「白い犬」さんのページ

総レビュー数: 116レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年12月06日

[ネタバレあり]

2007年1月11日にレビューしたものの修正版です。
そのとき鈴木先生のレビューに「金八のような説教はなくGTOみたいな度派手なこともなくただどうでもいい問題に大して真摯なまでに向き合って答えを出すのだ。」と書いたのだが2007年1月31日の読売新聞で武富氏が「GTOや金八先生とは違う方向を意識した」と
インタビューで答えていた。なんか作者のメッセージをしっかり受け取れた気がして気分がよかった。まあ、私のうぬぼれなんですけどね。
私が印象的だったのが一巻の「@教育的指導」という話である。
鈴木先生受け持ちの生徒岬が小4の女の子セックスしている事実が発覚したというものだ。その小4の女の子は岬の親友遠野の妹で遠野の母が出てきてもめるのだが岬と遠野は担任たちと母に言う「今若者の平均は付き合ってから3ヶ月でやるって雑誌に書いてある〜」「雑誌でもネットでもテレビでも初体験の平均は16歳だって言っている」また授業で避妊の方法まで教わったなど中学二年生なりに理論武装してくる。これについて鈴木先生がどう指導して結論つけるのかはぜひ読んでもらいたいのだが私が感心したのは問題が一応解決した後この件に関して鈴木先生は口外を一切しないことを約束させるのだ。中二と小4がやったという事実とこの件の結末がいったん情報化して世間に出れば事情がわからない未熟者を迷わせ悩ませる、という。先にあった「初体験の平均は16歳」なんてのがいい例だ。この平均の中には25歳で初体験したものもいれば12歳で初体験した人もいるだろうし、それはそれぞれ個人のの事情や環境大きく左右していて、それらを統計して割り出したただの数字にすぎない。それらに人は惑わされコンプレックスを抱かせられる。ひとつの事件にはさまざまな事情があって起こったわけでその事情に合わせた解決方法がいるのだ。武富氏はインタビューでさらに言う「すべてのケースに当てはまるまるで魔法のような解決方法はない」そのとおりだと思う。
先生と生徒という関係でありながらもあくまでも「個人の問題」として向き合う鈴木先生、私はすきである。この地味だけど実直な漫画がいたるところで評価されているのが嬉しく思えるのである。

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[投稿:2007-01-11 21:58:29] [修正:2007-02-02 19:54:44] [このレビューのURL]