「ほげ」さんのページ
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好きな漫画:ドラゴンボール、ブッダ、アドルフに告ぐ、火の鳥、ブラックジャック、僕の小規模な失敗、僕の小規模な生活,つげ義春全作品、めぞん一刻、ホムンクルス、ピンポン,天才バカボン,ナニワ金融道,カバチタレ!,AKIRA,魔太郎が来る!
最近気になる漫画:プルートウ、殺し屋1、七色いんこ、風の谷のナウシカ、三つ目がとおる,童夢,極悪がんぼ
好きな漫画家:手塚治虫,藤子不二雄A,藤子・F・不二雄,つげ義春,黒田硫黄
気になる漫画家:福満しげゆき,赤塚不二夫,東風孝広,大友克洋
基本的に好きな漫画は全て10点をあげちゃってますので、点数を見ても読みたいなと思われる漫画は少ないかもしれません。この漫画はここが良いと思ったから高得点、悪いから低得点であるというような点の決め方はしません。
手塚治虫やつげ義春,黒田硫黄なんかが好きで,『ナニワ金融道』とか『カバチタレ!』なんかも好きとくれば,筆っぽい絵というかきたねえというか,スタイリッシュな絵は好きじゃないみたいですね。
『ホムンクルス』の山本英夫は上手いですが,彼の漫画は汚いから許せちゃう。大友も上手い訳ですが,劇画劇画した絵ですし,やっぱりグロですからOK。『クロサギ』もヒロイン風の女の子の設定さえなければ・・・と思います。反面,現代漫画の最高水準という感じの小学館の浦沢直樹なんかは,受けつけませんね。『MONSTER』なんかは,ストーリーの導き方はまあまあだけれど,長すぎるし,残酷じゃなさすぎて飽きてくる。
大して面白いと思いませんでしたが,『刑務所の中』の絵は嫌いじゃないですね。まあ,ここまで言えばだいたい僕の漫画の好みが分かってくるかと思います。少女漫画なんかは全然受け付けませんよ。

7点 MONSTER
全編に渡ったドイツやチェコなど欧州を舞台にしたミステリー漫画。冷戦時代の東ドイツで行われた人間の人格改造によってうまれた殺人鬼こと怪物を巡る物語。
一人の出世意欲にまい進する日本人の脳外科医。その欲に満ちた人生に疑問を抱いて上司の意見を遮って助けた命が,自分の人生を大きく狂わせるという矛盾に満ちた悲劇。
序盤は極めて面白い。その助けた命はドイツ青年だが,謎めいていて彼の存在を一般の人間は誰も知らない。しかし,確実に彼は存在し,まぎれもなく人を殺していく。闇,ということばが漫画の中に何度か出てくるが,この青年自体が闇であることは,読者なら誰しも気づくのではないか?
感情表現を描くのがうまくない浦沢は,青年の不気味さを,顔で描くことはできなかった。しかしながら,青年の行動が,不気味なのであり,まさしくモンスターなのであることを教えてくれる。残酷描写は極めて控えめながら,漫画で起こる事実が読者にいいようのない恐怖感を与えるだろう。エンターテインメントとして一流であるゆえんだ。
だがいくつかアラも見受けられる。デザインのセンスに欠ける浦沢は,人間の顔に個性を植えつけることができない。これが小説だったらと思うことも少なくない。物語は悪くないのだから。だが,デザインのセンスに欠けているために,壮大な物語にケチをつける格好になっている。どれも皆同じ顔に見えてしまう。
特に,デザインのセンスの欠如が顕著に現れてくるのが,ニナ(アンナ)であろう。金髪のドイツ娘という設定だが,なにやらそこらの日本の若い娘に見える。あれをドイツ人に見立てられてもちょっと困るのだが・・・?たいして知的にも見えないし。設定がうわついて見えてしまうのだ。
物語は,悪くないといったが,徐々にしぼみはじめてしまっている。テンマが,何故モンスターことヨハンの命を狙おうとするのか?たしかにヨハンは冷酷無比だろうが,自分の全人生を賭けてまで何故?そこまでの動機がまるで見えてこない。自分の医者ないし医学者としての人生が,絶たれた訳でもなかろうに,少々理不尽な設定ではなかったか。家族が殺されるとか,なんらかのプライベートな理由がないと,感情移入するには至らない。
そういえば,テンマの家族はまるで物語に登場しないのだが,それも一体どういう理由でそうしたのだろう。
サブキャラクターのエピソードをつむいで物語の構成力を豊かにしていく手腕は,さすがといえる。その緻密かつ物語に不可欠なエピソードは,『MONSTER』という漫画を,複数の人間の感情が入り乱れる漫画に仕立ててくれている。
ドイツで指名手配となったテンマが,確かに無実の罪と判明したとはいえ,最終的には大学から招待されたり,医師団に参加したりと,なんだか適当になってしまった展開も非常に疑問である。
文化庁メディア芸術祭だとか小学館漫画賞だとか手塚治虫賞だとか主だった漫画賞を受賞した本作だが,まさにしかり,というような内容ではないと感じられた。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2006-08-08 23:46:47] [修正:2007-01-19 22:58:52] [このレビューのURL]
7点 行け!稲中卓球部
永遠に終わらない「中学二年生」を描いたギャグ漫画。中学二年生という時期は、高校への進学を考えなくても良いし、本作の舞台になっている部活動の引退も考えなくても良い。一年生の時にはまだ慣れなかった仲間とはようやく打ち解ける時期でもある。一年生の緊張がなく、三年生の円熟がない。なんとなく自由な時期だ。それが永遠に(漫画が終わるまでは)続くと想定されているところに、この漫画の楽しさがある。
この中学二年生という時期が、未熟ではあるが決して初心でもないという時期であることとあいまって、この漫画の大きなポイントである、「性」についてのアプローチがなかなか上手い。恋人のバストを触ったり、全裸にしてみせたりする男の子が出てくるが、彼等は決してセックスには至らない。変態wとされている前野なる主人公も、女性の性器を裏ビデオで見てしまい、苦しんでしまうという始末。それが笑いになってはいるのだが、中学二年生という曖昧な時期の、性に対するアプローチを適切に描写していると思う。
下の人も言っていることなのだけれど、『稲中』のギャグ漫画としての独創性の一つに、「絵で笑わせる」というのがある。漫画太郎も同じなのだが、『稲中』では、笑いのシーンでだけ「絵」がギャグになる(ちょっとグロテスクな感じ)がそうでないシーンではシンプルである点が異なっている。鼻水をたらしたりよだれをたらしたりしないが、「ダウンタウン」や「ビートたけし」だのが昔やって子供に人気があった着ぐるみを着て笑わせている。だから、笑いはTVで映える芸人のそれに近いのだろうか。『稲中』が、普段漫画などオタクが読むものとして馬鹿にしているような若い世代に人気があったことを思い起こすと、TV芸人に近い笑いのセンスというのは、慧眼かもしれない。
大分賞賛してきたのに点数が低いのは、私がTVで映える芸人が好きでないからなのかもしれない・・・
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2005-09-04 21:59:00] [修正:2005-09-04 21:59:00] [このレビューのURL]