あらすじ
「ぼくのすんでいるところは 山と海しかないしずかな町で―はしに行くとどんどん貧乏になる。そのいちばんはしっこが ぼくの家だ―」。
腹違いの兄、一太。突然現れた、美しくてやさしい年の離れた姉、神子(かのこ)。そして「ぼく」、二太。
クスリを売る。体を売る。金を貸す。とりたてる。この町の多くの大人たちは、そんなふうにして生きている。
神子ねえちゃんは言う。「泣いたらハラがふくれるかあ。泣いてるヒマがあったら、笑ええ!!」。ヤク中の父を亡くしたばかりの少女は、うまく泣くことさえできずに、不思議そうにこう言う。「息するたびにな、ノドの奥に小石みたいのがたまるんよ。食い物の味わからへん」。むき出しの現実を見ながら、幼い心にいくつもの決意を刻んで「ぼく」は成長していく。
ぼくんちのレビュー
8点 makoさん
読み手が主人公達の環境を蔑んでるからこその高評価じゃないのか、や 所詮ある程度裕福な環境にいる人間を泣かせるために………といった否定も聞いたけど、実際はそんな生易しい簡単な見方じゃ分からない本だと感じた。
この本の世界観である貧乏な街で犯罪を重ねながら生きていく人々を表面的に眺めてストーリーを解釈しようとする人には「くどくどとしたメッセージばかりの陳腐な泣かせ系」に思えてならないのかもしれないけど、それはあくまでモチーフであり本質ではない。所謂「感動」をさせようとして描いているようには感じなかった。そもそも作者が泣かせ系の感動を読者に与えたいなら、ああいったタッチとページ数では描かなかった気がする。
もちろん全ての人と話をできるわけはないので 否定的な人の言うように、ただ表面的にこういった環境にいる人の暮らしをみてそれでも頑張ってるんだ凄いねと「感動」する人はいるかもしれないけれど、私自身はそういった部分に心を動かされはしなかった。
私が読んで感じたのは、(それこそどんな時代、どんな環境にいても誰にでもつきまとう)生きていく、ということをもの凄く真剣に考えている人の物語だな、ということ。
そんなの当たり前じゃん、という人に限って現実にはできていなかったりするものだし、こういったものはある意味 大衆的になり難いモノなので評価が二分するのも分かるけど、少なくとも絵柄やモチーフに惑わされて表面的に見るのはもったいないな、と思う。
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[投稿:2009-05-08 23:23:36] [修正:2009-05-08 23:28:17] [このレビューのURL]
5点 fasterさん
確かに考えさせられるものはある。
でも、言うほどの斬新さは無い。
…とはいえこういう最下層で生きるのはつらいだろうし、その中で笑顔で生きることは並大抵のことじゃないと思う。
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[投稿:2009-02-03 22:23:25] [修正:2009-02-03 22:23:25] [このレビューのURL]
8点 れのーんさん
なんだろう、単純な絵のハズなんだけれど最後まで読むと切ない感じの絵にみえてきます。
とくに笑っている絵がどうにも
泣くことはなかったけどたしかに何か心にびっと来るものがありました。
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[投稿:2009-01-05 21:28:17] [修正:2009-01-05 21:30:18] [このレビューのURL]
8点 萌えっ子さん
主人公達が見せる
「ああ、これはこういうもんなんだな…」
と半ば諦め気味に 無理矢理自分に言い聞かせるような悟り
こうでも悟らなきゃやってられない場面て
貧困、中流、上流の区別なく、いかなる環境でも腐るほどある。
全く自分とはおかれてる世界が違うのに、なぜか共感してしまう
訳がこの辺にあると思う
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[投稿:2008-08-10 02:33:59] [修正:2008-08-10 03:22:51] [このレビューのURL]
8点 ちょうあんさん
話題になっているようなので読んでみました
登場人物達のやってる事は犯罪で
被害者の側を考えると、利己的な登場人物達に
対して批判的に感じたりする
そうせざるをえない環境の人達
いや、環境が人を作るともいえる (だからこそのラストの別れ)
作者の意図が、幸せの基準は貧しさとか豊かさではない…的
な事にとどまればチープな作品となるが、そこにとどまらず
利己的である事自体、人間として自然 本来的な欲求である事
までツッコんでいるので高評価としました
また体裁を根こそぎ削ぎ落とされた登場人物から
発せられる言動は、おそらくそうであろうと
納得のいくものばかりだった
「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」
親鸞の悪人正機説とダブって読める
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[投稿:2008-08-08 07:33:55] [修正:2008-08-08 07:33:55] [このレビューのURL]
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