「ガクちゃん」さんのページ

総レビュー数: 47レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年01月24日

貧乏、困窮、退屈、人生…
と繋げていくとあら不思議、現在の社会問題に通じるテーマが根底に流れている。
わびしさを表現する。日常の無為を表現する。変なユーモアがとことん虚しく、その先にわずかな希望。
しかも何度も読み返し、なお新鮮。
著者の独壇場であり、こんな味わいは他の作者で読んだことがない。どんな味わいって? 
力なく「ふふ…」と笑う味わい。
本作は、著者のこれまでの圧倒的な表現描写の肩の力が抜けている。
そこに物足りなさを感じる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-16 09:58:06] [修正:2010-03-22 22:20:17] [このレビューのURL]

7点 ブッダ

巨匠は先駆的にさまざまにチャレンジしている。
まずこの事実に驚嘆する。
この時代に宗教を題材にエンターティンメント作品を漫画で描ききる!
エンターティンメントながら、宗教の崇高な精神からその本質という部分で外していない。
差別社会をシニカルな視点から批判している社会性が痛烈である。
ブッダは作品の出来の割に語られることが少ないが、もったいない。ブッダが一人の人間として悩み抜く姿を描いている部分が素晴らしい。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-01-15 22:38:02] [修正:2010-01-15 22:38:02] [このレビューのURL]

著者は漫画界では先駆的すぎて、むしろ現代でこそ評価を高めるべき一人だと思う。
本作にしろ、秘密探偵JAにしろ、夜明けのマッキーにしろ、今読んでも全然あせないどころか、これら作品に匹敵するアクション漫画はなかなか見当たらないのではないか。
グローバル化するジャパンコミック業界だが、奇をてらわない本当のナショナリティーを感じさせる。
007シリーズのエッセンスがぷんぷんするが、漫画でなかなかこうアクション映画のスケールを巧くは取り込めない。
ただ、作者に限って言えば駄作も相当数ある事も個人的には否めず、だからこそ、良作と思われる本作をもっと多くの人に読んでもらいたいと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-04-14 22:38:54] [修正:2009-04-14 22:38:54] [このレビューのURL]

主人公は、フリーライターを宣言した直後から次から次へ災難に見舞われる。
務めていた職場は倒産、振り込まれるはずだった給料も入らず、アパートは立ち退きの目に。
私自身がそうだが、自己破産とか、そういう目にあえば、自分のアイデンティティーを振り返り、贅肉を削いだ生活とはなんだろうかと考える。何話目かの扉絵で、主人公とワープロ、エレキギターにラジカセなどが無造作に描かれたものがあったが、前述のまあいわば自分の依って立つにあたってのささやかな身の回りの小物達って結構、人生に重要なのではないかなどと思ってしまう。そういった気分をとてもよく表現していると、そして本作のテーマである、独り身の女性の自立という微妙にアダルトで、リアルでかつ生活臭がある世界観をよく表していると思う。
エッセイを土台にして描かれた作品らしい。作者はこうした地味だが気骨のある女性を描くのが上手だと感じる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-04-14 22:16:44] [修正:2009-04-14 22:16:44] [このレビューのURL]

手塚治虫が漫画の絵は記号なんですみたいな事を言っていたような気がするが、著者の絵は今や完全に記号化している。
しかしおもしろい。
映画化された本作だが、原作をきっちり読んだ人はかなりの少数派ではないか。登場する一匹一匹の猫の個性も面白いが、一番面白いのは、主人公(つまり大島弓子本人)である。彼女の限りない猫への愛情が滑稽なほどで、漫画自体の魅力になっている。
擬人化された猫を経て猫を猫として描く本作は、なにかふっきれたものを感じる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-04-09 22:53:32] [修正:2009-04-09 22:53:32] [このレビューのURL]

7点 鬼市

著者は歴史の絡んだホラー、というイメージが一般的だが、かなりとぼけた味わいあり、登場人物のりりしさがあったり、シュールな描写がありと、かなり独特な存在だと思う。
特に本作は、作者のそれぞれの味わいが絶妙に混在していて良作である。
(個人的な趣味もあるだろうが、作者のとぼけた一辺倒の作品やシュール面を強調しすぎた作品はあまり好きではない)
表題の「鬼市」の世界観は漫画よりも実写で見たい。作者のやぼったい画風(すまぬ)での味わいよりももう少しだけシリアスで緊迫した空気が生まれると思う。
しかし、この作者の絵は何年経っても垢抜けしない。まあ、これだけの大家ならそれもまた味か。
ちなみに私は著者の愛読者です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-04-02 15:24:36] [修正:2009-04-02 15:24:36] [このレビューのURL]

この作者の画力は原画を見ればわかるが、シンプルな線でいて鋭く原稿用紙から浮き上がって見える。
この本の題名からその線をいつも思い出す。
かみさんは「田辺のつる」が最高! と言っていたなあ。
そうかも。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-03-22 10:54:18] [修正:2009-03-22 10:54:18] [このレビューのURL]

いつか映画化されるのでは? という気がする。
第三の男と、太陽の帝国、あと向田邦子の味付け+現在の邦画界のキッチュな演出で。
手塚真氏にメガホンとってもらいたいな〜。
漫画が純粋にストーリーを構築していく総合芸術である事を再認識させられる。大人の読者が増えてきた昨今、この流れが主流となってもいいと思いますが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-03-22 00:56:15] [修正:2009-03-22 00:56:15] [このレビューのURL]

読み始めて、こりゃしんどい展開になるわと思った。
なぜなら、主人公の棋士としての力量が最初から図抜けており、壁をかんじさせるものがなかったからだ。
案の定、突如のスランプなんかで無理やりの壁越えみたいなところはあるけど、いやいやどうしてどうして。
絵の質も好みにより食わず嫌いの人がかなりいるのではないかと思うが一読の価値あり。。
独特のテンポ、小気味よさ。ひきずりこまれる。
こんな世界があったのか、という題材は新鮮で力を持つ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-03-20 20:27:32] [修正:2009-03-20 20:27:32] [このレビューのURL]

夢枕獏氏の原作は、自分の中でベスト5に入る名作。
よくぞ、この世界を漫画化した。
本作はかなり忠実に漫画化されている…のだが何か読みにくい。何か馴染めない。
絵の好みか、キャラの魅力か。
それでも山岳シーンは圧巻の迫力。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-03-20 20:17:35] [修正:2009-03-20 20:17:35] [このレビューのURL]

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