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6.93点(レビュー数:45人)

作者浅野いにお

巻数2巻 (完結)

連載誌週刊ヤングサンデー:2005年~ / 小学館

更新時刻 2009-11-25 06:31:27

あらすじ 井上芽衣子。23歳。
社会人2年目になって、会社を辞めました。
種田成男。スポーツ新聞でカットを描く仕事をしています。
これは、社会に出てちょうど一年がたった、
芽衣子さんと種田の、小さな恋の物語なんです。

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ソラニンのレビュー

点数別:
11件~ 15件を表示/全45 件

7点 森エンテスさん

作者特有のスタイリッシュ感満載なバンド青春物語。

この人の作品は、絵柄眺めるだけでいい気がしますね。

主人公達と同年代の時に読んだら、また評価も違ったかもしれませんが、終盤の盛り上がりは好きです。

前半6点、後半8点で間をとって7点です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-24 18:30:56] [修正:2011-07-24 18:30:56] [このレビューのURL]

3点 columbo87さん

「ごっこ」漫画。
大人ごっこ、青春ごっこ、悲劇ごっこ。
怠惰さで雰囲気を演出しているのでしょうが、展開や内容はベタもベタで、かつ葛藤や内面描写も一面的かつ自己完結。それでいて傍目には積極的に主張していないように見せかけているところもいやらしいと思いました。
夢に破れたり迷ってる年頃の学生くらいには受けるんだろうなぁという作り方は巧く、ここまで見え透いて明確にターゲッティングができているのはすごいと思いました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-06-04 01:16:06] [修正:2011-06-04 01:17:42] [このレビューのURL]

8点 左手さん

 「夢に憧れ諦めた人たちへ」

 読んでほしい対象は、これから夢を追おうとする若者、夢を叶えた人、夢を諦めた大人、夢を叶えたが訳あってその夢を捨ててしまった大人。要するにこれは夢に憧れる、また憧れたすべての人に当てはまります。

 しかし、この中に登場するキャラたちのほとんどは私たちの現実世界にいるような夢を諦め、普通に仕事をし、生活を営む人ばかりです。特に1巻のなんともない日常がしっかりとその風景をまざまざと見せ付けています。
 その中で唯一夢を叶えるために頑張っているのが種田であり、結果は悲惨なことになりました。
 現実とはなかなか上手くいくものではありません。
 夢を見ることの憧れは花屋のアルバイトの井上、夢ではなかったのに叶ってしまったのが鮎川、夢を叶えたが現実を直視しプロデュース業をする冴木、それらのキャラが夢の象徴として配置されているのが、浅野いにおが仕掛けた表現といえます。

 物語としては1巻は極普通の日常、2巻は芽衣子が種田の夢の向こう側を探求する話。
 2巻だけでスッキリした内容で、言いたいこともいろいろな角度から言えているので、何度も読める作品に仕上がってます。

 サブカル厨(ヴィレッジバンガードによくいる奴等)大絶賛の浅野いにおが若者の鬱憤を吐き出した漫画、と高をくくっていた私ですが、ソラニンが映画化することになり、もう一度よく読んでみると、なんて完成度の高い漫画なんだ、と驚きました。
 その漫画を読まずにイメージだけでどうこう言うのはダメだね、と思わされました。オススメです!

   全2巻所持

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-24 11:05:32] [修正:2011-04-24 11:05:32] [このレビューのURL]

7点 あおはなさん

フィクションなのに妙にリアル。
この点同じノリでも「同・級・生」や「あすなろ白書」とは全く異なる。

2巻完結でなければ正直そういうふうには感じないだろうけれど。

実際問題、こういう経験してきている人にはコレが意外とリアルだと分かってしまうのがつらいところなんですよねえ。
種田があのようになるところを除いては、意外とほんとありがちというか。

でも作者は「違う側の人間」というアンチテーゼというか矛盾というか・・・そこがすごいんですけどね。

こういう猶予期間に似たゆるい期間を体験したことがある人には、実体験に照らし合わせる形で、体験していない人にはそれなりの形で、そして登場人物の年齢にまだ達していない皆様には・・・うーん。この場合本作をフィクションとして?

ああ、そういう意味で全ての世代に読めるのか。
そして体験の数や密度などに応じて感じ方も全く異なる万華鏡のような作品。

結構すごいのかも。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-03 19:08:13] [修正:2011-02-03 19:11:23] [このレビューのURL]

8点 hopettさん

不条理な現実と、夢。
その選択に頭を悩まし続けるモラトリアム。
現代を生きる人ならば誰もが経験する悩み。
多くの人は夢破れ、もしくは夢を知らず、社会に埋もれていく。

前半は種田と芽衣子の二人の生活を中心に、
後半は種田を失った芽衣子のその後を描く。


芽衣子には夢が無い。
夢は無いが、愛する人はいる。
種田が歌う姿を見ているのが芽衣子の幸せだった。
冒頭で芽衣子は仕事を辞める。
大きくて広い空を取り戻したくて、現実を逃げ出した。

その一方で種田は芽衣子より現実的である。
半ば他人事のように、仕事を辞めてもさまよい続ける芽衣子とは対照的に、
種田は二人の今後を憂慮することになる。
彼にとっても歌は平凡な世の中を忘れさせてくれる大切なものだったが、
種田はバンドを捨て、現実を選び、芽衣子がそばに居る喜びを取った。
1巻の最後で見せた種田の涙は、現実を取ったことへの悔しみだろう。

2巻で芽衣子はギターを始める。
ちょうど、頬に傷を負った後。
――苦しんで苦しんで現実を選んだ種田と、
一見何も努力することなく、成功へと歩むアイドルの姿。
その対比に悔しさを、憤りを覚えてテレビを投げ壊した後のことだ。
最初は良く分からぬまま手に取ったギター。
現実から離れて何か夢中になれることを、
どこかで欲していた芽衣子にはちょうど良かったのかもしれない。
芽衣子はギターに夢中になり、物語はここから最後のライブへと進んでゆく。

ライブは芽衣子にとってどういう意味を持ったのだろう。
作者は芽衣子が過去との決別を選んだ姿を強調している。
過去とは、種田との二人の過去、現実を生きることを拒んだ過去、
そういう諸々の、今までとの芽衣子との決別とも言えるかもしれない。
ライブ直前に剥がした絆創膏と、直った傷跡。もう過去は振り返らない。
だが、ライブの最中に芽衣子は気づいてしまう。
――この曲が終われば、またいつもの生活が待っている。
結局はこのバンドも現実からの忌避でしかないのだ、と。

結局、種田と芽衣子は二人とも現実と夢の中から、現実に生きる道を選んだ。
しかし、二人の姿勢は明確に異なっている。
種田は消極的な、今ある幸せを守るための現実の選択であるのに対し、
芽衣子のものは積極的な、日常の中にある幸せを得るための現実の選択である。
もちろん、所詮現実、――残されて選んだモノであることには変わりはない。
しかし、いくらか希望が見えるのである。
悪い種が芽を出したらさよなら、ソラニン。

人生は真っ青な青空でなくても、ちょっと晴れならいいかもしれない。
そんなことを考えさせてくれた作品だった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-01-28 15:59:27] [修正:2011-01-28 15:59:27] [このレビューのURL]

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