放浪息子のレビュー
9点 Dr.Strangeloveさん
話は弱いかもしれないが、キャラが良いのでそんなことは微塵も感じさせない。
二鳥君、千葉さん、高槻さん、佐々さん、有賀君などのキャラの「和」が生み出す魔法的幸福感は漫画史において特筆に値する。
いわゆる「厭な奴」ポジションの二宮君や土肥君でさえ好ましい。
また、ミニマリズムの傑作でもある。形を変えて繰り返される「学校行事」「学校へ行く・行かない」「少年少女たちのすれちがい」。しかしそれは決して深刻なものとしては描かれず、むしろ寂寥感と笑いをかき立てる。
登場人物の年齢が上がるにつれて描くのが難しくなっていく題材なため、どの時期にどう〆るか興味深い。
志村貴子は(基本的には)聡明な演出家なのできっと良い最終回にしてくれるでしょう。
<追記>10巻まで読み、点数を一点上げました。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2007-05-16 18:37:02] [修正:2010-03-31 06:35:38] [このレビューのURL]
8点 白い犬さん
皆さんすごく好評価ですが私は読んでいて結構つらかった。
それは物語内にも出てくるが中学校に入って
否が応でも制服を着せられてしまうからだ。
つまり「着たい服を着る」というのが通用しない世界。
これから二人(二鳥君と高槻さん)は社会に出て
これまた否が応でも「男用」「女用」に分けられた世界を
知っていかなきゃならないかと思うとつらい。
(志村貴子は二人の社会人期まで描くとは思いがたいですが)
願う結末はただひとつ、「男は男らしく女は女らしくがイチバン!」
的なもの以外であること。
二鳥くんと高槻さんの幸せを描いてね、志村さん。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2006-03-10 18:36:25] [修正:2006-03-10 18:36:25] [このレビューのURL]
9点 団背広さん
その漫画全体に広がる空気感、間の取り方やリアリティ。
こういった部分は女流漫画家の独壇場なんですが、中でも志村貴子センセは群を抜いてそれが上手い。
絵本のような無駄のなさと現実的なリアリティが同居しているこの独特の雰囲気はなかなか出せるものじゃない。
いやー天才だと思いますよ。こんなシンプルで深い漫画他に見たことねぇもん。
しかしあれですね…相変わらず2度読めないようなエグい部分がありますのう…そこがいいんだけどさ。
男の子になりたい女の子と、女の子になりたい男の子。この二人がどう関わっていくのか、今後が非常に楽しみであります。付き合うんだろうか…そうなったらムチャ面白いんだが…
あと、相変わらずキャラがすげー魅力的ですな。二鳥くんのお姉ちゃんはかわいすぎるしささちゃんとかユキさんとか…
ていうかユキさん結婚してください。ユキさん和服似合うよねぇ…
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2005-05-03 23:47:29] [修正:2005-05-03 23:47:29] [このレビューのURL]
9点 ごまあぶらさん
やってきました、志村貴子。
この人の空気に浸かりたくて漫画を読みます。
今回はグダグダ率は低くなりました。
でも、イジイジ率が高くなりました。
脇役が相変わらずいい味出しているし、もう一人の主人公といっても過言ではない、「男の子になりたい女の子」高槻くんも、独自の雰囲気を出してます。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2005-04-23 02:57:18] [修正:2005-04-23 02:57:18] [このレビューのURL]
5点 朔太さん
性同一性障害という病気がもたらす本人のみならず、
家族や社会との葛藤をテーマにしました。
ナイーブな問題だけれども、想定できる問題や衝突を
余すことなくタブー視しないで問題提議をします。
皆さんの評価は高いので、口はばったいのですが、
全巻を読んだ正直な感想です。
背景を理解するための1巻と結着の15巻の間の
13巻分のお話は、毎号毎巻同じ繰り返しに感じてしまいました。
プロセスの進展はほとんどありません。
周辺の同じ思いを持つ男女、姉、母、女友達の優しい
共感と彼ら同士の反発の繰り返しです。
やや退屈さを感じるほどの行きつ戻りつを繰り返すのが残念です。
また、画は可愛いのですが、人物の描き分けが苦手な
ようで、十人くらいのサブキャラはほとんど誰だか
わからないまま話しが進んでいった感じでした。
まあ、それでも問題ない展開も困ったものですが。
面白いのは、主人公を取り巻く男友達のほとんどは、
無邪気な攻撃を仕掛けてくる敵ですね。
男社会が絶対敵だと理解できます。
要するにオンナ世界になれば、救われる男も沢山
いることを男は知るべきですね。
つまるところ、本当の自分をさらけ出したい欲求と社会と
どのように折り合いをつけていくかの問題なんですよ。
繊細な心を持つ人間は、獣がいる社会では生きていけません。
繊細な世界を好む人たちに守られた駕籠の中の世界だけが、
彼らの住処という結論かと理解しました。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2019-06-09 14:55:45] [修正:2019-06-09 14:55:45] [このレビューのURL]
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