「白い犬」さんのページ

総レビュー数: 116レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年12月06日

[ネタバレあり]

読んで持て「これは!!」と思いました。
別に感動したとかではなくまさにこの漫画は
現代の「非モテ」人口をターゲットにした
漫画だったからです。
みうらじゅんの作った言葉に「童貞をこじらせる」
というのがあるんですが、それはつまり童貞であることは
悪いことではないのにコンプレックスを感じて卑屈に
なってしまうことをあらわしています。
この漫画は非モテをこじらせた人達にとってはたまらない
のではないかと。一見ヒロインと思わせてくれたちはるちゃん
ですがとった行動はイケメンでモテる男とくっついた末妊娠して
捨てられるという非モテ男が抱く女への絶望そのもので
作者の内面は相当鬱屈した何かがあるとしか思えません。
非モテサラリーマンの現実とでもいいましょうか
対極にあるモテサラリーマンの島耕作とかサラリーマン
金太郎とかヒーロー的なものと異なり
田西はとことんみっともない。不器用でこれといって
秀でたものを持っていない。何をやってもうまくいかない。
そこが多くの非モテ層に支持を得ているのだと思います。
田西がなにかやりとげる、といったカタルシスが今後
物語の中にあるかどうかわかりませんがとりあえず
最後まで見守っていきたいと思います。
あと「宮本から君へ」と似ているという意見がネット上で
ちらほら耳にしますが、私は似てないと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-01-17 01:14:19] [修正:2007-01-17 01:14:19] [このレビューのURL]

10点 ぼくんち

[ネタバレあり]

日本は比較的格差の少ない国とはいわれてるけれどれっきとした格差は存在するわけで、「ぼくんち」に出てくる世界はその最下層にいる人物たちだろう。その町で盗んだり盗まれたりだましたりだまされたりぼこぼこにしたりぼこぼこにされたり体売ったりシャブ打ったり…そんな底辺でも、底辺だからこそ見つけられる愛があるのだ。
私も愛なんて使い方によっては陳腐でうそ臭い言葉はできる限り使いたくないが「ぼくんち」に根底にあるものは間違いなく愛なのだ。
それとこの漫画は西原理恵子が意識しているかどうかわからないがフェミニズム的な見方からすると相当核心をつく言葉があったりする。妊娠したこういちくんのお姉ちゃんにこういちくんのママが「生んでも生まなくてもママはどっちでも味方。」とか猫のように子供を生んで捨てまくるばあさんが「世界中の女が子供を産めるけど世界中の女が母親ができるかというとそうでもない」とか、町で一番のワルなのにこういちくんがシャブ用注射器を女と子供に売らない理由を「子供はいいとして女にはなぜ?」と一太がたずねると「女はやらせてくれるし僕らを生んでくれるから」という一見馬鹿っぽいがものすごい含蓄ある言葉が出てきたりする。一話2ページなのにそれをテーマに30ページは描けそうな内容が詰まっている。そして私はラブコメに出てくるやたら理想化された天使のような女が大嫌いなのだが「ぼくんち」の一太二太のお姉ちゃん、かのこは菩薩のような女だなあ、とあれほど嫌悪していた女の神格化なのにあっさり受け入れられた。
とにかく、この漫画を一言でまとめるとゴミ溜めのような町でゴミのような生活をしている人々の日常の話を笑いながら泣きながら愛をみつけることができる、そんな漫画です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-02-12 19:21:30] [修正:2007-01-11 22:59:44] [このレビューのURL]

本当にやりたい音楽渋谷オシャレ系ミュージシャンを目指しているはずなのに対極のデスメタルの帝王として君臨してしまう自分に苦悩する根岸が面白い。こういった二面性の主人公が間でゆれる漫画は今に始まったことじゃないのですが(例、昼はサラリーマンよるはヤクザの親分といった静かなるドンとか)二つの顔を使い分けるというよりは根岸の高まったテンションの延長上にクラウザーさんがいるというのが面白さのポイントだろう。あとDMCのメンバーと一対になって存在する客の勝手な自己解釈「クラウザーさんが××したのは本当だったのか!」等がおかしくておかしくて。
それと日本語は世界一美しい言語だとか一時期その手の日本語リスペクトが流行りましたがこの漫画を読むとそんな神話が見事に崩壊します。

2巻以降ちょっと話によってアタリハズレの波が出てくるようになったので面白いうちにさっとキレイに終わってほしいですね。

08.6.19追記
やはり失速してきました。
今現在映画公開も控え、ヤングアニマルの看板なのでキレイにおわれそうにないですね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-01-11 22:20:15] [修正:2007-01-11 22:20:15] [このレビューのURL]