「ガクちゃん」さんのページ

[ネタバレあり]

アニメージュ連載時に読んでいた時はどうにものめり込めなかった。
当時から大の宮崎ファンだったのだけど、ストーリーぶつ切りでナウシカのキャラクターが自分にとっては魅力がなかった。

とは言え、まとめて読むと、一コマ一コマの絵画的な美しさと、映画的な叙情性に感嘆し、ラストのハイテンション、世界観の奥深さにわけが分からず魂が震わされる。

???という疑問から再読すると、1994年に長かった連載がようやく終わったこの物語の先見性に驚く。
「私達は血を吐きつつくり返しくり返しその朝をこえてとぶ鳥だ!!」
と言ったナウシカの言葉は、当時著者が真正面からこの難問ともいうべき課題を前にのたうちながら出したメッセージなのだろう。
地球温暖化や環境破戒が日常的に語られる現代にこそ光放つ珠玉の名作。

作者には既成漫画の影響皆無であり、異色な肌触りであること。とっつきにくさと難解さででかなりの人がそこから読み手として脱落するのが予想される。
何度読んでも読みずらさを感じるが、それは作品の濃度の問題であり、評価をさげるものではない。

他の漫画と完璧に一線を画しており、作品そのものが採点など拒否している。

漫画の一つの到達点にして、ある意味王道。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2009-01-23 20:57:15] [修正:2009-01-26 23:24:19]