「団背広」さんのページ

最近じゃ珍しく思えるほど、とても丁寧に作り込まれた漫画だと思う。
絵自体は古臭いとも言えるが、とても堅実な書き方だ。白い背景が少ないし、無駄と妥協を感じない。
話の作り自体も別に珍しいものではない。努力型の主人公に天才型のライバル。過去を背負った師匠とその因縁の相手。
こう書けばどこにでもある普通の話だが、しかしこの普通の話を実に丁寧に描いていると思う。
脇役もちゃんとキャラ立ってるし、世界観も深く掘り下げている。心情描写もちょうど良い。
少々エログロが強めなものの、堅実な絵のおかげでそこが目立ちすぎず、物語に悪影響を与えていない。

要するに絵にも話にも、無駄と妥協が無いし、バランスが取れているのだ。
読んだ後、これしっかり作ってあるなぁ、久しぶりに「漫画」読んだなぁって気持ちにさせてくれるのだ。
ちゃんと漫画読んだ気分になった作品なんて、最近読んだ中でどれだけあったことか…
パッと見は割と地味なんだけど、中身はすごく輝いている作品だと思う。

青年誌で連載してるけどこの漫画の基本精神は少年漫画じゃないかな。
主人公セスタスの成長が大きなテーマだし、ライバルとの対比ってのも少年漫画っぽい。
商業主義に走り形骸化する前の少年漫画の魂が、ここに残っている気がするよ。昔の少年漫画は大人が読んでも楽しめたからなぁ。

最初は女々しく弱々しかったセスタスが段々と男らしいナイスな面構えになってきて、ますます今後が楽しみだ。
きっとこの話はラストが最高のハイライトになるはず。それがもししっかりできていたなら、+2点してもいいかな。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2005-06-21 17:50:46] [修正:2005-06-21 17:50:46]