「玄米茶」さんのページ

総レビュー数: 17レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年09月28日

夕暮れ、夜、朝、昼と、沖縄が香ってくるような景色である。海の中の風景もきれいで不思議だ。「不気味なもの」が不気味である。眺めていると気持ちがいい。

そんな世界のなかで、そこらへんに居そうなキャラ達による、なんとも不思議なストーリーが展開される。終盤は少々かけ足だったが、一貫して先が読めず、おもしろい。ちょっと説明しにくいおもしろさなので、ぜひ一読して頂きたい。とても個性的なマンガだが、意外ととっつき易いと思う。


ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-02-09 09:50:33] [修正:2011-02-15 00:38:37] [このレビューのURL]

本当においしい中華料理には、和食や洋食とは違う、不思議な感動がある気がする。つくり手によって味に大きく差がでてしまうからか、料理そのものの感動+つくり手の技量への尊敬のような、敬虔な感情が心に湧き起こる。…(私だけ?) おそらく、劉家の料理人である李三の作る料理も、そんな味がするのだろう。「あれだけ」食事が好きな奥様を、毎回感動させているのだから。

李三の「料理」という職能と、奥様の「美しさ」という職能を、心の底で「互いに認め合っている」ことは、読者には分かる。職能で結ばれた関係はとても強く健全である。その上でのSMは、強固な関係を前提にした「遊び」なのだから、コメディーにしかならない。で、その「遊び」が抜群におもしろいのがこのマンガである。

絵も丁寧に描かれていて良い。服や小物、背景も明代中国っぽくていい感じである。料理工程も思わず全部読んでしまうほど、ポイントを押さえて描かれている。表紙の塗り方が、なんだか諸星大二郎っぽくて大変よろしい。買って損は無いマンガだと思う。

しかし、奥様はこんな生活を送っていて、自分が嫌いにならないのか、とは少し思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-02-08 23:21:53] [修正:2011-02-08 23:21:53] [このレビューのURL]

※完全に個人的な感想です。気にしないでください。

「三月のライオン」もそうだが、この人のマンガはド真ん中に真っ当なマンガなので、「面白かった」以外の感想がでてこない。無理に何か言おうとすると、「オレの学生時代はこんなにいいモンじゃなかった…」みたいなイジケたものになってしまう。このマンガの全編に流れる真っ当さの前には、ヒネクレたマンガオタクの屁理屈など全く無意味だ。

一コマ一コマの描写から、(これを描いてくれるなんて)いいなあ、うれしいなあ、と感じる。マンガでしか表現できないドタバタもよかった。ポエムも一生懸命読んでしまった。

ようするに、面白かった。

健全さは不健全から逆算して導き出されるものだと思う。ヒネクレたオタクが、自身のヒネクレに気づいてしまったとき、真っ当さへの憧れが生まれるのだろう。本当に、愛が溢れているマンガである。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-01-12 23:54:50] [修正:2011-01-12 23:54:50] [このレビューのURL]

「マキちゃんは 将来 何になりたい?」

エアマスターこと相川摩季は、幼い頃から続けていた体操に挫折し、路上での喧嘩に明け暮れる女子高生である。身長は高く(180位か)、耳にはピアスを開け、眼光は鋭く、ストレートな強さを感じさせる美人である。

戦いを通じて体操での挫折や母の死による喪失感を克服していくのかと思いきや、そうはならない。様々な相手とストリートファイトを重ねるうち、彼女の人格は次第に分裂していく。

相川摩季の身体言語ともいえる「エアマスター」というキャラクターは非常に特異であるとともに、戦うための肉体をもつ我々の普遍的な感覚、概念をとても上手く表わしている。

最終話近く、戦いの場から現代社会に戻ってきたエアマスターにすでに居場所は無く、いわゆる将来は「無い」。しかし話は悲劇にはならず、わずかな寂しさを感じさせるだけに留めている。どういうことかというのは、是非読んで確かめてほしい。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2011-01-08 15:48:58] [修正:2011-01-08 15:48:58] [このレビューのURL]

夢ではなく現実を描いている。

思想ではなく人間を描いている。

少女マンガでこれをやる人は、くらもちふさこ位だと思う(よくは知らないけどたぶん)。だって少女マンガ自体の否定になっちゃうし。

けどまあ、そんな話はどうでもよく、このマンガは面白い。本屋で見かけたらぜひ手にとって欲しい。色々な仕掛けが効果的に働いて、単調であるはずの日常をとても刺激的に読むことができる。





ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-01 11:17:20] [修正:2010-12-01 11:17:20] [このレビューのURL]

暴力、バイオレンスを描くのが上手いと思う。格闘のシーンも、一つ一つの動きをしつこく描き、具体性のある取っ組み合いになっている。変な言い回しだが、ケンカのリアリズム表現を、生理的に身に付けているように感じる。こういうマンガ家は少ないように思う。凝った構図や絵は、描いた作者の意識が透けて見えてしまうが、別に作者の意識が見たくてマンガを読んでるわけではないのだ。

太平洋戦争のさなか、主人公達不良少年は部隊となり、激戦のコレヒドール島、ガダルカナル島へ送り込まれ、米軍と戦闘をするというパートがある。ここでの戦争の描写は、リアルさと荒唐無稽が絶妙に混じり合い、少年マンガとしては最高に面白いものになっていると思う。

入手は難しいが、ぜひ一度読んで欲しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-29 09:54:27] [修正:2010-09-29 09:54:27] [このレビューのURL]

「懸命に、真摯に、自分の存在を懸けて…闘ってないから、オレは…行き詰まっていたんだ…!」

44才にして人生の真実に気づいてしまった男の、社会の最底辺を這いずり廻るような闘いを、寄って寄って描く。

シンプルなストーリーながら読ませる力はとても強く、登場人物のモノローグと粘っこい描写を読んでいくと、なんだか演劇を観ているような臨場感(?)が感じられる。映画にできるかな…などと考えていたら、「生きる」がまさにこうだったなと思った。

借り物の話ではなく、作者が本当に描きたい物語であることがよく分かる。中断のような最終巻だが泣かされてしまうし、あれ以上続けるべきではないと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-28 00:49:09] [修正:2010-09-28 00:49:09] [このレビューのURL]

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