「friendstudio」さんのページ

総レビュー数: 17レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年11月09日

今話題の新感覚野球マンガです。
今まで野球マンガというと「勝気な投手の主人公が、速球を武器にワザを持つライバルを悩みながらも打ち破っていく」とか、また、よく超人的な技持ってたり、強烈な個性のアリエナイキャラクターたちがメインだったり、ガチガチに塗り固まった野球理論や戦略で攻めたりと、何かと偏った、またここ数年新たな傾向が見られていない「王道派」のジャンルでした。ところがこの作品は以上の定義をことごとく裏切っていて、主人公は自分に自信が持てずいつもクヨクヨして泣き虫、努力家なのに認めてもらなかった過去もあって劣等感を持っていて、挙句の果てに球が遅く・・・他にも、彼を支える捕手は天才肌なんだけど投手を駒扱いする所があったり、登場する選手誰一人として「必殺技」なんて非現実的なものも持っていない、なんだか一見は冴えない、見栄えのしない野球マンガに見えます。
この作品全編に描かれているものは、もちろん現実的で科学的な野球理論があって、それに基づいてはいるものの、結局は「野球って人と人のつながりなんだ!」ということだったりします。三橋は阿部を少しづつ信頼していき(あの校舎裏のシーンはGood!)、また阿部も「捕手とは何か」に少しづつ気がついていき・・・配球や戦略だって、もちろんこのマンガでは丁寧に書かれているけれど、でもやっぱり最後には「キモチ」だったり「自信」だったり「信頼」だったりする。それは「相手との駆け引き」などと軽く書くにはあまりに複雑で深く、もっと根底の、野球理論ではない「人間対人間」のつながりが試合を左右していく様子はリアルで、マインドが次第にじわじわと人間を突き動かし、試合を変えていく姿は「ゾクゾク」来る面白さ!何の劇的な物語も無く出会ったメンバーたちが少しづつ一つになっていく様子、過去のトラウマを仲間に支えられながら乗り越える姿・・・「負けたくない!」「勝たせてやりたい!」とヒトがそう思う衝動は単なる欲ではない現代に希薄な\"キズナ\"を描いているとも取れるし、またそうでもなくて、それを描いたもの自体が根本的に人間が読んでいて面白いのかもしれないし。ともかくも、普段野球マンガはおろか、普通の「マンガ」でさえも描かないような、\"リクツ\"じゃない人間っつー存在を、見事に、そしてどこか「完璧なドラマ」になりきっていない庶民感覚(?)の残ったように描かれた物語は「うおおっ!」の一言です(笑)
ちょっと書いたけど、このマンガの「もう一つの柱」みたいに書かれている「科学論に基づいた野球ウンチク」は、たしかに色々「へぇー」と来るものもあったけど、それはどこか「科学トレーニング」の一歩手前で、ここにもどこか「現実的」というか、「庶民的」な感じが出ていて気持ち良いです。「美味しいものを美味しいと食べること」だったり「手をつないで相手の体温を感じたり」といったトレーニングも、なんだか「メンタルトレーニング」というには幼稚で、だけど「より効果がありそう」で・・・この不思議な感覚の根底は説明が難しくて、うんと、読んでください(笑)
登場してくる女先生がときおり非現実的なコトをやってのけちゃたり、目つきがあちこちで怖かったり(笑)他にもたまーに「オイオイ」があったりもしましたが、野球マンガとして読みたい人は勿論、「野球に興味の無い人が読む普通のマンガ」としても読める秀作だと思いました。「ゲッツーって何?」くらいは知っといたほうが良いけど。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-11-19 20:54:23] [修正:2006-11-19 20:54:23] [このレビューのURL]

自分の周りの人間にこのタイトルを話すと、読んだものは皆「あれはいいよ」と返し、「俺一晩中泣いた!」なんてヒトもいたり、なんだか自分の周りでは伝説化されていた作品でした・・・。で、あらすじ自体は文字にしてここに書いても、面白くもなんともない退屈な漫画なのですが(笑)とにかく表現力と演出が超一流!「ほ○のこえ」の元ネタはこれだったんですn(死)
設定自体は超B級甚だしく(笑)、第一巻の第二話、「はぁぁぁぁぁぁ!?」(読んだことがある方ならどのシーンか分かるはず)は、さすがに、あまりに、そりゃあないでしょ・・・。三巻くらいまでの緊張感のさっぱり無い、ひどく落差のあるストーリー展開はグダグダで、ここで読むのをやめちゃうひとが居ても仕方が無いかと・・・(腐りきったラブコメ臭的な書き方も、ちょっと・・・)。とはいえ、この作品の本当の展開は、地震で街が崩れてから。第五巻での、次々と息絶えていく\"大切なヒト\"のエピソードや、第六巻の逃避行、そして運命の最終巻へ、それぞれのエピソードはバラバラではあるのですが、それまでがウソだったかのような見事な珠玉の物語群となっています。
この作品の最大の特長は圧倒的な演出力。今まで漫画の演出の最高潮は巨人の星だと思っていたのですが(笑)この作品がぶっちぎりで抜き去りました。「ページをめくる」ということを意識した演出手法、文字を背景に流すモノローグ、手前がちゃんとボケてる映像的な描写・・・デジタル作画をフルに生かした、度肝を抜かれる大胆な演出には時に鳥肌さえ立ちます。しばらく読んでから「目次」が現れたり、四ページまるまる黒で塗りつぶしたりと、大変僕好みな(笑)ムチャクチャな演出から、単行本としての、そして一冊の本としての芸術性の高さを感じました。核のシナリオでは、物語の主人公である二人の距離自体を「世界」と捉え、それを思いっきり引き伸ばす手法を使ってます。もしかしてこの作品が元祖なのでは?それのために他の設定を漫画から徹底的に排除したためストーリー的にツッコミどころ満載にはなっていますが、これはこれでアリにも思えてしまうくらい、「二人のあいだ」という独特の世界観がきっちりしています(前半の巻より後半の巻のほうがカッチリしてて僕好みですが)
読破後、ネット上のレビューをぐるぐる回ったのですが、この作品を「反戦モノ」と捉えるのはちょっとどうかなぁとここで書いてみる。背景も設定も詳細も呈示されないまま、残虐で退廃的なシーンくらいしか書かれていない以上、この作品の戦争の捉え方はあくまで「二人を引き裂く恐怖や舞台」であるので、すなわちその程度にしかこの作品では戦争のことを考えてないのでは・・・?
各シーンの完成度の高さはさきほども書きましたが、あらすじ自体は最後の最後までまでグダっとしています。個人的にはあのシメ方はちょっと微妙ですたい。あ、あと最後に・・・この作品を読んでいると、なぜか映像的なインスピレーションを受けます。そっちに興味のある方は一度お読みあれ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-11-19 20:52:44] [修正:2006-11-19 20:52:44] [このレビューのURL]

文化庁メディア芸術祭で大賞を獲ったマンガ作品です。
ちょっと高いな〜・・・と思いつつ注文して届いてみたら、かなり薄っぺらい(笑)ほぼ白黒で100ページ足らず。ああーボラれた・・・と、読む前に軽くショック受けました(笑)
まず目をひくのが、トーンどころかベタもほとんど使用していない丁寧な作風。この独特の「風が流れている」感じの画風が作品全体の静かな雰囲気作りにとても貢献しています。人間の書き方に最初ちょーっと違和感を覚えましたけど、10ページで慣れました(笑)。
この作品全体の大きな特徴は、「原爆」をテーマにしながらも当日のシーンは3〜4ページしか出てこないこと。「桜の国(1)」に到っては「原爆」の「ゲ」の字も出てきません。いずれも被爆者や原爆二世の物語で、「原爆ななぜダメなのか」を書かず、「原爆とは(被爆者にとって)何だったのか」ということを追求していきます。この本のキモは原爆二世の七波がボケた?父の後を尾行して広島で一日を過ごす「桜の国(2)」。途中途中で七波の父と母(被爆者)が出会い、そして東京へ移り住むまでのエピソードが挿入されたりと、この一冊の本としてのエピソードを総括する流れを汲んでいきます。逆にむしろ「夕凪の街」のほうは伏線扱いで、かえってただの「原爆漫画」になっています。ちと残念。
が、この作品のスゴい所は、この本全体での最大に盛り上がるシーンに「原爆の悲惨さ」を持ってこない所。「それでも歩んでいこう」という二人の小さな人間の人生を垣間見る部分に、ヒトの真の強さを見ることが出来た気がして、何度読んでいてもそこで胸が熱くなります。戦争があった。原爆があった。それでも日本人はこの60年間で前へ進んできた。決して目をそらすことはなかったけれど、それでも「乗り越える」ハードルでしかない、被爆者たちの力強い、それでいてささやかな、幸せ一杯のラストシーンには、グーッとこみ上げて来るものがありました。最後のページの電車のシーンで、もう一度テーマは語られますが、あの2ページぶち抜きのシーンには敵いません。見事!
この物語、できるだけ多くの人に読んでもらいたいなぁ。多分僕よりも感動できる人間は一杯いるだろうに。映画化ということで、期待しています。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-11-19 20:51:13] [修正:2006-11-19 20:51:13] [このレビューのURL]

説明文どおり(笑)だらだら進むマンガ。
大学生という一生でも掛け替えの無い時間を
のほほん、時に強引な(笑)ギャグで鮮やかに描き出す。
大学卒業後も数年間連載が引き伸ばされる点はよく批判対象にされているので、
その部分もたしかにマイナスではあるが、
ゴールインまでのラスト2年間の怒涛の展開は現在も色あせない見事な出来。
「こんな楽しいときだって、永遠ではない」
八年間に及ぶ長期連載で作者が伝えたかったメッセージは、全巻読み終えた後に、
ようやく気づくことが出来るのだ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-11-09 19:12:17] [修正:2005-11-09 19:12:17] [このレビューのURL]

とにかく最終巻までギャグが乱れない。
やや独特感もあるが、この人間の心の隅っこをくすぐられるような不思議な\"みずしなギャグ\"の
初期作にして最高峰であろう。
この作品中に横浜ベイスターズは38年ぶりの優勝を遂げた。
そのコミカルなドキュメンタリーとしても、読める。
野球が分かるなら、できるだけ多くの人に読んでいただきたい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-11-09 19:06:22] [修正:2005-11-09 19:06:22] [このレビューのURL]

映画版とは違い、この作品のキモはノスタルジアではない。そこだけ留意した上で・・・

とにかくすべての物語に共通する人間の暖かさにはニコニコせずにはいられなくなる。
この50年間で日本人が失ったもの、そして今も揺るいでいないもの・・・
何気ないエピソードから日常の幸せを巧みに描き出している。
長期連載は現在も続いている。歴史の生き証人として、ぜひ手にとってみていただきたい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-11-09 19:02:18] [修正:2005-11-09 19:02:59] [このレビューのURL]

「結局使う奴はいない」勉強トリビアを淡々と繰り出すだけ。
結局内容は「美味しんぼ」なのだ。ジャンルはセンセーショナルだが、新鮮味は無い。
で、例えば美味しんぼには短編としての優れた部分があるが、
このマンガには長編としての面白みがどこにあるのか。
肝心のマンガとしては失格である。
二人の成長物語をメインに押しているのは好感が持てるが、
肝心の二人のバックの描写が徹底されていないため、
この部分まで崩れてしまっている。

とりあえず学習マンガやベ○ッセの広告マンガみたいなのがお好きな方は、どうぞ。
ちなみに、これを読んでも東大へは行けません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-11-09 18:57:29] [修正:2005-11-09 18:57:49] [このレビューのURL]

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