「団背広」さんのページ

総レビュー数: 137レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年05月03日

[ネタバレあり]

狂える作家が一人の女に導かれ、気違いじみた芸術の深淵に足を踏み入れる物語。

白昼夢に取り憑かれた男を主人公にしたことが設定として上手く活かされていて面白い。
どこからが夢でどこからが現実なのかわからず、ひとつのエピソードが終わるまでそれがどういう話なのか予測しようがないのがいいね。船の話なんかはそれでいて上手くオチがまとまってるし、このへんに手塚治虫のソツのなさを感じる。

ただ、この現実と幻想が入り混じった感覚が最後まで一貫していれば良かったんだが、2巻に入って黒魔術の話がメインになるとそれまで「わけがわからないから良かった部分」に突然説明が入ってしまって、途端に面白味が薄まってしまう。
読者ウケが悪かったからテコ入れしたらしいんだけど、俺は前半部の狂った感じが好きだったのに。最後まで徹底してそれを貫いてほしかったなあと思って少し残念。


この漫画に出てくるバルボラという女、これはまるで芸術そのものを具現化したような女だ。気まぐれで、本当にいるのかどうかわからないってとこなんて特にそう。
そして偏屈で気狂いじみた作家というと、どうしても色々と逸話の多い手塚本人を連想してしまう。
多分この作品は手塚治虫の半自伝みたいなもんじゃないかな。「芸術」という名前の女と付き合った日記のような。
そういった意味でも印象深く、興味深いので、個人的に手塚作品の中でもかなり好きな一作だったりする。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-11-03 12:37:19] [修正:2005-11-03 12:37:19] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

「谷仮面」があまりに素晴らしかったので、その勢いでこの漫画も全巻読破。まず柴田ヨクサルが割と格闘漫画をしっかり描けていることにびっくりしたりして。
いや、もうなんか典型的な格闘「マンガ」なんだけど、現実と虚構のこのギリギリ中間あたりに立ってる感じがしていいのよ。みんな変な技しか使わないけど妙に生活感あるし。
月雄なんて預金が5000円しかないんだぞ!ブルーカラーは大変だよ!

とにかく出てくるキャラがもうみんな個性的で、イキイキしていていいよなあ。マキの友達たちとかさ。
ただなんか脇役の個性が強すぎて、主人公がかなり目立たなくなってしまってるけど…
まあ、坂本ジュリエッタとか、一部の脇役が異常すぎるから仕方ないような気もするが。あんまり主人公だけが活躍する漫画でもないしなー。
つーか坂本ジュリエッタは沢田研二歌わなくなったなぁ、あれが好きだったのに…

そんなわけで面白いキャラクターが山ほどいるこの漫画だが、中でも俺が好きなのが崎山香織とルチャマスター。
崎山香織が過去の悲惨なトラウマを「化剄双按」で吹っ飛ばしたあのシーンには痺れたぜ!何をされてもめげない女っつーのはかっこいいな。
あとルチャマスターは馬鹿だから好き。「俺はガンダムの最終回のガンダムくらい強いぞ」ってセリフにかなりウケた。実際はビグザム程度の強さだったけど…

そして現在、クライマックスに向けて加速しつつあるこの漫画。
ラストだと思われる渺茫戦もしっかり脇役を活かす展開になっていたので一安心だ。完結したらまた少しレビューを書き足しましょうかね。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2005-09-24 23:36:22] [修正:2005-09-24 23:36:22] [このレビューのURL]

動きの描写が上手い。ジャブとストレートをちゃんと描き分けているし、一歩の渾身の一打が決まったときには凄い視覚的な爽快感がある。
人物の動きをわかりやすく、かつ派手に描く。これを漫画で実践していることだけでも評価に値すると思います。

話自体は定番というか、王道だなぁとも思いますが、だからこそ良いのかもしれませんな。藤田和日朗先生と同じくらい一生懸命に王道を描く漫画家さんですよ、この人。

ところで鷹村は髪がバラけてたほうがかっこよくないか?
あの場面でえー髪型直すなよーとか思ってしまった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-07-23 22:00:24] [修正:2005-07-23 22:00:24] [このレビューのURL]

最近じゃ珍しく思えるほど、とても丁寧に作り込まれた漫画だと思う。
絵自体は古臭いとも言えるが、とても堅実な書き方だ。白い背景が少ないし、無駄と妥協を感じない。
話の作り自体も別に珍しいものではない。努力型の主人公に天才型のライバル。過去を背負った師匠とその因縁の相手。
こう書けばどこにでもある普通の話だが、しかしこの普通の話を実に丁寧に描いていると思う。
脇役もちゃんとキャラ立ってるし、世界観も深く掘り下げている。心情描写もちょうど良い。
少々エログロが強めなものの、堅実な絵のおかげでそこが目立ちすぎず、物語に悪影響を与えていない。

要するに絵にも話にも、無駄と妥協が無いし、バランスが取れているのだ。
読んだ後、これしっかり作ってあるなぁ、久しぶりに「漫画」読んだなぁって気持ちにさせてくれるのだ。
ちゃんと漫画読んだ気分になった作品なんて、最近読んだ中でどれだけあったことか…
パッと見は割と地味なんだけど、中身はすごく輝いている作品だと思う。

青年誌で連載してるけどこの漫画の基本精神は少年漫画じゃないかな。
主人公セスタスの成長が大きなテーマだし、ライバルとの対比ってのも少年漫画っぽい。
商業主義に走り形骸化する前の少年漫画の魂が、ここに残っている気がするよ。昔の少年漫画は大人が読んでも楽しめたからなぁ。

最初は女々しく弱々しかったセスタスが段々と男らしいナイスな面構えになってきて、ますます今後が楽しみだ。
きっとこの話はラストが最高のハイライトになるはず。それがもししっかりできていたなら、+2点してもいいかな。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2005-06-21 17:50:46] [修正:2005-06-21 17:50:46] [このレビューのURL]

昔、漫画が読みたくても買う金がなかったガキのころに、姉の部屋を勝手にあさくって偶然見つけたこの漫画が、俺が初めて読んだ少女漫画でした。
いやぁ、初めて読んだときはメチャクチャ笑いましたわ。女探偵の助手が大暴れするときに「手負いのバルタン星人」とか言われてる表現がおかしかったし、それまで幼年向け漫画(ボンボンとかね)しか読んでなかった俺にとって、金勘定が何より大事な探偵とか、演歌歌うのが趣味のアイドルとかって設定はインパクトが強くて面白すぎた。これ読んだときに腹かかえて笑うって体験を初めてしましたよ。
俺にとって、ギャグとは違うコメディそれ自体の面白さを教えてくれたのがこの漫画なんで、とても思い入れのある作品です。

今、改めて読み直して見ても面白いなぁと思います。
なんていうか現実にある世の中の世知辛さみたいなものを存分に出して、それをネタにして笑わせつつ、ヒューマンドラマもちゃんと描いてホロリとさせる。この泣きと笑いのさじ加減がとても上手いんですよ。
この手の漫画じゃそういうのは定石の手だと思うけど、この人はそれがかなり上手いほうなんじゃないのかな。
遠藤淑子さんの書く漫画はどれも良質のコメディだと思いますしね。

ちなみに。
少女漫画って面白いなぁ!と思い姉の部屋をさらにあさり始めた俺は、その後いわゆる「やおい」系漫画を見つけて読んでしまい、トラウマになったというオチがついた…

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-05-28 12:08:34] [修正:2005-05-28 12:08:34] [このレビューのURL]

熱くて泣けるギャグ漫画、というものがまさかこの世に存在していたとは!

この漫画はムチャすぎる展開とかも最高だし、それもウリの一つなのだが、キモはやはり島本流名言の嵐だろう。
理論なんぞ勢いで吹き飛ばす、燃えさかるこの名言の数々の素晴らしいこと!読んでるだけで熱いパルスで胸ズキュウウウン(意味不明)って感じだぜ!!
本来なら引かれるくらいの熱さを持ったそれを、うまいことギャグのオブラートに包んでくれているのですんなりと読めるのも好印象。島本先生さすがです!

島本作品の中でも傑作と名高いこの作品は万人にオススメする。
男なら読め!いや、男じゃなくても読んでくれ!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-05-24 21:47:19] [修正:2005-05-24 21:47:19] [このレビューのURL]

うわー面白い!「敷居の住人」とかと比べてコメディ色が強めなのね。主人公のキャラのせいなのかもしれんけど。
なんでこんなに生活感があるんだろ、なんかリアルだし。いいなぁ。

しかし藤さん…
気分屋で天然気味、いつも余計なこと言って人の神経を逆なでするってキャラクターがなんか…自分とカブる…
一言多くて色々モメたりとか、俺も多いです、はい…

それにしても、絵が本当にかわいらしくなりましたね。子供の絵が特にかわいい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-05-24 21:38:43] [修正:2005-05-24 21:38:43] [このレビューのURL]

8点 BECK

ハロルド作石独自のリアリズムで描かれる上質なバンド漫画。
テンポも良いし、現実のドラマとして見て変に浮いた部分もないので読みやすい。もちろん漫画らしい部分もあるが、大抵はギャグのネタになってるだけなので十分許容範囲。良い意味で普通に楽しめる作品。

バンドと少しでも接点があり(ライブに行ってるだけでも可)、音楽好きなら思い入れがかなり変わってくると思うので、そういう人は是非読むことをオススメする。
「全員墓場で会おう」!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-05-07 09:43:35] [修正:2005-05-07 09:43:35] [このレビューのURL]

8点 大王

他人の夢を覗き見しているような感覚すらするヤバい漫画群。
中でも「象の散歩」のとあるセリフは、時が止まったかと思うほど強烈な衝撃を受けた。一体なんなんだこれは!?
その衝撃がどーしても忘れられんので、7+1で8点。

これぞまさしくセンス・オブ・ワンダーなコミック。藤子不二雄のスピリットを受け継ぐのはこの黒田硫黄かもしれん。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-05-07 09:22:07] [修正:2005-05-07 09:22:07] [このレビューのURL]

普通の漫画とはかなりノリが違うからか、空気感が異質。そしてその中に凄まじい何かを感じる。
俺はこの作品の中のどのキャラクターにも感情移入できなかったが、それでも読めたし読まざるを得ないものを感じた。飽きっぽい俺にとって、こんなことは本当に珍しい。

この漫画は間違いなく日本橋ヨヲコの最高傑作だろう。本人も「すべての回を最終回のつもりで書き上げた」と言っていたが、それも納得。ここまで気合のこもった漫画はそう多くない。
はっきり言って人によっては引いちゃいそうなくらいの熱さと真剣味がある漫画だが、それが読者に有無を言わせぬ凄味となって伝わってくるのが素晴らしい。
俺はこの作品を「楽しむ」ことはできなかったが、「凄い」とは思った。間違いなくこれは傑作と呼ばれていい漫画だと思う。あいまいなレビューで申し訳ないが、これが本音だ。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2005-05-07 09:06:43] [修正:2005-05-07 09:06:43] [このレビューのURL]

<<前の10件
12