバ泣きながら『ぼくんち』を読み終えていた。


 幸せとはなんだろう
 大事な人が悲しんでいる時になんて言ってあげれるんだろう
 いっそ死んでしまおうか


もしそんなことを考えたことがあるなら『ぼくんち』を読んだほうがいい。
あなたは絶対になにかを感じられるはずだから。

まっすぐな顔をして笑っていた人が翌日に死んでいたりする非情な世界でも、そこで暮らす人たちは笑う。
そこには哀しい優しさがあり、優しい哀しさもある。
それらを感じられたなら、このマンガの底を流れるもっと大切なものを同時に感じられるはずだ。

もし『ぼくんち』を読んでもなにも感じなかった人がいたら、それは絵柄だけに目を奪われて、もっとも重要な「言葉」を読みとれていないだけではありませんか?

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-12-11 02:55:29] [修正:2006-12-11 02:55:29] [このレビューのURL]

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