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7.1点(レビュー数:89人)

作者浦沢直樹

巻数18巻 (完結)

連載誌ビッグコミックオリジナル:1994年~ / 小学館

更新時刻 2012-10-15 04:09:50

あらすじ 主人公は将来を約束された天才的な脳外科医テンマ、彼のもとに頭に銃弾をうけた重症の少年・ヨハンが運ばれてくる。その少年を助けたことによりテンマの運命は大きく変わることになる。

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MONSTERのレビュー

点数別:
11件~ 15件を表示/全89 件

7点 右から左へ。さん


MONSTERという題名を初めて見た時は、怪物が出てきてそれを撃破していく戦闘漫画かと思った。

読み進めていくうちに、異形の怪物や超能力を持った敵は出てこないが、この漫画は主人公が目に見えない怪物と戦っている漫画だということに気がついた。

各話がそれぞれまとまりのある内容となっており、その都度出てくる登場人物と主人公のやり取りで完結するが、そのピースを集めるとモザイク画のように一枚の絵画として見事に浮き上がってくる。

そのような浦沢直樹の得意とする手法によって、主人公の医者としての葛藤や、周りの登場人物との日常、冷戦という社会情勢のもたらした闇までが繊細に、かつ緻密に描かれている。

しかし、話が壮大なわりに、ラストが淡白になりすぎている印象を受けた。冷戦という状況が生み出した闇の部分を、急がずじっくりと、最後まで描いてほしかった。

ヨハンという魅力的な敵キャラクターのもつ雰囲気を途中まで見事に描けていたので残念である。ラストが性急になったせいか、多少難解な要素が残ったことも惜しいことであった。(作者としては同種の漫画に起こりがちなマンネリ化を懸念したのであろう。)

絵は丁寧であるが、好き嫌いは分かれそうである。慣れれば気にならない程度ではあるが。

難解な要素は残ったが、緻密な登場人物描写や、浦沢直樹の得意な数話完結型のモザイク画的な構成は見事であった。以上より、良質で夢中になってしまう漫画という、7点の評価とした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-10 23:02:04] [修正:2008-10-10 23:02:04] [このレビューのURL]

10点 佐々木裕健さん

この作品に限らず浦沢作品は、バランス感覚が絶妙である。

意表をついても、奇を衒うことはしない。個性的であっても、メジャーなところは外さない。

手塚治虫がその無尽蔵のエネルギーを全力で放出し続けたのに対し、浦沢直樹は限られたエネルギーを計算、コントロールし、戦略を考え、有効な集中することによって、天才と渡り合おうとしているように感じる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-12 21:08:50] [修正:2007-06-12 21:08:50] [このレビューのURL]

2点 riozousanさん

この作者の最近の作品の特徴ですが、いろんな話をはさみすぎて、本筋わからなくなるパターン・・・
いろんな謎もそんなに解決しないまま・・・
キャンディーの毒殺方法?どうやったの??
最後も微妙・・・
謎のまま、みたいな。
すっきりしない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-05-20 22:17:47] [修正:2007-05-20 22:17:47] [このレビューのURL]

7点 ほげさん

[ネタバレあり]

全編に渡ったドイツやチェコなど欧州を舞台にしたミステリー漫画。冷戦時代の東ドイツで行われた人間の人格改造によってうまれた殺人鬼こと怪物を巡る物語。

一人の出世意欲にまい進する日本人の脳外科医。その欲に満ちた人生に疑問を抱いて上司の意見を遮って助けた命が,自分の人生を大きく狂わせるという矛盾に満ちた悲劇。

序盤は極めて面白い。その助けた命はドイツ青年だが,謎めいていて彼の存在を一般の人間は誰も知らない。しかし,確実に彼は存在し,まぎれもなく人を殺していく。闇,ということばが漫画の中に何度か出てくるが,この青年自体が闇であることは,読者なら誰しも気づくのではないか?

感情表現を描くのがうまくない浦沢は,青年の不気味さを,顔で描くことはできなかった。しかしながら,青年の行動が,不気味なのであり,まさしくモンスターなのであることを教えてくれる。残酷描写は極めて控えめながら,漫画で起こる事実が読者にいいようのない恐怖感を与えるだろう。エンターテインメントとして一流であるゆえんだ。

だがいくつかアラも見受けられる。デザインのセンスに欠ける浦沢は,人間の顔に個性を植えつけることができない。これが小説だったらと思うことも少なくない。物語は悪くないのだから。だが,デザインのセンスに欠けているために,壮大な物語にケチをつける格好になっている。どれも皆同じ顔に見えてしまう。

特に,デザインのセンスの欠如が顕著に現れてくるのが,ニナ(アンナ)であろう。金髪のドイツ娘という設定だが,なにやらそこらの日本の若い娘に見える。あれをドイツ人に見立てられてもちょっと困るのだが・・・?たいして知的にも見えないし。設定がうわついて見えてしまうのだ。

物語は,悪くないといったが,徐々にしぼみはじめてしまっている。テンマが,何故モンスターことヨハンの命を狙おうとするのか?たしかにヨハンは冷酷無比だろうが,自分の全人生を賭けてまで何故?そこまでの動機がまるで見えてこない。自分の医者ないし医学者としての人生が,絶たれた訳でもなかろうに,少々理不尽な設定ではなかったか。家族が殺されるとか,なんらかのプライベートな理由がないと,感情移入するには至らない。

そういえば,テンマの家族はまるで物語に登場しないのだが,それも一体どういう理由でそうしたのだろう。

サブキャラクターのエピソードをつむいで物語の構成力を豊かにしていく手腕は,さすがといえる。その緻密かつ物語に不可欠なエピソードは,『MONSTER』という漫画を,複数の人間の感情が入り乱れる漫画に仕立ててくれている。

ドイツで指名手配となったテンマが,確かに無実の罪と判明したとはいえ,最終的には大学から招待されたり,医師団に参加したりと,なんだか適当になってしまった展開も非常に疑問である。

文化庁メディア芸術祭だとか小学館漫画賞だとか手塚治虫賞だとか主だった漫画賞を受賞した本作だが,まさにしかり,というような内容ではないと感じられた。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-08-08 23:46:47] [修正:2007-01-19 22:58:52] [このレビューのURL]

3点 bardさん

世間の評価がなかったら1巻で読むのを止めていたと思う。全巻読んだけどやっぱり評価は変わらなかった。確かに上手な漫画かもしれないけど、自分はこの漫画を面白いと思うことができなかった。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-07-28 23:01:59] [修正:2006-07-28 23:01:59] [このレビューのURL]

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