「あおはな」さんのページ

作風フルモデルチェンジを果たした古谷先生の2作品目。

完成度はヒミズのほうが高いのかもしれませんが、この作品の意味合いは他にあると思います。

「なるたる」「ぼくらの」のレビューでも触れたのですが、この作品などで述べられている主義哲学を暗に主張している作家さんは事のほか多く、それを「志向・狂気・粋・美学」の形に置き換えて通常表現されていて一見するだけでは気がつかない(というより気がつかなくても楽しめる)ようにしているのですが、鬼頭先生と古谷先生はそれを主張しただけでなく「自分はその価値観についてこちら側のスタンスをとる」と字面で明言してしまっています。

古谷先生の作品の中ではまさにこのシガテラのラストシーンがそれであります。「ぼくはつまらない奴になった」・・・このフレーズを含むこのラストだけですべてをかっさらっていきました。そういう意味での点数の高さです。

正直途中何度かリタイヤしそうになりましたが、この作品ほどリタイヤしないで良かったと思う作品もないです。

「どうしちゃったの古谷ぁぁぁ」とその日私は泣きました。

これ以降の作品は非常にパターン化しているのでよほどの古谷マニアで無い限りはオススメできないのですが、年代順でかぞえてこのシガテラまでは絶対に抑えてほしいと思います。

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[投稿:2010-11-05 17:39:35] [修正:2011-02-02 19:26:29]