「ガクちゃん」さんのページ

武蔵、又八、小次郎といった主人公の視点だけでなく、多くの登場人物からの多角的な視点が、大河物語の広がりを深めている。それも至極丁寧に語られている。偏った登場人物への思い入れから、この手法は大多数の漫画ファンの感情移入を拒むものかもしれない。「途中まで面白かったのに」という言葉が聞こえてくる原因の一端はここにある。
しかし全方位的にこれだけの密度をもってして、しかもこの画力で描かれたら、「参りました」という他はない。
原作の本質から外れず、尚且つ作者独自の武蔵像がしっかり立ちあがっている。堂々たる漫画であり、文句のつけようがない。そこに魅力のなさも少し。矛盾するようだけど。

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[投稿:2010-01-07 21:49:20] [修正:2010-01-07 21:49:20]