「団背広」さんのページ

手塚治虫は初期の作品よりも後期の作品があまりにも有名であるため、「火の鳥」「ブラックジャック」などの鮮烈なテーマ性を初期の作品にも期待すると肩すかしを食らってしまう。
なのでこの漫画も変な期待をせずに、「古き良き時代の名作」として楽しむのが良いでしょうな。手塚だって最初から漫画の神様だったわけじゃないしね。

そういう風に割り切って、微笑ましい気持ちでこの本を読んでいたら…驚いた。つーかビビッた。
あれが出てくるんですよ、あれが。遊園地で有名な世界一金にうるさいネズミが出てくるんですよ!
ミキマウス・ウォルトデズニイとかいう中途半端な名前で出てくるんで、多分許可も何も取ってないただのパロディ。
おいおい、手塚も無邪気に漫画書いてる時代があったんだなーとか思いながら読んでたけど無邪気すぎだよ。一番危険なところをパロってるじゃねーか!
そんなヤバい内容を含みながらもこの作品が普通に出版されているのは、やはりライオンキングの件で向こうにも負い目があるからでしょうな。あーあ、微笑ましい気持ちで読んでたのになんか大人の事情が垣間見えちゃってちょっとゲンナリ…

そうそう、黒田硫黄が「大王」にてこの作品のオマージュ的な短編(題名もそのまま「メトロポリス」)を書いているので、それと比べて読んでみるのも面白いですよ。
黒田版と手塚版の「お前は人造人間だ」「えー」の違いがはっきりしすぎてて笑える。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-09-16 21:41:03] [修正:2005-09-16 21:41:03]