「ガクちゃん」さんのページ

主人公は、フリーライターを宣言した直後から次から次へ災難に見舞われる。
務めていた職場は倒産、振り込まれるはずだった給料も入らず、アパートは立ち退きの目に。
私自身がそうだが、自己破産とか、そういう目にあえば、自分のアイデンティティーを振り返り、贅肉を削いだ生活とはなんだろうかと考える。何話目かの扉絵で、主人公とワープロ、エレキギターにラジカセなどが無造作に描かれたものがあったが、前述のまあいわば自分の依って立つにあたってのささやかな身の回りの小物達って結構、人生に重要なのではないかなどと思ってしまう。そういった気分をとてもよく表現していると、そして本作のテーマである、独り身の女性の自立という微妙にアダルトで、リアルでかつ生活臭がある世界観をよく表していると思う。
エッセイを土台にして描かれた作品らしい。作者はこうした地味だが気骨のある女性を描くのが上手だと感じる。

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[投稿:2009-04-14 22:16:44] [修正:2009-04-14 22:16:44]