「あおはな」さんのページ

鬼頭先生の初期作品。ストーリー的には後のなるたる、ぼくらのに通ずるような片鱗はみせつつも宿命を背負った彼女たちの描写がよくて取り立てて起伏が無くてどこが見せ場か今でもよく分からないなりに短いし読み終えた感じです。鬼頭先生の最近の絵は一見すると「手抜き?」と感じる癖のあるものなんですが、本作と比較すると「明らかに画力が上がっているんだな」「あれは型をマスターした上でなされるカタルシス(抜け)」なんだとわかってきます。この当時の絵には、細かく精密に描くことに意識が集中してなのかとても絵が硬い(特に表紙を他の先生の作品と書店で見比べていただきたい)そしてお得意の遠近感技法が少ない。(コレも他の作品の表紙と比較すると明らかに)本作を読むと鬼頭先生が内容だけでなく絵からもどんどんと「解放」の方向へ向かっているのが分かります。「終わりと始まりのマイルス」や「のりりん」など最近の作品を見ているとよりそう感じます。それを感じる時、全く逆ベクトルにもぐっていっている古谷実先生が気にかかるのは私だけなのでしょうか?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-05 15:58:30] [修正:2010-11-05 17:08:38]