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6.54点(レビュー数:11人)

作者阿部共実

巻数5巻 (完結)

連載誌週刊少年チャンピオン:2011年~ / 秋田書店

更新時刻 2012-03-08 20:54:03

あらすじ 10代を中心に、人々の上手くいかない日常を描くオムニバス・ショート。“心がざわつく”思春期コミック!!

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空が灰色だからのレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全11 件

8点 seg691さん

作者のやり方が上手と思った作品。

日常ギャグと鬱の要素が混在しており、
それらがほぼ交互に展開される。

マズい料理を食べた後に美味しい料理を食べると
より一層おいしく感じられるように、
明るい話を読んだ後に暗い話を続けて読むと
精神的負荷も倍増する。

その後明るい話を読んでテンションが上がり・・・・・・・の繰り返しで
心が揺さぶられるという謳い文句も納得できる。

最終回はバッドエンド。
読後は暗い気持ちになる。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2014-02-15 22:31:46] [修正:2014-02-15 22:31:46] [このレビューのURL]

7点 booさん

 人々のうまくいかない日常を描く、といえば確かにそうなのだけれども。そんな言葉に収まらないなかなか強烈な作品だった。今年の新人で今の所一番話題になってるのも分かる気がする。
 説明しにくいのだけれど、藤子先生の短編に近い。笑う一歩手前で背筋がぞっとしちゃうようなブラックコメディ。こんなバランス感覚を備えてる作家は珍しいし、才能がある方なのだろう。

 12Pほどの読みきりを集めた短編集で、それぞれの作品につながりはない。後々再登場することもあるということだけれど、この1巻ではまだそういう話はなかった。
 短いページ数ながら、変人奇人オンパレードのスピーディーで先の読めない展開は読み応えがあって引き込まれる。ここまで予定調和的でない話を描ける漫画家ってなかなかいない。

 話題になる漫画は何かしらの新しさを感じさせる漫画が多い。去年だったらグラゼニやうどんの女がそうだった。そして、この漫画もけっこう新しいんじゃないか?とは思った。ただその新しさを言葉にするのが難しくて。要は何故予定調和的でないのかと感じるのかってことなのだけれど。
 それは多分人情ものに行ってないからだ、て気はしてる。この漫画で描かれるような毒やマイノリティの苦しみっていうのは人情ものと食い合わせがとっても良い。だって傷つかなければ人情は生まれないのだ。多かれ少なかれこの手の漫画にはそういう一面があったし、それをお手本のようにやってのけたのが「大阪ハムレット」だった。でもこの漫画では、毒や苦しみは人のつながりによって救済されない。毒や妄想や苦しみを吐き出し続けて吐き出し続けて吐き出し続ける。そしてこの作者はそれを描くのが上手い。これは新しいな、と思った。

 もう一つおもしろいと感じたのはギャップ。絵柄はとことんコミカルなのに中身はけっこうシリアスで。コメディのように見えて刃がどこかに混じってる。やっぱりこの人のブラックなバランス感覚はおもしろい。
 ここまで書いて、第三話目の親子の話だけはあまりこの短編集にそぐわないな、と思った。何というか、色々と真っ当だよね。まあたまにああいうのもあると、反動でぐっとくる…かもしれない。

 今週刊連載でやっているということなので、ネタ切れにならなかったらいいなと思いつつ。一読してみる価値はあると思う。バキやバチバチやイカ娘の中にこれがあるチャンピオンの懐はなかなかに深いな。あまり刷られてないようなので(どうせ重版されるだろうが)、興味のある方は早めにどうぞ。

追記
2巻を読んで、この人は漫画で「奇妙な味」をやろうとしてるんだなということに思い至った。
破れるか破れないか沸点ぎりぎりのラインをさ迷う日常、異様な物語と奇想、そして不穏な読後感。
シャーリィ・ジャクスンやマシスンの短編集を髣髴とさせる。
阿部共実がすごいのは、絵柄と表現媒体を活かした漫画でしかやれない奇妙な味を実現していることにあると思う。
絵と物語のギャップは先の読めない奇妙な味を引き立てて、居心地の悪さを際立てることになる。

週刊でこのクオリティを維持どころか、上げていってるのは本当にすごい。
奇想好きにはたまらない作品。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2012-03-12 01:47:23] [修正:2012-07-21 01:08:57] [このレビューのURL]

6点 鋼鉄くらげさん

この作品との出会いのきっかけは本当に何でもないことで、たまたま買った別のコミックに今月の新刊情報の紙が挟まっていて、その中に、この作品のことが紹介されていた、というのがそもそもの発端です。そんな経緯でこの作品に興味を持ち、いざ実際に読んでみたんですが、これまた何とも異端というか、異質というか、とりあえず、正当ではなく、正常でもない作品だということは間違いないだろうなと。そんな事を感じさせてくれる作品でした。

何て言うんですかね。

ボケてるわけでもなく、ウケを狙っているわけでもない。
好かれようとしているわけでもなく、嫌われようとしているわけでもない。
褒められようとしているわけでもなく、非難されようとしているわけでもない。

あるのは純粋な「主張」だけ。
まるで、「これが『私』だ」と作者が作品の内側から大声で叫んでいるかのようです。

そんな作者の純粋かつ真っ直ぐで、しかも無茶苦茶な「主張」が、好き嫌いの分別や善悪倫理の判断基準を飛び越えて、作品の中から溢れ出てきているかのような作品です。とはいえ、きっと一般的な価値判断基準を持った人がこの作品を読んだら、「何この作品? 気持ち悪くて訳分かんねー」で終わってしまうかもしれません。しかし、こういった作品こそが、商業主義に染まらない100パーセント純正な「作品」の姿なんじゃないかと。そんなことを思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2012-03-09 22:02:13] [修正:2012-03-09 22:02:13] [このレビューのURL]

7点 勾玉さん

一見するとポップでキュートな絵柄と作風。
実際、和んだり笑ってしまう話も多いのだけど
それとは別に狂気を感じさせる話や、
やるせない気分になる話も随所に散りばめられています。

キャラの掛け合いがメインのほのぼのとした話もいいけど
狂気的な話や鬱系の話も何だか癖になりますね、
そればっかだとゲンナリするけど、
話の配分が丁度いいので、飽きずに読み進められます。

とにかく話の振り幅が大きい漫画なので
初見時は、一話一話最後までどう転ぶのか分からない
予測の出来ないドキドキ感も味わえますよ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-09-05 19:26:45] [修正:2013-09-05 22:52:35] [このレビューのURL]

7点 s-fateさん

表紙でのんびり日常マンガ系かと思ってたら、とんでもないシロモノでした。
 総じてややエキセントリックな日常系の範疇ですむ話とキレっぷりがハンパない話と世にも奇妙な物語っぽい話が混ざっている感じです。やはりキレてる話が一番ですね。例えば美化もしくは改ざんされた記憶を、違うだろう?そうじゃないだろう?こうだったんじゃないのかい?と黒歴史をほじくり返されるような話がいくつかあります。実際登場人物自体が作品内で逃避してしまっていたりもします。
 日曜日の夜に読むと学校なり会社に行く気がなくなる毒を持った作品だと思いますが、この読んでいる時の次が読めない独特の不安感に思わず魅了されてつい読んでしまうでしょう。
 個人的には、珍しく一部実写でみてみたいとも思いました。絵がかわいい系なのでごまかされていますが、例えば高校中退後5年経過して天職と悟った魔法少女?となり近所の公園に出没し魔法ステッキで物理的にシバく、とか実写のほうが痛々しさ倍増で表現としては効果的かと思いました。
 

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-03-18 01:57:24] [修正:2013-03-18 01:57:24] [このレビューのURL]

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