ルサンチマンのレビュー
5点 朔太さん
表題の意味を調べてみると、”弱者が敵わない強者に対して内面に抱く、
「憤り・怨恨・憎悪・非難・嫉妬」といった感情。
そこから、”弱い自分は「善」であり、強者は「悪」だという「価値の転倒」の
こと”でニーチェの思想用語だそうです。
このルサンチンマンに焦点を合わせた着想は、大したものです。
弱者が価値の転倒を行うのは、現代社会においてメディアが弱者側のフリをして
盛んにルサンチマンをかこつけているのは承知の通りです。
貧しくて自己肯定の小さい若年層から老人まで、多くの底辺層は同じ思想に取りつかれます。
しかし、文学のテーマになりえても青年誌の読者層に共感は得られるのか、
という問題は残ります。
同じような取り組み、ライフワークを感じる作家さんに、古谷実氏、新井英樹氏
を連想させますが、花沢健吾氏には彼ら以上に下層に降り立つ思想を感じます。
抑圧どころか、あまりのコンプレックスぶりに、権力に立ち向かう気力すら無様さで、
遠くから小さな石ころを投げつける程度の反抗心を持つ階層者をイメージさせます。
前者の作家さんたち、あるいは他の作家さんたちには、権力に立ち向かう熱情を
少なくとも主人公に与えます。
これが、花沢氏の場合には、最終的に主人公にその熱情を与えるにしても、
そのきっかけは少女との小さな共感、結びつきであり、たとえ虚構にあっても
小さな自己満足が成果になります。
小市民のささやかな自己実現をそんな風に見せられても、多くの健全な読者には
そんな人種も世の中にはいるんだな、ぐらいの感想しか持てないでしょう。
様々なジャンルで表現できる漫画は素晴らしいのですが、需要も考えると疑問です。
こんな作品も有ではありますが、ご苦労様ですとしか言えません。
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[投稿:2025-07-12 09:14:09] [修正:2025-07-12 09:20:01] [このレビューのURL]
5点 デビルチョコさん
「あー、こうゆう事ある、ある!」っと、
男なら一度は思った事があるような心情が上手く描けている。
そういった感覚のまま読み終えてしまった。
もう少し物語に起伏が欲しかった。
絵は綺麗で、心理描写も丁寧だった。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2015-02-28 12:34:15] [修正:2015-02-28 12:34:15] [このレビューのURL]
9点 gumigumi25さん
ネットで評判になってたのでひとまず1巻購入。
とても面白くてすぐに全巻購入しました。
主人公は印刷会社に勤める冴えないオッサン。
最初は最低だと思ってたけど不思議とだんだんかっこ良くみえてくるから不思議です。
仮想現実の世界で女の子と恋愛できるという、
近い将来実現されちゃいそうなリアル感もあり、ドップリはまりました。
仮想現実の世界の街(ノスタルジア)が千と千尋の神隠しの最初の方に出て来た町並みに雰囲気が似てて好みです。
この作者の、もてない男の描写が細かく丁寧で私は好きです。
あと恋愛ゲームにハマる人の気持ちがわかります。
すごく面白かった。
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[投稿:2013-10-27 14:31:16] [修正:2013-10-27 14:31:16] [このレビューのURL]
7点 fooさん
童貞代表花沢先生!大好きです。
男が恋愛漫画を描くとこうなるのかーってちょっと思いました
絵が凄く上手いと思います。女の子も可愛いし、必死な童貞を描かせたら一番上手だとおもいますし、キャラが生き生きとしてると思います。
ただ、私の好きないくえみ先生にちょっと絵が似てるような。、、
アンリアルの世界、魅力的ですよね、CGが発達した今、本当にリアルな女性よりも、CGの女性の方がスタイルもエロさも可愛さも上だと思う事あります。
ブサイクがカッコよく見える!そんな漫画がかけて凄いと思います!
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[投稿:2013-09-29 21:50:18] [修正:2013-10-14 03:45:06] [このレビューのURL]
7点 DEIMOSさん
喪男が共感できる作品を次々と生み出すスピリッツの主砲・花沢健吾の衝撃的デビュー作。
男性が求める性欲と恋愛願望を先鋭化させ、近未来における欲望充足の方法を思考実験、提案、描出している。突き抜けた妄想が創造へと結実した近未来SFともいえる。その時代では、男性の性欲は、リアルの女性ではなく、バーチャルなキャラクターへと向かう。
事実、草食系男性の増加が叫ばれる昨今、男性の欲望の矛先は、着実にバーチャルへと向かっている。他方、子孫を残すという生物本能は確実に草食系男子の中にも根付いており、理想を求めるバーチャルへの憧憬と現実的な結婚・子育てという妥協の間で、誰しも葛藤する。男性ならば誰しも実感、共感できる目の前の課題だろう。
その相克を本作は、リアルに生生しく描いているのだ。
作品は4巻と短くまとまっており、同作者が後に描くボーイズオンザランやアイアムアヒーローに比して、無駄がない。リビドー漲って一気に書き上げた感がある。にもかかわらず、絵はすでに完成の域に達しており、非常にテンポよく読むことができる。これは花沢漫画の中でも最高峰の良作だ。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2013-03-10 23:04:42] [修正:2013-03-10 23:04:42] [このレビューのURL]
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