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10点 デアデビル:ボーン・アゲイン
「希望を失った男は恐れを知らぬ男なのだと」
アメコミ界を代表するライター、フランク・ミラーが不朽の名作を立て続けに世に送り出した奇跡の1年にバットマンと同時進行で制作したデアデビルシリーズの1エピソード。
内容はというと、宿敵によってどん底にまで落とされた主人公が周囲の協力を得て再び立ち上がるという胸熱なストーリーを一級の犯罪小説ばりのリアリティを持たせて描いている(そもそも作者が犯罪小説好き)。
映画で人気のあのチームも最後に登場。
荒唐無稽なストーリーが売りのヒーローコミックにおいてリアリティの要素を持ち込んだのは作品を地味にする難点もあっただろう。
しかし、本シリーズにおいてはリアリティこそが作品の魅力となり、本作においても2つの点で大きな意味を持っている。
1つは正体がバレるというヒーローものにおける定番の展開を主人公が最大の危機を迎えるきっかけとして機能させたこと、
そして闇社会のボスというありきたりな設定の悪役を主人公を極限まで追い詰めるだけの権力を持つ悪役としてその強大さに説得力を持たせた点だ。
コスチュームを着れば無敵の主人公も表の顔は弁護士とはいえ、単なる一般人に過ぎない。
そんな彼から組織は周到な計画の元、地位も名誉も財産も根こそぎ奪い去ってしまう。
ヒーローとしてのアイデンティティから切り離された一個人は組織に対してあまりにも無力であった。
そんな主人公を救うのが仲間であり、組織よりさらに強大な「市民」である。
本作が人気を博す要素の一つが彼ら「凡人」の果たす役割の大きさだろう。
本作は決して超人的なキャラクターばかりが活躍する「神々の闘争」の類の物語ではない。
家族が脅威に晒されてなおジャーナリストとしての使命を全うするベン・ユーリック、作品が作品なら「クズ」の一言で切り捨てられそうな落ちぶれたヒロインのカレン。
いずれも傷つきながらも懸命に主人公の支えとなる。
そして最後の最後に悪役を追い詰めるのは「世界最強の援軍」である市民。
力のある者だけが世界を動かすのではない。彼らの陰に隠れた非力な者たちにも重大な存在意義がある。
そんな力強いテーマが伝わってくる人間賛歌の傑作だ。
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[投稿:2015-03-03 21:15:44] [修正:2015-03-03 21:16:50]
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