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総レビュー数: 52レビュー(全て表示) 最終投稿: 2008年10月09日

5点 LIAR GAME

[ネタバレあり]


ある種の一発芸的な面白さの漫画。

発想はいいと思う。ネタも毎回手が込んでるし、作者の発想力に万歳、って感じ。個人的には少数決の話が一番面白かったかな。こういうネタをぽんぽん思いつくのは、ONE OUTSから続くこの人ぐらいではないだろうか。

しかし、限界もある。ネタはいいんだけど、悲喜こもごもな登場人物の掘り下げ方が、いま一つである。もっと登場人物の狂気を見せてほしかった。

負けると即終了って感じのゲームだから、ジャンプみたいに結局は勝利が用意されているっていうことも、妙な安心感があってマイナス要素。もっと勝負の世界はシビアなはず。

人生を賭けた勝負の中で、一番勝利に対する思いが薄そうな主人公が勝つっていうのが、何と言うか、それが作者の既存の勝負師を扱う漫画に対するアンチな気持ちがこめられたメッセージなのかもしれないけれど、作品自体の濃度を薄めている気がする。

全体的に、読みこむ要素が薄いかなって言うのが、冒頭の文章の真意。一発ネタでおぉーって感心する。その振幅が大きければ楽しめると思う。その振幅が確保できないと、へぇーで終わる漫画。エンターテイメントとしてはそこそこ楽しめると思うが、夢中になって読みふけるほどでもない。ONE OUTSの評価との兼ね合いもあって、可もなく不可もない漫画、5点の評価とした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-15 19:32:27] [修正:2008-10-15 19:32:27] [このレビューのURL]

8点 capeta


熱いし、いい作品。

天才を描かせるとうまい作者。天才といっても、凡人である自分が読んでも共感できるような主人公である。自分の大切なことになると喜怒哀楽が表情に出て、負けず嫌いな人。

だが、何かが足りない。ライバルはうまく描けてるのだが。脇役にもう少し上昇志向の普通な登場人物を配置してもらいたかった。主人公も共感できるんだけど、優等生すぎるというか。

結構シビアな状況の中でも、みんなひたむき。常に前を向いて、ライバルを追いかける。そういう主人公たちが魅力的でもあると同時に、見てて疲れる。どうしても凡人としての読者としては、普通あんなにシビアな世界に生きてたら、みんながみんな進むだけじゃ無理だ。覚悟はあっても折れてしまう時があると思う。敗者は立ち去るのみ。その事実は描かれているのだが、敗者をもう少し深く描いてほしかった。

漫画の中に引き込まれるんだけど、パワー不足だったのかな。どこかでそういうことを考えながら読んでしまった。スラムダンクは天才ばかりの中でも楽しめたのだが。

カートとかF1とかはあまり詳しくなかったから、そこら辺りの描写は迫力があったし(詳しい人でもそうかも)、知識面でも作者の自動車レースに対する思い入れが感じられた。

全体的にみると良作の漫画といえる。漫画に完全には引き込まれなかったが、登場人物の熱い鼓動は伝わってきた。しかし、うまく言語化できなかったのが残念だが、このモヤモヤ感を感じる人は結構いるかもしれない。少なくとも私はそう感じた。人によっては日常生活に影響がでたりする作品。8点。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-15 13:40:13] [修正:2008-10-15 13:40:13] [このレビューのURL]


ちゃちな人間ドラマを見せられた後のような読後感。

エウレカもそうだけど、こういう漫画を描かせるとうまい作者。だけど、登場人物に深みがない。不条理を前にした人間の動揺を描こうとしてるんだけど、薄っぺらい。現実感が乏しすぎるというか。生きるってもっと大変なことだと思う。

設定で現実を描いていなくても、読者に訴えるものに、現実にある何かが描かれてほしいのだが、それがまるでない。ただの空想小説で終わっている。

絵は奇麗だ、だけど登場人物の薄さに拍車をかけているような気がしてならない。訴えかけてくるものがないのだ。

エンターテイメントとして考えるとどうだろうか。設定は結構あるほうかな。でもさくっと、何も考えずに楽しむ分には楽しめるかもしれない。暗い雰囲気にならないように配慮されてはいる。ヒロインが極度に明るいし。

結局のところ時間つぶし程度の娯楽漫画。4点。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-14 18:50:18] [修正:2008-10-14 18:50:18] [このレビューのURL]


受験勉強漫画というジャンルも珍しい。自分が受験生の頃に流行していた。三流高校から東大に入るなんて胡散臭いと思いつつも、パラパラと読んでいた。絵がダメで読む気にならない、という人もいるけど、これぐらい読めないと、面白い作品をいっぱい見逃すことになるんじゃないかな。

独自の受験メソッドはタメになるものもあると思う。ただ当然このとおりやれば東大に受かるかと言われれば、無理だろう。だが、学歴という歴然たる社会的なステイタスを、甘やかすことなく描いたことは称賛したい。学歴なんか関係ないという人には見てもらいたい漫画。大学を出て企業に入ろうと思う人なら、下調べの段階ですでに感じる学歴による格差。実体験が絡んでくるからやや感情的になってしまう点もあるが。

しかし、受験生でない人がこの漫画を読んで面白いと感じるかどうか。エンターテイメント風にして人間ドラマも盛り込んでいるけど、それが面白くない。結局は受験生向雑学的受験テクニック養成講座といった感じ。だが、これを読むよりかは和田秀樹の本を読んだほうが早いし、役に立つことも多いかと。

今まで取り扱うことのなかったジャンルを開拓した漫画として、可もなく不可もない漫画、5点とした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-14 16:45:33] [修正:2008-10-14 16:45:33] [このレビューのURL]

6点 DEATH NOTE


少年誌に掲載されたことが悔やまれる漫画。

購読者層にあのセリフのかたまりを頭の中で整理して、楽しませるのは容易ではないだろう。私も四苦八苦しながら頑張って読んだが、ポカンとさせられた場面も結構あった。(特に中盤以降。)表現面でも、派手な描写ができないのは作者としてつらくなかっただろうか。

しかしながら、月とLとの頭脳戦は、途中強引ではないかと思われる場面も多かったが、スリリングで、読んでいて引き込まれた。完璧主義の月とL、善と悪で相見えることとなった二人の性格はうまく表現できていた。最後まで月、Lともに感情移入することはできなかったが、彼らの考えていることは何となくわかったからだ。

思うに、2部は連載当初に想定されていなかったのではないだろうか。他のレビュアーの述べるとおり、話が冗長となっている。

惜しい漫画である。

発想は見事。画力も見事。だが演出がいま一つだった。構想をもっと練ってから連載が開始されていれば、さらに高評価を獲得できただろう。全体としてエンターテイメントとして楽しめる漫画、良質な漫画として、6点の評価とした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-14 13:12:04] [修正:2008-10-14 13:12:04] [このレビューのURL]

4点 童夢


独特の世界観を持った漫画。作者の代表作にAKIRAがあるが、アニメ版をかなり昔に見たきりで、その漫画は詳しく読んでいない。

この作品、評価ははっきりと分かれると思う。

序盤は、刑事たちの会話や捜査の進捗を背景として、わかりやすい構成となっている。だが、登場人物がなぜ殺されていくのか、理由は特にないのだろうが、全く理解できなかったし、共感することもできなかった。中盤以降は、超能力者たちの戦闘漫画となるが、この破壊衝動はどうにかしてほしい。あまりに理不尽である。殺したかったから殺すという思考は、教育上云々ではなく、一般的な読者は取り残されてしまうのではないだろうか。

もちろん、画力はすごい。とても丁寧で、細部まで描き込まれており、独特の雰囲気を醸し出している。だが、それだけの漫画ではないだろうか。無内容すぎる。心理描写がまるでないのだ。

総じて理解に苦しむところが多いこの漫画、私の理解力不足もあるのかもしれないが、なぜこのように高評価を得ているのか、よくわからなかった。画力が卓越しているため、無内容で不条理な戦闘漫画であっても、理屈抜きに楽しめる人は楽しめるのかもしれない。

だが、私には雰囲気だけの漫画としか感じられなかった。肌に合わなかったと言うこともできるかもしれないが。よって、暇つぶし程度の漫画、4点とした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-12 23:15:33] [修正:2008-10-12 23:15:33] [このレビューのURL]


作者が最終巻の帯で述べているように、B級映画の大作を観た後のような読後感。辻褄を合せるために話が分かりづらい部分もあるが、気にしなければ読んでいける。気楽に読んでほしい。個人的にはエイリアンvsプレデターのノリに近い感じ。

古城脱出活劇と銘打っているだけあって、古城の不気味な雰囲気、わけのわからない状況下での登場人物の狼狽ぶりなどは、うまく描けている。主人公の心理描写はそこそこできているが、他の登場人物の描写が、いい加減であったのが残念か。

絶望的な状況下におかれた主人公たちが、何とか打開策を見つけていこうとする姿や、徐々に明らかになっていく世界の全貌などは読んでいて面白かった。

ラストが性急すぎる、ご都合主義すぎる、という意見も多いが、話をダラダラと伸ばすよりは、6巻という手頃な巻数で作品をまとめた作者を称賛したい。何より、B級映画がいくら丹念に登場人物の描写をしていても、上映時間が5時間だったら疲れるし、爽快感も薄れるのではないかと。その点は、この漫画も同様。

気楽なノリで、いちいち突っ込みを入れていかなければ、そこそこ楽しめるのではないかと。人物描写が深いわけでもなく、読んでいて考えさせられるような場面も特になかったが、気軽に楽しめた。よって、良質な漫画、6点とした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-12 20:31:18] [修正:2008-10-12 20:31:18] [このレビューのURL]


読んでいて安定感を感じる漫画。

他のレビュアーの述べるとおり、ロボットによる戦闘がメインの漫画ではなく、むしろ話の中心は、隊員たちのごく普通の日常であり、それらが軽やかに描かれている。

話は和やかな感じに進んでいく。だが、扱っているテーマには掲載当時、そして現在でも問題とされている、バイオ技術の危険性や人身売買、高度な機械の持つ安全性への疑念という事柄も要素として組み込まれており、それを取り巻く相手と主人公たちの心理戦、戦闘も魅力のひとつである。

安定感を感じたのは、そのような話のシリアスな部分と和やかな日常が見事に描き分けられていること。そして、表現においても登場人物の心情がわかりやすいように、情景描写が工夫されていて、少年誌という掲載された媒体への配慮が感じられたからである。

安定感がある漫画ということは、穿った見方をするならば、予想のつかない展開になりづらいという欠点も孕んでいる。話は勧善懲悪ものであり、展開が予想しやすい。また、飛びぬけて驚くような相手も出てこないし、戦闘も激しい射撃戦が繰り広げられるわけでもない。題名を見て買った人は拍子抜けするかもしれない。

上述のように派手さはない。だが、評価したいのは使い古された題材を中心に、よくこれだけ全体としてまとめたな、ということ。進退きわまって、能力がインフレ的に上昇するだけで登場人物の成長が見られない漫画、伏線の説明的描写に終始する傾向の強い漫画を読んだ後にこの漫画を読めば、ゆうきまさみの魅力に気がつくことができるだろう。

夢中になって読みふけることはないものの、使い古された題材をテーマにうまくまとめたこの漫画、ただの良質な漫画ではないため、7点の評価とした。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-10-11 22:57:48] [修正:2008-10-12 11:52:50] [このレビューのURL]


カルト的な人気を博したアニメが原作。原作の流れを踏襲しながらも、若干ストーリーに差異が見受けられる。アニメ版のエッセンスを詰め込みながらも、わかりやすくストーリーを描こうとしている姿勢が感じられた。アニメも全話視聴済み。

主人公の、父親や境遇との葛藤、友人との学校生活、登場人物の過去、使徒と呼ばれる敵との戦闘など、描かれているテーマは、他のレビュアーの述べているように、王道漫画ということができる。

しかし、アニメ版もそうであるのだが、年月を経て読み返してみると(たしかアニメ版をはじめて見たのは中学生の頃)、そこまで面白く感じることができなかった。もう少しさらっと描けそうなものをドロっと、暗い雰囲気で描いているせいか、読んでいて鬱のようになってしまうからだ。全体として鬱へ鬱へと引きずり込んでいくような展開となっている。

もちろん、その描き方が評価を得ているのであろうし、思春期の少年少女が誰しも持っているであろう、微妙で複雑な感情を描くには、もってこいの手法ということもできるだろう。読者に考えさせるようなものがあることも事実である。

だが、この意図的とも言える暗い雰囲気の漫画を、思春期を越えて、青年や壮年となる人たちが読んで面白いと感じられるかは疑問である。さらに、敵である使徒の位置づけが中途半端な感じも受けた。原作であるアニメを見た際は特撮映画を見ているような気分になり、戦闘だけで楽しめたのだが、漫画版では戦闘があまり見ていて面白くなかった。また、使徒がなぜ襲ってくるかわからないのも、話の醍醐味でもあるはずなのだが、あまりに謎が謎を呼ぶ展開となっているため、読者の私は取り残された感があった。

総じて見れば、戦闘、心理描写メインのこの漫画。王道漫画の要素を備えており、読めるには読める。だが、意図して暗い雰囲気で描かれるストーリーに、最後まで没入することができなかった。また、雰囲気はわかるものの、これまた意図して難解なセリフや用語によってわかりづらいストーリー。思春期の頃に見た頃と評価もだいぶ変わったであろうが、20歳の今読んだ評価として、可もなく不可もない漫画、5点とした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-11 12:45:28] [修正:2008-10-11 12:45:28] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]


同名のPC用ノベルゲームが原作。原作はプレイしていない。

辺鄙な場所にある村(恐らく過疎化もかなり進んでいるであろう場所)で繰り広げられる、戦慄の連続殺人事件の模様を扱った作品。表紙を見てかなり萌え要素の入った絵であったから、どのような形で話が進むのか心配になりながら読み進めたが、なかなかに面白い作品であった。

序盤はこのような田舎村に似つかわしくない美少女たちと、主人公の和気あいあいとした日常が描かれる。ここまでで、挫折してしまう人もいるかもしれない。

しかし、後になれば気付くのだが、これらの日常は演じられたものである。ここでは後に続く面白い話への序章として、我慢、我慢で耐えてもらいたい。

中盤、話はがらりと様相を変える。豹変する登場人物や、この村の持つ不気味な雰囲気が、序盤とのコントラストによる相乗効果もあって、ぎらりと押し寄せてくる。

そしてついに発生する殺人事件。主人公は周囲の人物に疑念を抱き始める。このあたりの心理描写はよく描けていると思った。誰がどういう魂胆を持っているか分からず、仲良くしていた周りの人物が豹変してしまい、すべての人物に対して警戒感を持つ主人公の狼狽ぶりが、よく伝わってきたからである。

終盤、物語は佳境を迎える。未読の読者のために詳細は書かないが、この作品の持つ不気味さは頂点を迎える。

このように、萌え系の登場人物が登場するが、内容は途中からシリアスそのものである。もちろん、苦手な人も多そうな絵柄だ。また、ちょっとありえない設定も多く見受けられる。

しかし、元々がPC用ノベルゲーム一般(やったことは残念ながらない)として作られたストーリーであるから、このような設定も仕方ないであろうし、上述のようなキャラクターであるからこそ、明暗の差から不気味さが際立つように設定されていると感じた。

総じて見ると好みが分かれる漫画であることは間違いない。純粋なサスペンスものと考えて読むよりは、エンターテイメントとして割り切って読んだほうが面白く読める。そうした読み方をすることで過剰な演出も読み進めることができるであろう。私は序盤には苦労したものの、途中からは一気に読み終わった。以上より、好みは分かれるが、エンターテイメントとしては楽しめる漫画として、良質な漫画、6点とした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-11 10:37:16] [修正:2008-10-11 10:37:16] [このレビューのURL]