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9点 天涯の武士
幕末の日本。腐敗する幕府の中にも逸材はいた。勝海舟が幕引き役を務めたことは知られている。
榎本武揚は幕府残存勢力を率いて函館に転進。五稜郭で最後まで抗戦し続けた。
だが、その影で一人の武士の存在が歴史の闇に消されていた。
幕臣・小栗上野介忠順その人である。
幼い頃から神童と名高き二千五百石取りの直参の旗本の出。海舟に比すれば家柄は比べるべくもないほどに上。
その海舟とともにアメリカ国へ通商使節団の一行として太平洋を渡った。
当時の日本は開国以来、金が流出し、それが国内の物件高を招き、国益を損なっていた。
小栗はその金との交換比率の改善に心を砕いた。
諸外国に下手に出る風潮が幕府内部に蔓延していたときに、この男は恐れず「No」と言ったのだ。
「ノー!」と言える日本人。それが小栗という男だった。
だが・・・海舟とは元々の身分の違いもあったのだが、あくまで幕府の臣であろうとする小栗とでは反りが合わなかったらしい。
この作品でも海舟は小栗の実力を認めながらも、決して好んではいないという描かれ方をされております。
また、対馬がロシア船に占拠されて島民が殺害された等のエピソードはこの作品を読むまで知りませんでした。
反幕府勢力としては薩摩藩とは当初は強調体制だったためか、関係を描かれている場面が多く、
逆に「長州藩」や「土佐藩」「会津藩」は少なめです。
しかし・・・上野介の顔が全然残っている写真と似ておりませんな。
実際はもっと若々しかったようですが・・・・・・・・・・・・・。
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[投稿:2011-10-27 23:28:29] [修正:2011-10-27 23:28:29] [このレビューのURL]
8点 ぼくらの
人によって相当評価の分かれる漫画だろうと思う。セカイ系な作品なんだけれども、そこから一歩抜け出したものを感じる。
あの短い話数の中であれだけ子ども達の心理を表現できているのは見事だと思う。どの話も質が高いけど特にはダイチ編とマキ編が好きだった。マキ編のラストには鳥肌が立った。
どの話もラストがしっかりしていてよい。キリエ編のラストは秀逸だった。一つ難を言うならば、カコ以降死を簡単に許容してしまう子どもが多いこと。それぞれに理由はあるんだけど。あと、中一にしてはキリエやモジが大人びていすぎる所にも違和感は感じる。
なるたる同様ラストでこの作品の評価は決まると言えるだろう。鬼頭先生だからないとは思うけれど、頼むからゲームオチとかはやめて欲しい。個人的に幾分かなるたるよりはマイルドになったと思うのでなるたるが嫌いだった人も読んで欲しい。
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[投稿:2007-05-27 19:44:40] [修正:2011-10-27 18:02:38] [このレビューのURL]
始まったときからなんとなく見てきた作品なんだけど安定しておもしろい。最近のジャンプにありがちな主人公が急激な勢いで上手くなったり、必殺技くりだしたりな漫画じゃなくて安心した。最近合宿や練習のシーンが多くて地味に感じるけど、きちんと努力する姿勢を描いてくれているのはうれしい。打ち切り危惧していたけど乗り切ったようでよかった。今のところまだ良作のレベルなのでこのあとつきぬけるようなら点数も上がるだろう。今のジャンプではネウロ、ワンピースに続いて楽しみにしている作品。
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[投稿:2007-07-01 21:25:47] [修正:2011-10-27 18:01:13] [このレビューのURL]
5点 咲-Saki-
とりあえずこれを麻雀漫画として読むと痛い目を見ることは確か。
今まで麻雀漫画といえばアカギなど実際麻雀をある程度やってないと魅力が伝わらないニッチな面が強かったということで作品数の多さに関わらずメジャーな作品は少ない。
咲では
・この世界では麻雀は老若男女問わず万人に人気の競技。高校の全国大会も存在する。
・麻雀漫画の泥臭い絵のイメージを覆した美少女中心の萌え絵。
・麻雀をある程度知らないと分からないような演出が極力省かれている。サッカーでいうキャプつばのような現実ではありえない超人的な作風でかつジョジョ的な能力漫画の場合もある。
このように麻雀漫画では革新的な面が非常に多くかつ万人向けでそこがうまくヒットにつながったと思われる。
漫画としての方向性の問題なのでそんなうち方ありえないよとかそんな展開あるわけないとかいう突っ込みは無粋。
これはこれでありだと思うけど目新しさ以外で見ると残念ながら並みの漫画です。
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[投稿:2011-07-01 01:10:16] [修正:2011-10-27 17:59:22] [このレビューのURL]
7点 赤ちゃんと僕
いい漫画ですよね。
私が小さい時に姉の本棚にあったこれを読みふけっていたので、かなり思い入れがある作品。短編が連なっている構成で、起承転結がしっかりとしているのですごく読みやすいし読後感がいい。笑えて、泣けて、考えさせられてと括りは少女漫画だけど万人が楽しめると思う。
基本的には小5の拓也と幼児の実、それを見守る父親を中心としたホームドラマ。育児を中心としつつも色んなテーマが取り扱われており、全体的にかなり質が高い(銀行強盗の話だけは好きじゃないけど)。
脇を固める人物として拓也や実の同級生、ご近所さん、父親の同僚など大量の人物が登場するのだが、まあこいつらが揃いも揃ってあくが強い!羅川さんのすごい所はこの脇役達を暴走させずにうまく作品のテーマと絡めていった所だ。何気に大変だったと思う。後半は多少ネタが尽きたのかキャラ頼みの話も見られたが、それでも十分おもしろかった。特に藤井家絡みの話は鉄板ですね。
最終回は泣いた、確かに号泣しましたよ…
でも反則技というか安易というか納得しきれない部分はどうしてもあります。あまりにも唐突だったしありがちなのはこういう漫画の最終回が難しいからというのはあるのだろうけど、羅川さんならもう少しうまくやれた気がするんですよね。
ただ今まで育ててきたキャラだからこそあそこまで泣けたのであってそういう意味では最終回にふさわしくはあったのかもしれません。
誰もが楽しめて、気軽に読める良作品なので時間があればぜひ。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-07-08 00:36:34] [修正:2011-10-27 17:51:39] [このレビューのURL]
9点 預言者ピッピ
地震予知ロボット:ピッピ
人の形を模して造られたそのロボットは、あらゆるデータを基に地震の発生を予測する。
データを直接脳に取り込むだけでなく、自らの行動から情報を得るためにも、彼の発明者の一人息子・タミオと遊ぶことはピッピには大事な習慣だ。
長くタミオと過ごしてきたピッピは、タミオが病気で余命1年あまりだと知る。しかし自我のない彼にとってタミオはあくまで一人の人間に過ぎず、特別な感情も抱くはずがなかった。
そう、1年を待たずしてタミオがピッピの目の前で事故死するまでは…
そしてピッピは沈黙する。己に生じたバグを取り除くために
そしてピッピは計算する。「タミオ」という、「人」という方程式を解くために…
そしてピッピは目を覚ます。タミオを0と1の世界へ分解し、自我を得て
そしてピッピは扇動する。地震予知以外の情報を解禁させるために
そしてピッピは進化する。あらゆる情報を取り入れて、彼は地震どころか人類の未来さえも占ってしまう
地震の「予言者」であったピッピは、人類を救うか、はたまた滅亡へ導く「預言者」へとなってしまったのだった…
「鉄腕アトム」を発端に、最近のSFではロボットが自我を持っているのが当たり前だ。ロボットには人並みの感性や心があるのか、を焦点に、ロボットに対する倫理を問う作品が多い。
しかしこの作品ではその前の状態、つまりロボットは自我を持つべきか、持って良いのか?が一つのテーマとして作中激しく議論されている。
人間以上の情報記憶力・収集力・演算力をもつロボットが自我を持つことで起きうる問題。
自我を持たないうちは、演算結果の予測や未来を、人間の判断で利用できる。確率が高くとも絶対はありえないから、その結果を用いなくたっていい。自我を持たないうちは、予知もロボットも「道具」として使えるのだ。
しかし自我を持てば、ロボットが全てを判断し始める。次々と未来を計算し、合理性を前面に押し出した判断には反論できない。人はそれに従う他なく、与えられた未来を生きねばならない。先が見えるということは、その結果に向かってしか行動できないということでもある。そう、本作のテーマは、ラプラスの悪魔、いわゆる「決定論」の真偽へ至ってゆくのだ。
ギャグ出身の地下沢先生の朗らかな画のおかげで堅苦しさを感じないが、雰囲気やノリはどこかシュールである。
預言者となったピッピが、人類をどこへ導くのか…人を救いたいと言うピッピとは裏腹に疑似人格のタミオはせせら笑うばかりで、全く予想できない。次巻以降も目が離せない恐ろしい作品だ。
(追記 2巻読了 点数8→9へ)
正直、ここまでの作品とは思いませんでした。10点は完結後につけさせていただきます。
ラプラスの悪魔なんてハイゼンベルクが不確定性原理を打ち出してとうに消えてしまった過去の遺物ですし、「どうせ最後は流行りの量子力学で解決すんだろ?」って冷めた見方もしてたんです。
量子力学ももう、大学の授業で習えるし定性的なことなら啓蒙本で誰でも理解できる。SFではもちろん、最近じゃゲーム(シュタゲなど)やラノベ(紫色のクオリアあたり)でも盛んに取り入れられているし、一体何番煎じなのか?そんな風にしか予想できませんでした。
2巻。最初もまだ「猿の惑星?」でしたが…
「ピレネーの城」とあの腕
鳥肌もんでした。
これはマジもんの傑作になると信じております。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-07-03 04:40:30] [修正:2011-10-27 02:40:57] [このレビューのURL]
7点 お〜い!竜馬
フィクションもまじっているけど、そのエピソードや物語作りが
上手いので思わず本当の事だったかなと調べなおしてしまう程。
面白く読みやすく、それでいて歴史の勉強にもなる漫画かと。
原作者の武田鉄也が大の竜馬好きなので、竜馬が非常ーーに
魅力的にえがかれてて、良いところだけでなく、悪いところも
包めて好きになっちゃいますよね、つい。
竜馬だけでなく、あの情報が少なく混沌とした時代に先を見越して
自分だけでなく国の事を思える人々ってやっぱり凄いし、素敵です。
そんな彼らの魅力を上手に表現していると思います。
幕末ってホンマ面白い時代やなぁ。
数年ごとに読み返すのですが、何回読んでも途中から熱中して
読んでしまいます。
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[投稿:2011-10-19 21:08:00] [修正:2011-10-26 23:53:43] [このレビューのURL]
5点 キャプテンキッド
ひとことで言うと海洋冒険海賊戦闘浪漫娯楽漫画(なんだそれ)
かなりゆるい娯楽作でまったり楽しめる作品です。途中までは(笑)
設定や根幹のストーチーは空想ファンタジー。ただし細かい設定などを楽しむ種のヲタじゃない方に、より楽しめると思います。途中までは(しつこい)
ええとですね、今作は途中から週刊マガジンに掲載となり、最終的にはマガジンSP掲載に戻って終了したんですが、最初に週刊マガジンとなってから今作品の面白さであった陽気さや、いい加減さが無くなり、結果的にパワーダウンしてしまった感じがするんですよ。
いわゆるジャンプ的なバトルインフレ路線への変更が原因かと思います。その路線が好きな方なら全般通じて楽しめるかな?
絵柄は万人受けするタイプで、やや女性キャラの書き分けに難があるぐらい。お色気シーンもまあまあ数ありますけど、前年齢向けなので成人は期待しないように(笑)
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-10-25 08:26:40] [修正:2011-10-25 08:26:40] [このレビューのURL]
10点 うる星やつら
一世を風靡した伝説のラブコメ、ではなくギャグコメディー
それまで無かったヒロインの設定(性格やデザイン)のインパクトで、伝説にまで昇華した稀有な作品です。
スラップスティックなギャグ漫画なのでストーリーやらオチやらは特に必要なく、要はワイワイガヤガヤしてるだけ、といえばそれだけの作品。というかそれがウリの作品。
このタイプは時事ネタに強いことが多いんですが、当時の世相よりは主として恋愛持ってきているので、今でも充分読むに耐えます。
ただ高橋先生のデビュー間もない連載作であるため、特に初期の頃は画力がかなり低いのが難点でしょうか。
テレビアニメ化により人気は爆発、映画も作られ、ラム語やヒョウ柄ビキニになど一大ムーブメントを起こしました。
後に続く漫画家に多大な影響を与えた作品でもあります。
10点以外、つけられないじゃん(苦笑)
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-10-25 08:07:33] [修正:2011-10-25 08:07:33] [このレビューのURL]
7点 さんさん録
こうの史代の作品にハズレはないなぁ。何でそんなに安定感があるのかと考えた時、核にあるのはさんさん録や長い道に分かりやすい温かみじゃないかと思う。
参平さんみたいな老後がいいなと思うのは別に家事がしたいとかではなくて、老いても何かしら存在意義を感じていられたら生きている喜びが感じられるのではないかなってこと。
そりゃまあ趣味に生きるのもいいのだけど、他人に必要とされるのは人として大事な気がする。孫の面倒を見るのだって何でもいい、生活に張りがあれば参平さんのようにそれなりに楽しくやっていける。
妻に先立たれた参平は息子に勧められるまま、息子夫婦とその小学生の娘との同居を開始する。成り行きで参平は家事全般を担当することに。妻のおつうが残した「奥田家の記録」を頼りに参平の主夫生活が始まった。
参平じいさんのどたばたな生活を見ているのは楽しい。家事を「奥田家の記録」から学ぶ参平、時には、いやかなり頻繁に勘違いをやらかす参平、かなり変人な孫との微笑ましい?交流、時にはどきどきするロマンスもあったりして参平さんの老後はなかなかに忙しい。
この忙しいというのがすごく幸せな忙しさに感じられる。老後の生活に張りがあるというのは多分こういうことだ。
参平の家族も本当にいい家族。ちょっと現代的なライトさもありつつも優しい息子、もはやこうの作品常連とも言える天然な可愛い奥さん、そして気持ち悪いもの好きの変な孫。それぞれにとても愛おしい。
ちょっと興味深いなと思ったのは参平さんが常に妻・おつうを意識している所。参平さんは彼女に恥ずかしくない行いはしまいと思って生活している。
これってアメリカの「常に神は見ている」精神にすごく似ている。人の目はもちろん誰だって気にする。でもアメリカ人は誰も見ていなくても神が見ているからという意識はすごく大きいらしい。別に宗教に限らず、何かに恥じない生き方というのは一つの理想かもしれない。窮屈とも言えるかもしれないけれど。
こうの史代といえば夕凪の街 桜の国やこの世界の片隅にという名作のイメージが強いと思う。でもやっぱり何度も読み返して楽しい気分になれるさんさん録のような作品だってすごくいい。
本当にこんな老後を送りたいと思わせてくれた。まだ私はそんな年じゃないけど、羨ましいなぁ。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-10-25 00:37:33] [修正:2011-10-25 00:38:14] [このレビューのURL]